経営計画書とは?事業計画書との違い、書き方のポイントを解説
掲載日:2026年4月6日事業戦略
資金調達や補助金の申請、新規事業の立ち上げ、組織の再編等、経営判断のあらゆる場面で求められるのが「経営計画書」です。形式的な書類のように思われがちですが、実際には事業の成否や融資・支援の可否を左右する極めて重要な文書の一つです。
しかし、「何を書けばいいのか分からない」「フォーマットはあるけれど中身に自信がない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、経営計画書の役割や目的から、具体的な構成要素、よくある失敗と対策、そして実際の経営にいかすための書き方のコツまでを、分かりやすく解説します。
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経営計画書とは?事業計画書との違い
経営計画書とは、自社の現状や課題を整理し、将来に向けた目標と具体的な実行プロセスを体系的にまとめたものです。いわば、企業がどの方向へ進み、どのように成果を獲得していくかを示す「経営の地図」といえる存在です。市場環境や競争状況が変化する中でも、経営判断の軸をぶらさず、組織全体が同じ方向を向いて行動できるようにするために作成します。
事業計画書との違い
なお、経営計画書には厳密な形式の定義はありませんが、その役割は「会社全体の方向性を示すこと」にあります。一方で、事業計画書は特定の事業やプロジェクトに焦点を当て、実行可能性や収益性を説明するための資料です。両者は似ているようで目的も対象範囲も異なるため、用途に応じて使い分ける必要があります。
以下に主要な違いを整理します。
| 経営計画書 | 事業計画書 | |
|---|---|---|
| 対象 |
会社全体(中長期) |
個別の事業・プロジェクト |
| 目的 |
会社をどう成長させるか、経営の方向性を示すもの |
事業の実行可能性を示し、資金調達やプロジェクトの提案に使うもの |
| 期間 |
長期(3~5年等) |
短期~中期(1~3年等) |
| 内容の大枠 |
経営のビジョン、組織、人材、財務、生産性改善等の経営全体 |
マーケット分析、競合分析、サービス内容、売り上げ予測等の事業詳細 |
| 対象 | |
|---|---|
| 経営計画書 |
会社全体(中長期) |
| 事業計画書 |
個別の事業・プロジェクト |
| 目的 | |
| 経営計画書 |
会社をどう成長させるか、経営の方向性を示すもの |
| 事業計画書 |
事業の実行可能性を示し、資金調達やプロジェクトの提案に使うもの |
| 期間 | |
| 経営計画書 |
長期(3〜5年等) |
| 事業計画書 |
短期〜中期(1〜3年等) |
| 内容の大枠 | |
| 経営計画書 |
経営のビジョン、組織、人材、財務、生産性改善等の経営全体 |
| 事業計画書 |
マーケット分析、競合分析、サービス内容、売り上げ予測等の事業詳細 |
関連記事:【創業期の資金調達に備える】事業計画書の作成手順とポイント
なぜ経営計画書が必要か
なぜ経営計画書が企業にとって重要視されるのでしょうか。ここでは、その必要性を具体的に整理します。
1. 社内の方針共有と組織運営の指針
経営計画書は、従業員や関係者と将来ビジョンや成長方針を共有するための基盤となります。会社としての優先順位や行動指針が明確になることで、部門ごとの判断がぶれにくくなり、現場での意思決定や業務遂行がスムーズになります。
2. 経営者自身の意思決定の整理
事業の目的や収益モデル、必要なリソース、想定されるリスクを具体的に言語化することで、経営者自身の判断基準が明確になります。思考の曖昧さが解消され、戦略立案や実行のスピードと精度が高まる点も大きな効果です。
3. 融資・資金調達の評価材料
融資審査では、金融機関(民間金融機関・日本政策金融公庫等)が返済可能性や事業の継続性を判断する際の根拠として、経営計画書が重要な資料になります。資金使途・売り上げ計画・返済計画が一貫して示されていることで、事業の実行可能性を客観的に説明でき、資金調達の確度を高めることにつながります。
4. 補助金・助成金申請への提出
補助金や助成金では、事業の実行計画や社会的意義、成果の波及効果が審査されます。そのため、事業内容を体系的に整理した経営計画書がないと、採択に必要な根拠を示しきれません。計画書を準備することで、事業の独自性や実現可能性を客観的に説明でき、採択率の向上につながります。
