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REPORT レポート

みずほリサーチ&テクノロジーズ技報 Vol.4 No.1

目次

巻頭言

巻頭言
サイエンスソリューション部長 米田雅一
(PDF/169KB)

量子コンピュータ・AI・機械学習モデルの最新技術

概要へ

01. ノイズ下における最適量子振幅推定と適応的測定基底
大塩耕平、鈴木洋一、和田凱渡、久永慶瑚、宇野隼平、山本直樹(概要
(PDF/883KB)
02. 耐量子暗号アルゴリズムML-DSAの解説
玉垣勇樹(概要
(PDF/634KB)
03. Physics-Informed Neural Networksによる2次元円柱後流のReynolds数の逆解析
中村幸太郎、山出吉伸、水原慎一、小泉拓(概要
(PDF/2,399KB)
04. サロゲートモデルによる化学反応パラメータの同定
水原慎一、小泉拓、中村幸太郎、山出吉伸、永野勝尋(概要
(PDF/1,323KB)

《コラム》工学シミュレーション-現代社会の縁の下の力持ち- 小坂部和也(PDF/542KB)

安全・安心な社会のための数理技術

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05. 水道スマートメータを用いたデータの利活用の検討
小林諒也、眞鍋尚、市川孝之、下元正義(概要
(PDF/645KB)
06. 小流域を対象とした貯留関数法を用いたリアルタイム水位予測に関するシミュレーション
高椋恵、図司陽平、小坂部和也(概要
(PDF/1,197KB)
07. 都市デジタルツインの社会実装に向けて
眞崎浩一(概要
(PDF/705KB)
08. 海洋-波浪結合モデルを用いた高潮推算事例の紹介
全種赫、坂本大樹(概要
(PDF/1,506KB)

サステナブルな社会を実現するためのデジタル技術

概要へ

09. メタネーションに関する数値解析モデルの構築とリアクタ運転条件の検討への活用
賀須井直規、宮本裕平、永野勝尋、山出吉伸(概要
(PDF712KB)
10. 固体高分子形燃料電池の電流密度・抵抗分布の計測とシミュレーション
塚本貴志、森川龍一、松田裕満、清水建博、菅原瑠偉、高山務(概要
(PDF/1,224KB)
11. RNA-タンパク質複合体構造予測のための3D-CNNによる評価モデルの開発
谷村直樹、石田純一、浜田道昭(概要
(PDF/911KB)
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概要

01. ノイズ下における最適量子振幅推定と適応的測定基底
量子振幅推定は、量子コンピュータの多様な応用においてその性能を引き出すための鍵となる基盤技術である。一方で、ノイズの影響が避けられない現在の量子デバイス環境下では、既存の手法では理論的に達成可能な最良の推定精度に到達することが出来ない。本稿では、量子推定理論に基づき、測定基底を適応的に最適化することで、ノイズのある量子コンピュータにおける量子振幅推定の推定精度を理論限界まで向上する手法を提示する。

02. 耐量子暗号アルゴリズムML-DSAの解説
量子コンピュータが実用化されると、RSAやECDSAなど従来の公開鍵暗号は解読可能になり、通信の安全性が失われるおそれがある。本稿では、National Institute of Standards and Technology(NIST)が進める耐量子暗号標準化プロジェクトの最新動向を俯瞰し、特に2024年にFIPS 204として標準化された格子ベース署名方式であるML-DSAを中心に解説する。具体的には、ML-DSAのFiat-Shamir with Aborts型ゼロ知識識別プロトコルの流れを、Schnorr署名との対比を通じて説明する。最後に、同一メッセージに対する署名の偽造困難性をSelfTargetMSIS問題の求解困難性へ帰着させることで、署名の偽造困難性を導く安全性証明の要点を解説する。

03. Physics-Informed Neural Networksによる2次元円柱後流のReynolds数の逆解析
Physics-Informed Neural Networks(以下PINNs)を用いて、2次元非定常・非圧縮の円柱後流のReynolds数Reを逆解析した。PINNsの学習データにはOpenFOAMで計算したRe = 100(Re:= ρUD/μ、ρは流体密度、Uは主流速度、Dは円柱直径、μは流体粘度)の速度場を用いた。PINNsの損失関数を評価する点(以下、サンプリング点)を空間的にランダムに選ぶ場合よりも、固有直交分解(Proper Orthogonal Decomposition、以下POD)によって速度場から抽出したPODモードの振幅が極大・極小となる点(以下、特徴点)から選ぶ場合のほうが高い精度でReを推定できることを示した。渦度場の空間モードから検出した特徴点で逆解析すると、Reの推定精度がより高いことを示した。

