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掲載日:2021年3月2日

iDeCo

一時金?年金?後悔しないiDeCoの受け取り方とは

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iDeCoを実際に始めた方の中には、運用した資産を老後どのように受け取ろうか、お考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)を受け取る方法および受取時のポイントについてご紹介します。

iDeCoを受け取る時の基礎知識

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iDeCoは60歳まで掛金を拠出することができ、受取開始は最短で掛金拠出の終わった60歳からです。一方で、掛金拠出期間終了後に運用だけ継続し、受取時期を最大70歳まで延ばすこともできます(2022年4月からは75歳までに延長される予定)。

自ら選択した受取時期が近付いたらその方法を指定することが必要です。選択肢としては、一時金として一括で受け取る方法、年金として複数回受け取る方法、両者の併用の3つがあります。

ここでは一時金で受け取る方法、年金として受け取る方法の2つについて説明します。

iDeCoの一時金での受け取りの仕組みは?どんな人におすすめ?

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まず、一時金の場合について説明します。これは運用していたiDeCo内の資産をまとめて現金化する受け取り方です。一度に大きなお金をもらうことができるため、住宅ローンの繰り上げ返済、リフォーム、車の買い替えなど、まとまった金額の支出を予定している方におすすめです。

一時金の場合、iDeCoの受取金は税制上、退職所得に該当します。退職所得は他の所得と分離して所得税を計算する、いわゆる分離課税の方式です。また受け取った金額の総額ではなく、「2分の1課税」「退職所得控除」により計算した金額(=退職所得)に税金がかかるので支払う税金の額は抑えられます。

iDeCoの受取金の場合は「勤続年数=iDeCoの加入年数*1」として、以下の計算式で退職所得金額を計算します。

  • *1掛金をかけている加入者としての期間。運用だけしている運用指図者の期間は含まれません。

退職所得金額の計算方法(2分の1課税)

(収入金額(源泉徴収される前の金額)-退職所得控除額)×1/2

退職所得控除の仕組み
勤続年数(=A) 退職所得控除額
20年以下 40万円×A
(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超 800万円+70万円×(A-20年)

参照:国税庁ホームページ No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)

このように退職所得控除は、iDeCo加入年数に応じて金額が大きくなる仕組みになっており、長期間資産運用をするほど節税メリットが大きくなります。なお、「退職」と言う名前がついていますが、会社員の方でなくてもこの退職所得控除の恩恵を受けることが可能です。例えば、iDeCo(25年間積立)で1,000万円を受け取った場合の税額は次の通りです。

  • 退職所得控除の継続年数:25年
  • 退職所得控除:800万円+70万円×(25-20)=1,150万円
  • 課税所得:(1,000万円-1,150万円)×1/2=0万円

→課税所得が0円になるため、所得税や住民税も0円となります。

勤務先からの退職金も受け取る場合は退職所得控除額が調整される

iDeCoの受け取る14年以内に退職金を受け取っている場合には、退職所得控除額は調整されます。
例えば、退職金と一時金の受け取りを同一年度に行う場合、それらを合算し退職所得を計算します。例えば、先ほどの例(iDeCo(25年間積み立て)で1,000万受け取り)で退職金2,000万円(勤続年数30年)も合わせて受け取るケースとして計算すると、以下の通りです。

退職金とiDeCoを同時に受け取った場合

  • 退職所得控除:(30年-20年)×70万円+800万円=1,500万円
  • 課税所得:(2,000万円+1,000万円-1,500万円)×1/2=750万円
  • 所得税:(750万円×23%-63.6万円)×1.021=1,111,869円≒約111万円
  • 住民税:750万円×10%=75万円
  • *所得税の算式について

所得税(5%)と復興所得税(所得税に2.1%を掛ける)を合計した金額となっています。

iDeCoの年金での受け取りの仕組みは?どんな人におすすめ?

次に年金として受け取る場合について説明します。こちらは、運用していたiDeCo内の資産を分割して受け取る方法です。

年金で給付を受ける場合、金融機関によって受取期間や受取回数は異なっており、選択肢は様々ですが、多くの金融機関で自分の望むパターンを指定することができます。なお、みずほ銀行のiDeCoの受取期間は5年以上20年以下の年単位かつ、年間の受取回数は、年1回、年2回、年4回、年6回のいずれかから指定が可能です(受給開始後に年数や年間の受取回数を変更することはできませんが、5年経過した後は、繰上一時金として残りの年金資産をまとめて受け取ることもできます)。

