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SOLUTION ソリューション

固体高分子形燃料電池シミュレーター P-Stack®

概要

P-Stackは近年の燃料電池自動車(FCV)や家庭用コジェネレーションシステム(熱電併給)において主流となっている固体高分子形燃料電池の様々な運転条件下における内部状態と発電特性をシミュレーションできるソフトウェアです。

燃料電池専用ソフトウェアだから可能な高精度かつ高速な解析により、実験では”見えない”内部現象理解による設計指針の策定支援、新規開発スタックの性能事前予測による試作コストの削減、実験では部材劣化が発生する限界条件での性能予測を可能とし、燃料電池の開発を強力に支援します。

図1

P-Stackの特徴:フルスタック全体を解析できる唯一の専用シミュレーター

・運転条件・構造条件に対するセル~フルスタック発電性能予測を高速に実現 (~3日、1セル/1コア計算時)
 ・セル間流量バランスと発電・含水・温度等内部分布との相関
 ・負荷変動時の発電・含水変化、面内乾湿変動、過電圧変動の推定
 ・起動、停止時のガス置換挙動と劣化、発電時の水素欠乏による影響、等
・流量・圧損分布、発熱バランス等のフルスタック熱流動評価を1日で実現(従来のCFDに比べて圧倒的に高速)

  • * 計算速度は動作環境、計算条件に依存します。

コンセプト

高速な解析を実現するP-Stackのモデルコンセプト

燃料電池の内部現象は複数の物理が連成するマルチフィジックスであり、汎用的なCAEソフトで取り扱う場合には計算コストの大きさが問題になります。

P-Stackでは、各種工学モデル(実測によるMEA特性を再現する触媒層モデル、CFD計算で得られる流動特性を再現する配管流動モデルなど)の導入により、要求される計算精度を確保しつつ、実機セル・スタックの評価を高速に実現します。

図1

実験結果を定量的に再現する基本性能

実測による小型セルのIV特性・IR特性を基に決定したP-Stackのモデルパラメータを用いて、実測と同じ条件で小型セルの解析を行いました。下図に各加湿条件におけるIV特性の実測値と計算結果を比較しています。全ての条件で実測値と解析結果が良い一致を示していることがわかります。

図2

次に、内部状態の検証として下図に各種出力電流密度に対する酸素分圧分布の変化について実測と計算結果を比較して示します。いずれの出力電流密度においても両者が良く一致していることがわかります。また、出力電流密度が低い条件(0.22 A/cm2)では、酸素利用率が低く発電分布が均一となるため酸素分圧がほぼ線形に減少するのに対し、出力電流密度が高い条件(0.58 A/cm2)では、酸素利用率が高くなるため発電分布がカソード上流側に集中し、上流側の酸素消費量増加に起因する分布の変化も再現しています。

図3

解析フロー

自動化を追求したP-Stackの解析フロー

P-Stackを用いた解析では、実機セルの3D CADデータと小型セルのMEA特性の実験データを入力とし、下図に示す流れで解析を進めます。

図1

P-Stack 4.0では3D CADからのメッシュ生成およびCFDによる流体パラメーターの決定を自動化し、わずかなGUI操作で処理を実行できるようになりました。これによりシミュレーションのセットアップにかかる時間と労力を大幅に削減しました。さらにP-Stackでは工学モデルの採用により計算時間が汎用的なCAEソフトに比べ大幅に短縮されるため、解析工程のさらなる短縮を実現します。

使い易さを追求したGUI操作

P-Stackでは一連の解析フローを専用のGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を用いて進めます。GUIの開発コンセプトは「マニュアルをあまり見ずに直感的に使えるGUI」。リボンタブ上のボタンを順番に実行していくことで解析フローを進めることができ、メッセージペインには次に行うべき処理の指示や設定の漏れや誤りを随時表示します。

