ネット銀行にデメリットはある?法人口座の開設前に押さえておきたい特徴を解説
掲載日:2026年7月3日法人口座
オンラインで金融取引を完結できるネット銀行は、利便性の高さや低コストといったメリットがあります。近年は新たな業態の銀行として広く認知されており、法人口座を開設し、ネット銀行との取引を検討する事業者もいるでしょう。
とはいえ、従来の銀行とは異なるインターネット専業の銀行であるため、デメリットやリスクはないのか気になるかもしれません。
本記事では、ネット銀行の概要に加え、法人口座の開設にあたってデメリットとなりうる特徴を詳しく解説します。
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ネット銀行の概要
ネット銀行は、多くが実店舗を持たず、オンラインでの金融取引を主体とするインターネット専業の銀行を指します。インターネット環境があれば、原則として24時間365日、どこからでも口座開設や金融取引を行えます。
こうした利便性の高さに加え、次のようなメリットが注目されており、ネット銀行への需要が高まっています。
- 一般の銀行よりも、ATM手数料や振込手数料が割安に設定される傾向がある
- 口座維持手数料やインターネットバンキング手数料を無料とする等、手数料が無料または割安な傾向がある
- 新規参入の銀行として、各社の得意分野をいかしたサービスを提供する銀行が多い
ネット銀行で法人口座を開設する際に確認すべきデメリット
先述の通り、利便性の高さや維持・管理コストの低さといった様々なメリットから、ネット銀行は新規事業者やスタートアップにも注目される存在です。
しかし、ネット銀行は一般の銀行とは異なる点も多いため、次のような特徴をデメリットと感じる可能性もあるでしょう。
- ①対面によるサービスや相談を受けられない
- ②融資の金利設定が高い
- ③不正利用のリスクが高まる
- ④ATMの利用制限や口座振替等のサービスが限られている
- ⑤取引先によっては銀行のサポート体制が重視される場合がある
- ⑥ネットワーク障害が起こると利用できない
以下では、法人口座を開設する際にデメリットとなりうるネット銀行の特徴を詳しく紹介します。
①対面によるサービスや相談を受けられない
ネット銀行はインターネット専業の銀行であり、オンラインでのサービス提供を原則としています。そのため、一般的には実店舗が設置されておらず、一般の銀行のように銀行員を介したサービスや相談を受けることが難しい場合があります。
また、口座やサービスに関する問い合わせも、チャットやEメール等を利用したオンラインでの対応が主流です。伝えたいことが思うように伝わらない等、問い合わせる内容によっては、人を介するよりも求めている回答を得るのに時間がかかるおそれもあるでしょう。
法人口座を開設する銀行は、「融資の相談をしたい」「新規プロジェクトの助言を受けたい」等、事業運営の相談相手となる存在です。しかし、ネット銀行にはこうした担当者がおらず、いざというときに頼れない可能性があります。
相談先となる銀行で法人口座を開きたい場合には、法人への相談・支援サービスを提供するネット銀行を選ぶようにしましょう。
②融資の金利設定が高い
法人にとって重要な銀行との取引には、入出金や振り込み等の他、事業融資が含まれます。
ネット銀行にも、一般の銀行と同様に法人向けの融資商品を提供するケースが増えています。
しかし、ネット銀行の融資は、一般の銀行と比べて商品の選択肢が少ない傾向があります。一般の銀行のように個別に対応する多様な商品が少ないため、融資限度額が低く、金利の上限も高く設定される傾向があります。その結果、希望する条件の融資を受けられない場合もあるでしょう。
取引のない銀行から融資を受けることも可能ですが、法人口座での取引履歴を積み重ねた事業者ほど審査に通りやすくなるでしょう。創業期や成長期には、融資を必要とする機会がたびたび訪れます。法人口座の開設先を選ぶ際は、将来、銀行から融資を受ける状況を考慮することも大切です。
③不正利用のリスクが高まる
近年、法人口座におけるインターネットバンキングの不正利用被害が増加しています。こうした不正利用はネット銀行に限ったことではありません。ただし、金融取引を原則オンラインで行うため、不正利用に遭うリスクも高まると考えられます。
不正利用の被害を回避するには、ネット銀行の講じる対策だけに頼らず、自社でもセキュリティ対策を徹底させる必要があります。
セキュリティ対策の具体例
- パソコンに最新バージョンのウイルス対策ソフトをインストールする
- パソコンのOS(基本ソフト)やブラウザ等を最新バージョンにアップデートする
- 金融取引の申請者と承認者でパソコンを使い分ける
- 不審なログイン履歴がないか、定期的に確認する
- 送信されたEメール等から不審なサイトへアクセスしない
- インターネットバンキングの暗証番号やパスワードは厳重に管理し、定期的に変更する
- インターネットバンキングの振り込み等の限度額を必要最低限に設定しておく
④ATMの利用制限や口座振替等のサービスが限られている
数多くの自行ATMを設置している一般の銀行に対して、ネット銀行は自行ATMを持たず、限られた提携ATMを利用するのが一般的です。そのため、現金を引き出す機会が多い事業の場合、ATMがみつからず不便に感じる可能性があります。
また、提携ATMは使うたびに利用手数料がかかることがあります。無料で使える場合にも、通常、利用回数や引出金額に制限が設けられています。
他にも、一部を除き、ネット銀行は「国庫金・公金の取扱指定金融機関」に指定されておらず、一般の銀行とは異なり、税金・社会保険料・公共料金等の引き落とし先に設定できないおそれがあります。引き落とし先として利用できなければ、他の銀行の店舗やコンビニから納付しなければなりません。
⑤取引先によっては銀行のサポート体制が重視される場合がある
