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法人設立ワンストップサービスとは?対象の手続きやメリット・注意点、流れを解説

掲載日:2025年9月29日起業準備

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2021年に法人設立ワンストップサービスが開始され、法人設立に必要な手続きをより効率的かつ簡便に行えるようになりました。法人設立手続きに伴う時間や手間を軽減できれば、事業に直結する業務により多くの時間と労力を割けるようになります。

本記事では、法人設立ワンストップサービスの概要や申請できる手続きの種類、利用するメリットを解説します。利用する際の注意点や申請の流れも把握したうえで、計画的に設立準備を進めましょう。

来店不要でいつでも開設可能(メンテナンス時間:日曜日 0時00分~9時30分を除く)

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法人設立ワンストップサービスとは

法人設立ワンストップサービスとは、マイナポータルを利用して、法人設立に関する行政手続きをオンラインでまとめて申請できるサービスです。デジタル庁が運営しており、2020年1月に提供が開始されました。

2021年2月には対象手続きが拡大し、2025年現在は定款認証・設立登記、GビズIDの発行等の手続きにも対応しています。

従来は、法人を設立する際、行政機関ごとに必要な手続きを個別に行う必要がありました。しかし、法人設立ワンストップサービスを利用すれば、法人設立に伴う法務局や税務署、年金事務所等への各種手続きを一括で行えます。

法人設立ワンストップサービスで行える手続き

2025年現在、法人設立ワンストップサービスで行える主な手続きと申請先は以下の通りです。

手続きの種類 申請先
会社設立(定款認証・設立登記)に関する手続き
  • 公証役場
  • 法務局
雇用に関する手続き
  • 年金事務所
  • 労働基準監督署
  • ハローワーク(公共職業安定所)
国税・地方税に関する手続き
  • 税務署
  • 地方公共団体
GビズIDの発行
  • デジタル庁

各申請先で行える手続きについて詳しく解説します。

会社設立(定款認証・設立登記)に関する手続き

2021年2月のサービス拡大に伴い、定款認証や設立登記に関する以下の手続きが行えるようになりました。

手続きの種類 内容 申請先
定款認証
  • 電磁的記録の認証の嘱託(定款認証)
  • 電子署名付委任状の申請
  • 執務の中止の請求(定款認証の取下げ等)

公証役場

設立登記
  • 設立登記の申請
  • 設立登記申請の取下
  • 商業登記電子証明書の発行申請
  • 商業登記電子証明書の発行申請の取下げ

法務局

雇用に関する手続き

法人設立ワンストップサービスでは、社会保険(健康保険・厚生年金保険)や労働保険(雇用保険・労災保険)に関する手続きも申請できます。

手続きの種類 内容 申請先
社会保険
  • 健康保険・厚生年金保険新規適用届

年金事務所

労働保険
  • 保険関係成立届(継続)(一元適用)
  • 保険関係成立届(継続)(二元適用労災保険分)

労働基準監督署

労働保険
  • 保険関係成立届(継続)(二元適用雇用保険分)
  • 雇用保険の事業所設置の届出
  • 雇用保険被保険者資格取得届

公共職業安定所

国税・地方税に関する手続き

国税(法人税や消費税等)および地方税に関しては、以下のような手続きを法人設立ワンストップサービスで申請できます。

税金の種類 手続きの内容 申請先
法人税
  • 法人設立届出
  • 定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請
  • 青色申告の承認申請
  • 事前確定届出給与に関する届出
  • 棚卸資産の評価方法の届出
  • 有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出方法の届出
  • 減価償却資産の償却方法の届出

税務署

消費税
  • 消費税課税事業者選択届出
  • 消費税の新設法人に該当する旨の届出
  • 消費税の特定新規設立法人に該当する旨の届出
  • 消費税課税期間特例選択・変更届出
  • 消費税簡易課税制度選択届出
  • 消費税申告期限延長届出
  • 適格請求書発行事業者の登録申請

税務署

源泉所得税
  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請

税務署

その他
  • 電子申告・納税等開始(変更等)届出

税務署

地方税
  • 事業所等新設・廃止申告
  • 法人設立・設置届(都道府県・市町村)
  • 申告書の提出期限の延長の処分等の届出・承認申請

都道府県税事務所・市町村役場

GビズIDの発行

2021年2月のサービス拡大により、GビズIDの発行も法人設立ワンストップサービスで申請できるようになりました。

GビズIDとは、一つのIDとパスワードで複数の行政サービスにログインできる共通認証システムです。GビズIDには3種類のアカウントがあり、すべての行政サービスを利用するためには、GビズIDプライムアカウントが必要です。