図2

また、 Linux®サーバ上でのCFDや発電解析の並列計算もボタン一つで実行でき、面倒なコマンド操作は必要ありません。また、数値データの入力はMicrosoft® Excel®からのコピー&ペーストをサポートしており、実験で得られる時系列データの入力なども簡便に行うことができます。

3D CADからの自動メッシュ生成*1

最新のバージョンであるP-Stack 4.0では3D CAD(STEPフォーマット)を読み込み、P-Stack用のメッシュを自動で生成することができます。その際、3D CADの形状に対するヒーリング(微小な隙間な除去など)が行われます。

図3
  • *1) 3D CADからの自動メッシュ生成は、株式会社エリジオン(http://www.elysium.co.jp/)が開発したアルゴリズムを基に搭載した機能です。

CFDによる流体パラメーターの自動決定

P-Stackでは、通常のCFDと比較して圧倒的に少ないメッシュを用いつつも、CFDで得られる流動分布を再現する配管流動モデルを採用することでガス・冷却水流路の高速な流量分布や圧力損失の解析を実現しています。新しくなったP-Stackでは流れの圧力損失に関する工学パラメーターをCFD計算により自動決定することができます。入力された3D CADに対し、「CFD計算用メッシュの生成」、「CFD計算の実行」、「工学パラメーターの決定」の一連の処理を自動で実行します。

各種の解析を高速で実現する専用ソルバ

P-Stackのソルバは、燃料電池スタックの複雑な挙動を高速かつ十分な精度で解析することを目的に設計・実装されています。特に、要求される精度を保持しつつ解析に必要な計算量を低減するため、比較的粗いメッシュを用いて燃料電池スタックの構造を取扱いつつ、複数の工学モデルを組み合わせて精度を保証するアプローチを採用しています。

計算結果の可視化

IV特性や流配分布などの各種統計データはP-Stackの専用GUIにてグラフ表示できます。また、メッシュデータの可視化には専用GUIに加え、P-Stack用に改良したオープンソースの可視化ソフトウェアParaViewを用いることもできます。

図4
  • * Linux は、Linus Torvalds 氏の日本およびその他の国における登録商標または商標です。

  • * Microsoft, および Excel は、米国 Microsoft Corporation の、米国およびその他の国における登録商標または商標です。

  • * ParaViewはKitware Inc.の商標です。

  • * その他記載の製品、サービス名は各社の登録商標です。

解析事例

P-Stackの解析事例

P-Stackの開発は、解析対象規模の拡大と現象の再現性向上とを2本の柱として進めてきました。解析対象規模の拡大として、実機サイズのセル・スタックに対する解析が実用的な時間で実行できるようになりました。また、現象の再現性向上としては、発電性能解析の精度向上に加え、発電以外の現象も取り扱うことができるようモデルを拡張しました。このページでは最新版のP-Stackによって可能になった大規模スタック解析の事例やカソードカーボン腐食等を取り扱った事例について紹介します。

図1

解析事例(1):実機セル・スタックの発電性能予測

発電面積260cm2のセルを100~300枚積層したモデルスタック(1セル1冷却)の構造条件と作動条件がスタック性能に与える影響を解析しました。

図2

解析事例(2):実機セルの負荷変動解析

電解質膜の機械劣化の要因となる負荷変動時の乾湿変化の非定常挙動を解析するため、セルに負荷変動(低負荷t1→高負荷t2~t3→低負荷t4:5秒)を与えた計算を行いました。

図3

解析事例(3):実機セル・スタックの耐久性能予測

起動時における水素置換、アノード水素欠乏による触媒層カーボン腐食の抑制は燃料電池の耐久性向上に向けて重要な設計課題です。ここでは、短ピッチ化による起動時のカソードカーボン腐食の増大の要因について解析しました。

図4

解析事例(4):25cm2セルの実測I-V比較

標準的なMEAの25cm2セルの各種運転条件におけるI-V実測値をP-Stackで再現していることを確認後、各種物理量の面内分布を可視化しました。

製品詳細

機能一覧

解析対象

固体高分子形燃料電池(PEFC)
セル単体からスタック全体(400枚規模)