そしてiDeCoは公的年金と同じ扱いの雑所得となるので、公的年金等控除が利用でき、受取金額からその控除額を差し引いた金額が課税対象となります。具体的な計算方法は以下の通りです。

公的年金等控除の仕組み

公的年金等に係る雑所得の金額=(a)×(b)-(c)

公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下
年金を受け取る人の年齢 (a)公的年金等の収入金額の合計額 (b)割合 (c)控除額
65歳未満 (公的年金等の収入金額の合計額が600,000円までの場合は所得金額はゼロとなります。)
600,001円から1,299,999円まで 100% 600,000円
1,300,000円から4,099,999円まで 75% 275,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 685,000円
7,700,000円から9,999,999円まで 95% 1,455,000円
10,000,000円以上 100% 1,955,000円
65歳以上 (公的年金等の収入金額の合計額が1,100,000円までの場合は、所得金額はゼロとなります。)
1,100,001円から3,299,999円まで 100% 1,100,000円
3,300,000円から4,099,999円まで 75% 275,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 685,000円
7,700,000円から9,999,999円まで 95% 1,455,000円
10,000,000円以上 100% 1,955,000円

引用:国税庁ホームページ No.1600 公的年金等の課税関係

例えば65歳以上の人で「公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額」が700万円、「公的年金等の収入金額の合計額」が500万円の場合には、公的年金等に係る雑所得の金額は次のようになります。

雑所得の計算方法

収入金額-公的年金等控除額=公的年金等の雑所得

引用:国税庁ホームページ No.1500 雑所得

5,000,000円×85%-685,000円=3,565,000円

なお上記は「公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額」が1,000万円以下の場合の表であり、この他にも1,000万円超2,000万円以下、2,000万円超という金額の幅で計算に使う金額・割合は異なります。

iDeCoの年金受取時は他の所得や各種手数料に注意

定年退職を迎えたタイミングで公的年金の受給開始があれば、年金額も増えます。つまり、iDeCo以外の収入があれば、所得税も増えるのです。新たに雇用されれば、雇用先で社会保険に加入できますが、そうでなければご自分で国民健康保険料を納める必要があります。

また収入が増えるほど、国民健康保険料も増えます。70歳以上の場合、本来は医療費負担が減るのですが、所得が一定の基準を超えると現役世代と同じように3割負担を求められます。さらに、iDeCoからの年金受取が終わるまでは口座管理手数料や給付手数料がかかります。*2

年金受取が税金面だけを見ると不利なように見えるでしょう。しかし年金受取の場合、iDeCoの資産運用は継続されるので、運用成績によっては受取額を増やせる可能性があります。また、お金の管理が苦手であれば、年金受取にすることで、老後資金をしっかり確保することにつながります。
なお、運用を継続しながら年金で受け取る場合は、ご自身のリスク許容度に応じて、値動きが大きい商品は安定的な運用を行う商品に変更を検討してもよいでしょう。

  • *2年金を受け取る際にかかる手数料が都度440円、iDeCoの管理をしている金融機関等に払う手数料(みずほ銀行では、残高50万円以上の方で年間792円(税込))

iDeCoの受け取り方のまとめ

家族構成や生活状況はそれぞれ異なります。それらを踏まえて、iDeCoの受け取り方を選択して下さい。また、上記の税額は現行法のものであり、実際に受け取る際は変更になっている可能性があります。

iDeCoは一時金受取と年金受取を併用することも可能です。iDeCoの受取時期が近づいたら、ライフプランを整理したうえで、受取金額のシミュレーションをしてみるのがオススメです。

村瀬紀美子さんの写真

村瀬紀美子さん

税理士。大手税理士法人勤務後、平成17年に村瀬紀美子税理士事務所開業。近年は、相続税等の資産税に関する申告業務およびセミナー講師を中心に活動。相続手続から遺品整理、空家売却、税務申告をまとめて行う『川越相続の窓口』を結成。多数の相談や依頼に対応。

(記事提供元:サムライト株式会社、画像提供元:ピクスタ株式会社)

  • *記事内の情報は、本記事執筆時点の情報に基づく内容となります。

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ご注意事項

  • 個人型確定拠出年金(iDeCo:イデコ)は、原則60歳まで途中の引き出し、脱退はできません。
  • 運用商品はご自身で選択します。運用の結果によっては損失が生じる可能性があります。
  • 加入から受取が終了するまでの間、所定の手数料がかかります。
  • 60歳時点で通算加入者等期間が10年に満たない場合、段階的に最高65歳まで受け取りを開始できる年齢が遅くなります。
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