アカウントの種類 利用できる行政サービス 審査
GビズIDエントリー(簡易アカウント)

制限あり

なし(すべての事業者が申請可能)

GビズIDプライム(標準アカウント)

制限なし

あり

GビズIDメンバー

制限あり

なし(GビズIDプライム取得組織の従業員が対象)

GビズIDプライムの発行申請は、郵送であれば印鑑証明書等が必要となり、審査に1週間程度を要します。

なお、法人設立ワンストップサービスでオンライン申請した場合は、最短即日で審査が完了します。

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法人設立ワンストップサービスを利用するメリット

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法人設立ワンストップサービスを利用すると、法人設立にかかる手間や時間を大幅に軽減できます。主なメリットは以下の通りです。

  • 会社設立にかかる手間や時間を削減できる
  • 原則24時間365日オンラインで申請できる
  • サービス利用料がかからない
  • 印鑑届出書を提出する必要がない

会社設立にかかる手間や時間を削減できる

これまで法人を設立する際には、必要な手続きをそれぞれ調べて書類を作成し、各行政機関に個別に提出する必要がありました。

一方、法人設立ワンストップサービスを利用すれば、必要な手続きをまとめて確認・提出できるため、法人設立にかかる手間や時間を削減できます。

申請書類もオンラインで作成でき、共通項目は一度の入力ですべての書類に反映されるため、手間を大幅に削減できます。さらに、オンラインで手続きが完結するため、法務局や税務署等に足を運ぶ時間や窓口での待ち時間も省けます。

原則24時間365日オンラインで申請できる

法人設立ワンストップサービスは、メンテナンス等の時間を除き、24時間いつでも利用可能です。そのため、法務局や税務署等の開庁時間を気にすることなく、休日や夜間も含めて都合の良い時間に申請できます。

さらに、対応しているOSやブラウザであれば、スマートフォンやタブレットからもアクセスできるため、場所を選ばずに手続きが可能です。

サービス利用料がかからない

法人設立ワンストップサービスの利用には、料金が発生しません。法務局や税務署等に出向くための交通費や書類を郵送する費用もかからないため、コストを抑えられます。

法人を設立する際には、定款の認証手数料や登録免許税等の費用がかかるため、サービス利用料の負担がない点はメリットです。

印鑑届出書を提出する必要がない

窓口や郵送で法人設立の登記申請を行う場合、印鑑届出書の提出が必要です。印鑑届出書とは、法人の実印(代表者印)を登録するための書類です。

なお、法人設立ワンストップサービスを利用してオンライン申請する場合、印鑑届出書の提出は任意です。

実務上、金融機関から融資を受ける際や法人口座を開設する際等、実印が必要となるケースは多くあります。ただし、任意で印鑑届出書を提出する場合でも、法人登記の申請と同時であれば、オンラインで手続きが可能です。

法人設立ワンストップサービスを利用する際の注意点

法人設立ワンストップサービスには、手間や時間、コスト等の面で多くのメリットがありますが、利用する際に注意すべき点がいくつかあります。

  • 代表者のマイナンバーカードが必要となる
  • 法人設立ワンストップサービスで完結できない手続きもある

代表者のマイナンバーカードが必要となる

法人設立ワンストップサービスを利用するためには、法人代表者の電子証明書付きマイナンバーカードと、マイナンバーカード対応のスマートフォンまたはパソコンが必要です。

マイナンバーカードをまだ持っていない場合は発行申請が必要となり、カードが発行されるまで1ヵ月程度かかります。また、カード発行後は市区町村から指定された場所に出向いて受け取る必要があるため、余裕をもって手続きを進めましょう。

法人設立ワンストップサービスで完結できない手続きもある

法人設立ワンストップサービスは、法人設立に関する多くの手続きに対応していますが、すべての手続きを完結できるとは限りません。

例えば、健康保険・厚生年金保険に加入する際に提出する「健康保険・厚生年金保険新規適用届」は、法人設立ワンストップサービス上で申請できます。一方、従業員を雇った際に必要となる「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」の申請には対応していません。

また、許認可が必要な事業を行う場合や補助金・助成金の申請等を行う場合も、別途手続きが必要です。

法人設立ワンストップサービスを利用する際の流れ

法人設立ワンストップサービスによる各種申請は、以下の手順で行います。初めて利用する際は事前準備が必要なため、余裕をもって進めましょう。

  1. 必要なものを準備する
  2. 「かんたん問診」を利用する
  3. 申請情報の入力・電子署名を行って申請する

①必要なものを準備する

法人設立ワンストップサービスを利用するためには、主に以下の準備が必要です。

  • 法人代表者のマイナンバーカード(またはスマホ用電子証明書を設定済みのスマートフォン)
  • マイナポータルアプリ
  • ICカードリーダライタ(パソコンで利用する場合)