評価可能な項目

■発電性能解析

・スタックの発電分布・含水分布の均一性、セル間流量バランスの設計基準を満たすための流路形状・マニホールド形状の評価
・低ストイキ(水素デッドエンドを含む)、高温(100℃以上)作動時のスタック内物質移動(水分・ガス濃度)バランスと発電分布の均一性の評価
・Pt量削減時のMEA特性の変化に応じたセルおよびスタック内発電分布への影響の評価
・低温起動時のスタック昇温時間を満たすための発熱・伝熱の評価、等

■耐久性能解析

・流路・マニホールド形状に対する起動・停止時の水素置換状況の評価およびカソードカーボン劣化への影響の評価
・負荷変動時に発生する乾湿変動、過電圧変動、温度変動が大きい領域の推定、等

解析可能な物理量

電流-電圧特性(I-V特性)、電流密度分布、過電圧分布、膜含水分布、ガス濃度分布、圧力分布(流路、GDL)、液相体積率分布、温度分布、等

解析モデル

スタック解析までを高精度かつ、実用的な時間で実行可能とした当社独自の工学モデルを適用

■起電力モデル

・開回路電圧(Nernst式)
・電気化学反応(Butler-Volmer式)
・触媒層モデル(触媒層構造に起因する工学モデル)、等

■熱・物質輸送モデル(流路/GDL)

■膜内輸送モデル

・水逆拡散、電気浸透
・プロトン伝導
・ガス輸送(クロスリーク)

■二相流動モデル(流路/GDL)

■熱輸送モデル(固体部分)

計算時間の目安

【セル単体の場合】
定常状態解析: 数時間
負荷変動解析: 数日

【スタック全体の場合】
定常状態解析: 1日~3日程度(スタック400セル積層)

  • * 1セルあたり1コアを用いたときのベンチマーク結果

  • * 標準的な形状の燃料電池セルを用いた場合の目安です

  • * 計算時間は実行環境によって変動します

販売形態

ライセンス形態

年間使用許諾(ユーザーサポート・保守を含む)

サポート・保守に含まれる内容

ソフトウェアの使用に関する質問へのメールまたは電話による回答、ソフトウェアの導入作業、はじめて利用される方向けの講習会の実施、バージョンアップ版の提供

動作環境

P-Stackでは、プリ・ポスト処理をWindows®のユーザー端末にて行い、CFDや発電計算などをLinux®の計算サーバで行います。

図1

以下にユーザー端末および計算サーバの動作環境を示します。単セルの解析のみを行うか、スタックの解析も行うかによって要求される計算機スペックが異なります。

1. Windows PC

CPU

Intel/AMD, 64bit

ディスク

1TB以上

グラフィック

NVIDIA Quadro, OpenGL 4.5以上

ディスプレイ

解像度 1920x1080以上

OS

Windows10,11

ライブラリ

Microsoft .NET Framework 4.7以上

2. Linuxサーバ(単セル・ショートスタック用途)

CPU

Intel/AMD, 64bit, 16コア以上

メモリ

128GB以上

ディスク

5TB以上

OS

Red Hat Enterprise Linux7, 8

3. Linuxサーバ(フルスタック用途)

CPU

Intel/AMD, 64bit, 全体で100コア以上(クラスタ構成を前提)

ディスク

20TB以上

OS

Red Hat Enterprise Linux7, 8

ノード間通信

Infiniband

  • * 上記は推奨動作環境の一例です。

  • * 「P-Stack」は、当社の登録商標です。

  • * Windows は、米国 Microsoft Corporation の、米国およびその他の国における登録商標または商標です。

  • * Linuxは、Linus Torvalds 氏の日本およびその他の国における登録商標または商標です。

  • * その他記載の製品、サービス名は、各社の登録商標または商標です。

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