ネット銀行の普及は年々進んでおり、法人口座として利用する事業者も増えています。ただし、法人取引においては、口座を開設している銀行のサポート体制(店舗の有無や対面対応の可否等)を信用力の一基準として見られるケースもあるようです。
そのため、必要に応じて別の金融機関の口座を併用する等、自社の信用面をどのように補完するかを検討しておくと安心です。
⑥ネットワーク障害が起こると利用できない
ネット銀行は原則としてオンラインを主体に金融取引を提供しているため、ネットワーク障害等でインターネット環境にトラブルが起こると取引やサービスを利用できなくなります。顧客への送金が遅れるといった事態になれば、自社の信頼を損なうおそれもあるでしょう。
ネットワーク障害等のトラブルの他にも、ネット銀行では定期的なメンテナンスの実施により、機能やサービスの利用が制限されることもあります。そのため、ネット銀行の利用にあたっては、定期メンテナンスの実施予定を把握しておくことも大切です。
インターネットを使えない状況を想定して、ネット銀行の法人口座とは別に一般の銀行にも法人口座を開き、状況に応じて使い分けることでリスク回避につながります。
ネット銀行の法人口座に適している事業者
ネット銀行の特徴を踏まえ、どのような事業者に法人口座開設が適しているかを紹介します。
法人口座の開設を急いでいる
実店舗を持たないネット銀行では、必要書類の提出がデータのアップロードで完了する等、インターネット環境があればいつでも申し込める仕組みが整っています。店舗へ赴く必要がなく、通常、オンラインで口座開設の申し込みや審査が完結します。
一般の銀行は店舗での申し込みや一次審査、面談等を経て法人口座開設に至るのが一般的です。そのため、法人口座の開設に1ヵ月前後かかることもあります。
一方、ネット銀行は最短即日で口座開設が可能な銀行もあり、法人口座の開設を急いでいる事業者に適していると考えられます。
ただし、近年はオンラインでの口座開設手続きが多くの金融機関に広がっています。メガバンクや地方銀行でもオンラインに対応するところが増えており、申し込みの最短翌営業日には口座開設が可能な場合もあります。
日本政策金融公庫で融資を受ける予定がない
日本政策金融公庫は国が100%出資する政府系金融機関で、長期・固定・低金利で融資を行っています。民間よりも低金利かつ無担保・無保証で融資を受けられる点や、創業期や中小企業向け融資がある等の特徴があり、いざというときの融資先として検討する事業者も多いでしょう。
銀行との取引が少ない創業期やスタートアップの事業者にとって、特に融資を申し込みやすい存在ですが、日本政策金融公庫の返済方法は原則として口座振替となっている点に注意が必要です。ネット銀行が口座振替先の対象となったのは2023年からですが、利用できるネット銀行は依然として一部の銀行に限られています。
そのため、日本政策金融公庫の融資を利用する予定なら、口座振替が可能なネット銀行を選ぶ必要があります。日本政策金融公庫の融資を申し込む予定がなく、口座振替の制限を気にしない事業者には、ネット銀行が適しているかもしれません。
法人口座にかかるコストをできるだけ抑えたい
銀行の法人口座を利用すると、口座の維持手数料、インターネットバンキングの初期費用・月額利用料、他行への振込手数料等、様々なコストが発生します。
しかし、多くのネット銀行ではこうした手数料が無料もしくは割安に設定されています。そのため、法人口座にかかるコストをできるだけ抑えたい場合は、ネット銀行が適している可能性があります。特に本業以外のコストをできるだけ抑えたい創業期の事業者には、低コストが魅力的に映ると考えられます。
ただし、法人口座を選ぶときは、社会的信用や将来の融資の可能性等、開設時には把握しにくいポイントも考慮することが大切です。
申し込みがWEBで完結!みずほ銀行の法人口座は創業期のサポートも魅力
ネット銀行の魅力の一つは、原則24時間365日の金融取引を可能とする利便性の高さです。インターネット環境があればどこからでも銀行の機能やサービスを利用できるため、事業運営にタイムラグが生じにくいでしょう。
しかし、インターネット専業ゆえの特徴がデメリットとなる場合もあるため、口座開設にあたっては一般の銀行との違いを十分に比較・検討することが重要です。
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メガバンクで法人口座を開設するメリットについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。
関連記事:「メガバンクとは?地方銀行やネット銀行との違い、法人口座を開設するメリットも紹介」
まとめ
ネット銀行には利便性の高さや低コスト等の特徴があり、個人・法人を問わず普及が進んでいます。
一方で、対面によるサービスや相談を受けられないことや、融資の金利が比較的高いこと、高度なセキュリティが求められること等、ネット銀行ならではの特徴を理解したうえで利用することが重要です。
最近は、一般の銀行の中にも、ネット銀行と同様のオンラインサービスを提供する金融機関が増えています。法人口座の開設先を検討する際は、サービスの違いを比較し、事業にとって適した銀行を選ぶと良いでしょう。
来店不要で24時間受付(メンテナンス時間:日曜日 0時00分~9時30分を除く)
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監修者
内山 貴博(うちやま たかひろ)
- 1級FP技能士
- CFP
大学卒業後、証券会社の本社で社長室、証券業務部、企画グループで5年半勤務。その後FPとして独立。金融リテラシーが低く、資産運用に保守的と言われる日本人のお金に対する知識向上に寄与すべく、相談業務やセミナー、執筆等を行っている。
日本証券業協会主催「投資の日」イベントや金融庁主催シンポジウムで講師等を担当。
2018年に日本人の金融リテラシー向上のためのFPの役割について探求した論文を執筆。