法人設立ワンストップサービスではオンラインで手続きを行うため、上記に加えて動作環境(対応OS・ブラウザ)も確認しましょう。

また、設立登記の申請を行う場合は、設立登記の申請書類を作成するための「申請用総合ソフト」や「商業登記電子認証ソフト」(登記申請と同時に商業登記電子証明書の発行を申請する場合)が必要です。

②「かんたん問診」を利用する

準備が整ったら、法人設立ワンストップサービス内にある「かんたん問診」を利用しましょう。かんたん問診とは、各質問に回答して「問診結果へ」を押すと、必要な手続きを自動でリストアップしてくれる機能です。

問診結果を確認し、法人設立ワンストップサービス内で申請を行わない手続きがあれば、チェックを外します。申請を行う手続きにチェックが入っていることを確認したうえで、「申請する」ボタンをクリックしましょう。

なお、申請を行う手続きがあらかじめ分かっている場合は、ご自身で個別の手続きを選択して申請することも可能です。

③申請情報の入力・電子署名を行って申請する

次に、マイナンバーカードに登録されている情報を読み取ると、自動的に申請者情報が入力されます。申請情報の入力後に、必要な添付書類が表示されるため、確認して添付しましょう。添付書類はスマートフォン等で撮影したものでも問題ありません。

最後に、マイナンバーカードによる電子署名を行い、申請先に提出します。

なお、申請後はマイナンバーカードでログインすることで、申請状況を確認できます。

法人設立ワンストップサービスの利用までにすべきこと

法人設立ワンストップサービスは、税金や社会保険、設立登記等の手続きをまとめて申請できる便利なサービスです。ただし、法人を設立するためには、事前に様々な準備を行う必要があります。

株式会社の場合、法人を設立するまでの一般的な流れは以下の通りです。

  1. 基本事項を決定する
  2. 会社実印を作成する
  3. 定款を作成する
  4. 資本金を準備する
  5. 設立登記申請のための準備を行う
  6. 法人設立ワンストップサービスを利用する

基本事項の決定や定款の作成には一定の時間を要するため、計画的に準備を進めましょう。

また、法人設立ワンストップサービスを利用して法人を設立した後は、法人口座を早急に開設することがおすすめです。

法人口座の開設は任意ですが、個人と法人の資金を明確に区分することで、資金管理の透明化を確保できるほか、税務リスクの低減や社会信用度の向上等にも役立ちます。

法人口座の開設には、数週間程度かかることが一般的です。開設が遅れると、取引先への請求や事業に必要な許認可等に支障が生じる可能性があるため、法人設立の準備と並行して、口座開設の準備も進めておきましょう。

関連記事:「会社設立の流れを解説!準備から法人登記後の手続きまで」

法人口座を開設するならみずほ銀行がおすすめ

みずほ銀行の法人口座は、休日・夜間でもお申し込みいただけ、ウェブ面談によって来店不要で手続きを完結できます(審査状況や必要書類の内容によっては来店が必要な場合があります)。

また、みずほ銀行で法人口座を開設すると、法人向けデビットカード「みずほビジネスデビット」を発行できます。法人口座からリアルタイムで引き落とされるため、資金管理の効率化を図れるほか、利用金額に応じて最大1%のキャッシュバックが受けられます。

会社設立3年以内のお客さまには、創業者限定の特典をご用意しており、インターネットバンキング(みずほビジネスWEB)を最大5年間、月額基本料金が無料でご利用いただけます。

さらにみずほ銀行では、スタートアップ企業を支援する会員制サービス「M’s Salon」を展開しています。円滑な資金管理を行いたい方や、創業期に多角的なサポートを受けたいとお考えの方は、ぜひみずほ銀行で法人口座の開設をご検討ください。

みずほ銀行の法人口座開設(法人のお客さま)

まとめ

法人設立ワンストップサービスとは、法人設立に関する行政手続きをオンラインでまとめて申請できるサービスです。

税金や社会保険、定款認証・設立登記等、法人設立に関する様々な手続きをまとめて行えるため、設立にかかる時間や手間を削減できます。

必要なものや注意点を理解したうえで、余裕を持って準備し、法人設立ワンストップサービスを活用してスムーズに法人を設立しましょう。

来店不要でいつでも開設可能(メンテナンス時間:日曜日 0時00分~9時30分を除く)

みずほ銀行の法人口座開設(法人のお客さま)

監修者

安田 亮

安田 亮

  • 公認会計士
  • 税理士
  • 1級FP技能士

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

HP:https://www.yasuda-cpa-office.com/

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