このように、経営計画書は内外の信頼性を高め、実行を確実にするための経営基盤として機能します。
経営計画書に含めるべき主な内容
経営計画書には形式の決まりはありませんが、金融機関への提出や補助金申請、社内説明等、様々な場面で求められやすい項目には共通点があります。
以下の要素を押さえておくと、内容の整理に役立ちます。
1. 事業概要と現状分析
事業の現状や市場環境を整理し、計画の前提となる情報を明確にします。事業内容や提供価値、競争環境、自社の強みと課題を客観的に示すことで、以降の戦略や数値計画の位置づけが明瞭になります。
- どのような事業を行っているのか(商品・サービスの概要)
- 誰に向けて、どのような価値を提供しているのか
- 市場規模、顧客層、競合の状況
- 自社の強み・弱み、現状の課題
前提を整理して共有しておくことで、後続の計画全体の一貫性が保たれ、説明の妥当性を示しやすくなります。
2. 経営ビジョン・目標
会社が向かう方向性を示し、将来像と数値目標を整理します。長期的なビジョンと具体的なKPIを併せて示すことで、計画全体の意図や優先順位が明確になります。
- 数年後にどのような姿を目指すのか
- 達成したい売り上げ・利益・市場シェア等の具体的な目標
- 社会的・地域的に果たしたい役割や価値
ビジョンが不明確なままだと、後続の施策や数値計画との整合性が取りづらくなります。理念とKPIの両面を整理することで、計画全体の一貫性を確保しやすくなります。
3. 商品・サービスの詳細と競争優位性
提供している商品・サービスの内容と、それによって生み出す価値を整理します。顧客にとってのメリットや競合との差異を説明することで、事業計画の実現性や収益性を支える根拠を示すことができます。
- どのような商品・サービスを提供しているか
- 他社と比べてどの点に優位性があるのか(品質、価格、独自性、サポート体制、地域性等)
- 顧客が選択する理由、継続利用につながる要因
商品・サービス自体の説明にとどまらず、価値提供の根拠や差別化のポイントを整理しておくことで、計画全体の説得力が高まります。
4. 売り上げ計画と収支見通し(3~5年分)
中期的な売り上げや費用の見通しを整理し、計画全体の前提となる数値を示します。売り上げの設定根拠や費用構成を明らかにすることで、事業の収益性や持続性について客観的に把握しやすくなります。
- 年間・月間の売り上げ見込み
- 費用構成と利益の見込み
- 損益分岐点、初期投資の回収見込み
これらの数値は、計画を検討するうえでの重要な定量的根拠となる部分です。設定する際には、売り上げ見込みや費用水準について妥当性のある前提を整理しておくことが求められます。
5. 集客・販売・マーケティング戦略
需要をどのように獲得し、売り上げへつなげていくかを一連の流れとして整理します。ターゲットと提供価値を基点に、適切な顧客接点や施策を検討します。
- どのように顧客を獲得し、売り上げにつなげていくか
- オンライン/オフラインの具体的な施策(広告、SNS、紹介、展示会等)
- 客単価向上、リピート促進、新規層の開拓に向けた取り組み
施策を単発で並べるのではなく、顧客が認知から購買に至るまでの導線を踏まえて整理しておくと、計画全体の整合性が取りやすくなります。
6. 組織体制・人材戦略
計画を誰がどのように実行していくのかを整理します。人材構成や体制を明確にすることで、計画の実行可能性を第三者が把握しやすくなります。
- 現在の人員構成と役割分担
- 今後の採用方針や人材育成の考え方
- 外部委託・協力会社の活用体制
実行体制を具体的に示しておくことで、計画全体の一貫性や実行の見通しが理解しやすくなります。
7. 資金調達・設備投資・資金繰りの見通し
資金の使途や回収の見通しを整理し、事業計画と資金計画が整合的に進むかを確認します。資金を調達する場合には、その資金がどのように活用され、事業の進行とどのように結びつくのかを明確にしておくことが重要です。
- 今後の資金ニーズ(運転資金、設備投資、広告費等)
- 借入金の使い道、返済計画、金利等の前提条件
- 資金繰り表や必要資金の内訳
「なぜこの金額が必要なのか」「どのように回収するのか」といった点を併せて整理しておくことで、資金計画の妥当性が示しやすくなります。
8. 想定されるリスクと対応策
事業に影響を与え得るリスクを整理し、どのように備えるかを明確にします。リスクをあらかじめ認識したうえで対応方針を示すことで、計画の実行可能性を客観的に捉えやすくなります。
