約款(やっかん)とは?意味、定款や契約書との違い、作成時の要件等を解説
掲載日:2026年5月8日約款
約款(やっかん)とは、事業者が不特定多数の相手方と同一の契約を結ぶことを前提としてあらかじめ作成する、画一的な取引条項のことです。
個別に交わす契約書と比べて、不特定多数との取引において事務負担を軽減できるほか、法律上の範囲内であれば内容の変更が相手方との合意がなくても効力を生じさせることができます。
本記事では、約款の概要、法律上の定型約款の要件、契約書・規約との違い、作成のポイント等を紹介します。
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約款とは
約款とは、事業者が不特定多数の顧客や取引先と同一内容の契約を締結する際に用いる、画一的な取引条項を指します。
従来、このような取引で用いられる約款について民法上の一般的な規律は明文で定められていませんでした。
2020年4月施行の改正民法において、一定の要件を満たす約款を「定型約款」として定義し、併せて定型約款に関する規定が新設されました。
民法の定める定型約款の定義
定型約款の定義は、民法第548条の2第1項に定められています。
- 定型取引において、契約内容とすることを目的として、特定の者(事業者)が準備した条項の総体
定型取引とは、特定の者(事業者)が不特定多数を相手方として行う取引で、その内容の全部または一部が画一的であることが当事者双方にとって合理的なものを指します。
2020年の民法改正以降、企業間取引で用いられる約款のうち、民法上の要件を満たすものは定型約款に該当します。
定型約款の例としては、宅配便契約における運送約款、インターネットサービスの利用取引における利用規約、生命保険や医療保険等の契約における保険約款等があります。
定型約款でみなし合意が適用される要件
改正民法第548条の2では、一定の要件の下で、相手方が定型約款の条項の内容を知らなくても、その内容に合意したとみなす(みなし合意)仕組みが定められています。ただし、みなし合意が成立するには、次のいずれかの要件(組入要件)を満たす必要があります。
- ①当事者間で定型約款を契約内容とする旨の合意があった場合
- ②相手方に定型約款を契約内容とする旨をあらかじめ示していた場合
ただし、相手方から定型約款の内容の表示を求められたのにもかかわらず、正当な理由なく拒むと、契約内容として認められなくなることがあります。
また、いわゆる「不当条項(相手方の利益を一方的に害するようなもの)」や「不意打ち条項(通常は予測しがたいような内容が盛り込まれているもの)」がある場合、組入要件を満たしていても、定型約款に合意したとみなされない可能性があります。
定型約款の内容を変更するときの要件
定型約款の変更についても、民法第548条の4で要件が定められています。次の要件のいずれかを満たす場合には、相手方の個別の同意がなくても、定型約款の変更の効力が相手方に及ぶことがあります。
- ①変更後の内容が相手方の一般の利益に適合する場合
- ②変更が契約の目的に反せず、かつ、変更の必要性、定型約款を変更することがある旨の定めの有無およびその内容、その他の事情に照らして合理的な場合
また、定型約款を変更する際は、変更内容や効力発生日など所定の事項を周知することも必要です(民法第548条の4第2項・第3項)。
従来、約款には「当社都合で変更することがあります」といった定めが多く用いられてきましたが、上記の要件を満たさない場合、定型約款の変更の効力を相手方に及ぼすこと(みなし合意)は認められません。一方的な変更が常に認められるものではない点に注意しましょう。
約款と契約書や規約との違い
約款と混同されやすいものとして、契約書や規約があります。ただし、想定する相手方や主な内容が異なるため、適切に使い分けることが重要です。
| 想定する相手方 | 主な内容 | |
|---|---|---|
| 約款 |
不特定多数 |
契約内容に関する画一的な取引条項 |
| 契約書 |
当事者間 |
契約内容に関する個別の取引条件 |
| 規約 |
不特定多数 |
提供するサービス等に関するルール |
| 約款 | |
|---|---|
| 想定する相手方 |
不特定多数 |
| 主な内容 |
契約内容に関する画一的な取引条項 |
| 契約書 | |
| 想定する相手方 |
当事者間 |
| 主な内容 |
契約内容に関する個別の取引条件 |
| 規約 | |
| 想定する相手方 |
不特定多数 |
| 主な内容 |
提供するサービス等に関するルール |
契約書は、取引先と合意した契約内容を記載した文書です。ただし、当事者間で交渉した内容を踏まえて個別に作成される点が、約款とは異なります。また、契約締結後に内容を変更するには、契約で別段の定めがある場合を除き、当事者間の合意が必要です。
規約には明確な法的定義がありませんが、事業者が提供するサービス等に関するルールをまとめたものが一般的です。規約の内容によっては、民法上の要件を満たす定型約款に該当する場合もあります。
約款の作成が求められる場面
約款を用意しておくことで、取引のたびに個別の契約書を作成する手間を軽減できます。また、すべての取引先に対して共通の取引条件に基づき、迅速に対応しやすくなります。
次に、約款の作成が適切とされる代表的なケースを3つ紹介します。
①不特定多数を対象に同一条件で取引する場合
不特定多数に同じ条件でサービスや商品を提供する事業では、取引先ごとに個別の契約書を作成することが必ずしも効率的とはいえません。あらかじめ約款を作成しておくことで、個別に契約書を取り交わす手間を軽減できます。