- 市場縮小、価格競争、仕入れ値の上昇、人材不足等の外部環境リスク
- 自社として想定するリスクとそれに対する対応方針
計画には不確実性が伴うため、リスクとその対策を整理しておくことで、計画全体の妥当性や整合性がより明確になります。
よく使われる経営計画書のテンプレート例
では、実務ではどのような形式で作成されているのでしょうか。ここでは広く活用されている主な様式を紹介します。
| 提供元 | 書類名 | 特徴 |
|---|---|---|
|
創業計画書 |
創業融資申請時の定番。A4 1枚でコンパクトに事業概要・資金計画をまとめる形式。Excel/PDFで公開。 |
|
|
経営改善計画書 |
経営立て直しを目的とした事業者向け。財務・人材・課題等を包括的に整理できる。 |
|
|
経営計画書兼補助事業計画書 |
持続化補助金等で用いられ、経営計画と補助事業計画を一体的に記述する形式。 |
それぞれの計画書は目的や利用シーンが異なるため、自社の状況に合わせて適切な様式を選ぶことが重要です。創業、経営改善、補助金申請等、自社の状況に最も近い様式を選び、必要項目を整理していくことが計画書作成の第一歩となります。
経営計画書の書き方は?ポイントを紹介
経営計画書は、読み手が内容を理解しやすく、根拠を確認しやすい構成になっているかが重要です。上記の8つの要素を踏まえたうえで、次のポイントを意識すると、計画全体の伝わりやすさや信頼性が高まります。
誰が読むかを意識する
経営計画書は、読み手によって重視されるポイントが異なります。想定される読み手を明確にしたうえで、その評価軸を踏まえて構成や強調すべき点を整理することが大切です。
- 金融機関:返済の見通し、事業の安定性、経営者の姿勢や信頼性
- 補助金審査:計画の妥当性、社会的意義、波及効果、実現可能性
- 社内メンバー:ビジョンの共有、行動方針、各自の役割の理解
読み手が求める情報に沿って、同じ内容でも伝える順番や強調する部分を調整することで、計画書としての理解度が高まり、実行に向けた合意形成もしやすくなります。
抽象的な言葉を避け、具体的な数値や行動に落とし込む
「売り上げを伸ばす」「顧客満足度を高める」といった抽象的な表現のみでは、計画の実行プロセスや達成可能性が読み手に伝わりづらくなります。例えば、「2025年度までに月商100万円を目指す」「リピート率を60%に改善する」等、期間や目標値を具体的に示すことで、計画の意図がより明確になります。また、数値化が難しい取り組みでも、「週1回のSNS更新」「月2回のセミナー開催」等、具体的な行動レベルに落とし込むことで、計画の現実性を示しやすくなります。
ロジックと感情のバランスを取る
読み手が計画内容を理解しやすくするためには、論理的な構成と背景となるストーリーの両面を整理することが有効です。例えば、「現状 → 課題 → 解決策 → 数値目標」という論理展開に加えて、「なぜこの事業に取り組むのか」といった経営者の視点や背景を補足することで、計画の意図や方向性がより伝わりやすくなります。創業期の場合は、経営者の思いや経験が評価の一要素となるケースもあります。
過去の実績や根拠データで説得力を補強する
計画に示す数値や見通しは、客観的な根拠と併せて提示することで、読み手が判断しやすくなります。売り上げ推移、顧客数、広告効果等の定量データに加え、顧客アンケートやヒアリング結果等の一次情報、外部レポートや市場調査といった第三者データを組み合わせることで、「なぜその数値を実現できると考えるのか」を説明しやすくなります。
こうした工夫により、計画書が単なる提出用の資料にとどまらず、読み手にとって判断材料として活用しやすい文書へと近づけることが期待できます。
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経営計画書は、目標と戦略をまとめるだけではなく、「資金をどう管理し、どう動かすか」まで一体的に考える必要があります。特に、融資や補助金申請といった資金調達を見据えるなら、法人口座は欠かせません。
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まとめ
本記事では、経営計画書を作成するうえで押さえておきたい基本的な考え方と、活用時のポイントを紹介しました。経営計画書は、融資や補助金申請の場面だけでなく、企業の方向性を整理し、実行を継続するための土台として役立ちます。自社の状況に合わせて内容を整えながら、実務に活かせる計画づくりを進めていくことが重要でしょう。