特に、不特定多数を相手に取引する新規事業者やスタートアップでは、事業拡大に伴って取引先が増えやすい傾向があります。早期に約款を準備して契約締結までの時間を短縮できれば、事業運営を円滑に進めるうえで有利に働くことがあります。
②契約内容のアップデートを予定している場合
サービスや商品のアップデートが頻繁に予定されている等、契約内容の変更が発生する可能性が高いビジネスには、約款の活用が有効です。
個別に契約書を交わす取引では、ソフトウェアやサブスクリプションサービス等の変更のたびに当事者間の合意が必要となり、手続きに時間がかかってしまう恐れがあります。ただし、一定の要件を満たす定型約款であれば、相手方の個別の同意がなくても、変更の効力が相手方に及ぶ場合があります。
③大量かつスピーディな取引が重視される場合
多くの顧客に対して大量かつ迅速に取引を行うためには、あらかじめ約款を作成し、サービスや商品の提供時に約款への同意を得る運用が有効です。この運用により、顧客の利便性を大きく損なわずに、取引条件を明確化し、トラブルを予防しやすくなります。
例えばBtoCビジネスでは、随時発生する申し込みや取引に対して迅速に対応しなければなりません。約款を整備しておくことで、顧客との取引を円滑に進めやすくなります。
約款を作成するときに覚えておきたいポイント
民法で明確な規定が設けられた「定型約款」を作成する際は、次のポイントを押さえておく必要があります。
- 定型約款の定義に沿った内容か注意する
- ウェブサイトへの公開等で閲覧性を確保する
- 作成した約款は定期的に見直しを実施する
以下、各ポイントを順に解説します。
定型約款の定義に沿った内容か注意する
定型約款は、一定の要件の下で契約内容として効力を持ち、取引・手続きを迅速化しやすいことから、多くの取引分野で利用されています。
ただし、約款の条項を契約内容として相手方に効力を及ぼすには、民法上の要件を満たす必要があります。そのため、作成時には内容が要件に沿っているか十分に確認しましょう。
例えば、サービスの目的と直接関係のない商品の抱き合わせ販売を前提とする等、通常は予測しがたい条項(不意打ち条項)が含まれる場合、条項が契約内容として認められない可能性があります。
ウェブサイトへの公開等で閲覧性を確保する
定型約款は、取引の相手方から請求があった場合に、遅滞なく「相当な方法で」内容を表示(提示)することが法律上求められています。
「相当な方法」としては、書面や電子メール等の送付、ウェブサイトへの公開等が考えられます。約款の表示義務を怠ると債務不履行とみなされるおそれもあるため、ウェブサイトへの公開等により、相手方が約款を閲覧できる状態を確保しておくことが重要です。
ただし、インターネット環境のない相手方にウェブサイトの閲覧を求めるのは、「相当な方法」として適切とは限りません。状況に応じて、書面交付など適した方法を選択しましょう。
作成した約款は定期的に見直しを実施する
定型約款は、一定の要件を満たす場合、相手方に対して内容変更の効力を有します。ただし、効力の発生時期を定めたうえで、適切な方法で相手方に変更する旨を周知(告知)する必要があります。
そこで、将来起こり得る変更に備え、約款を作成する段階で、周知の方法や手順をあらかじめ定めておくことが望ましいでしょう。
また、約款の内容は、社内事情だけでなく、法改正の影響で見直しが必要になる可能性もあります。法令等に抵触する内容が含まれていないかを定期的に確認し、約款を最新の状態に保つことが重要です。
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2020年4月施行の改正民法により、「定型約款」が定義され、定型約款に関するルールが整備されました。適切な定型約款を作成・運用することで、一定の要件の下では、条項が契約内容として扱われる場面(みなし合意)も生じ得ます。
取引条件の明確化や手続きの負担軽減につながり、取引を円滑に進めるうえで有利に働くことが期待されます。
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関連記事:「法人口座の開設方法は?メリットや金融機関の選び方、必要書類を解説」
まとめ
約款は、個別に作成する契約書とは異なり、不特定多数の相手方(法人・個人)との取引を想定してあらかじめ定める、画一的な契約条項です。事務処理の負担を軽減し、取引を円滑に進めやすくなるメリットがあります。
2020年4月施行の改正民法では、定型約款が定義され、一定の要件を満たすものについて定型約款に関する規定が設けられました。ただし、定型約款として扱われるためには、民法上の要件を満たす必要があります。要件を満たさない場合、みなし合意に関する取り扱いなどが適用されないこともあるため、要件を把握しておくことが重要です。
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監修者
古関 俊祐
- 弁護士
弁護士法人HAL代表弁護士。消費者金融、銀行ローン各社との債務整理、過払金請求事件を多数取り扱い、多くの依頼者からの相談を受けています。分かりやすく、人当たりの良い弁護士になることを目標に、日々の業務を行っています。債務整理案件だけでなく、保険や不動産など財産にまつわる問題、離婚や相続など家庭内の問題など、個人の生活において避けては通れない様々な問題について手広く対応しています。地元である東京都葛飾区の新小岩にて新小岩法律事務所を開設後、弁護士法人HALを設立し秋葉原と新小岩にオフィスを構えて活動しています。好きな言葉は明朗会計。趣味は、プロ野球観戦でシーズン中はしょっちゅう横浜スタジアムに足を運んでいます。