04. サロゲートモデルによる化学反応パラメータの同定
化学反応プロセスの最適な運用に向けては、実験を再現するシミュレーションが不可欠であり、そのためには反応速度定数などの化学反応パラメータを効率的に同定する必要がある。本研究では、反応器内のCO2メタネーション反応を対象として、観測された反応器内の温度分布を再現するような化学反応パラメータを同定する逆問題を考える。同反応の一次元数値シミュレーションで得た模擬データを用い、Neural Network(NN)で学習したサロゲートモデルによるグリッドサーチでパラメータ同定を行い、同定精度や学習データ数の影響を評価した。また、繰り返し実験データを観測する状況において、未知パラメータの予測不確実性を考慮したガウス過程回帰モデルによる手法を考案することで、観測データ数を抑えつつ高精度なパラメータ同定が可能であることを示した。

05. 水道スマートメータを用いたデータの利活用の検討
水道分野におけるインフラの老朽化や労働人口の減少などによる諸問題をDX化により解決するアプローチの1つとして、端末から使用水量データを送信可能な「スマートメータ」の利用が検討されている。本論では水道スマートメータの導入によるデータ利活用の各種効果と課題について整理するとともに、当社の取り組みを紹介する。

06. 小流域を対象とした貯留関数法を用いたリアルタイム水位予測に関するシミュレーション
当部では十数年に亘り都市型水害に関する受託解析に取り組んできた。また近年、気候変動による水害が頻発しており、水害に関する解析が必要とされている状況から、都市型水害解析ソフトウェアMC-FLOODの開発を行ってきた。一方、観測技術や降雨予測の技術が発展することで、河川水位のリアルタイム予測が実施可能となってきており、住民や防災活動を実施する組織にとって益々重要となると考えられる。そこで、リアルタイム予測を目的として、簡易な河川水位予測モデルを作成し、データ同化機能を追加してその推定状況を検討した。

07. 都市デジタルツインの社会実装に向けて
都市のデジタルツインについては、国内外で様々な取り組みが進んでおり、防災やインフラ管理、環境評価などに活用している事例もある。一方で、都市の課題解決のために、都市デジタルツインの技術が広く活用されるようになるためには、まだまだ克服すべき課題も多く、さらなる検討、技術開発が必須である。本レポートでは、それらの課題を整理しつつ、都市デジタルツインの社会実装へ向けた取り組みを紹介する。

08. 海洋-波浪結合モデルを用いた高潮推算事例の紹介
近年、自然災害の激甚化・頻発化により、防災・減災対策が急務となっている。そのなかで、高潮・波浪推算シミュレーションは、防波堤設計やハザードマップ作成に不可欠となっている。本論では、高潮と波浪の関連性を整理し、海洋モデルROMSと波浪モデルSWANを結合したCOAWSTを用い、d4PDFの台風トラックデータに対して高潮推算を行った事例を紹介する。

09. メタネーションに関する数値解析モデルの構築とリアクタ運転条件の検討への活用
カーボンニュートラルの実現に向けて、工場等の排出ガスや大気中から分離・回収されるCO2の有効利用として、CO2とH2からメタンを合成するメタネーションが注目を集めている。その工程の中心をなすサバティエ反応は温度依存性の強い発熱反応であり、メタネーション工程の高効率化に向けてはリアクタ内の温度の適切な制御が必要である。今回、筆者らは、COMSOL Multiphysics® (ver. 6.2)を用いてメタネーションリアクタを模擬した流体・伝熱・化学反応の連成解析モデルを構築し、その高効率化に向けた適切な運転条件の検討を実施した。当社では、今後も数値解析技術を活用して、メタネーションをはじめとする脱炭素関連技術の社会実装に向けた取組に貢献していく。

10. 固体高分子形燃料電池の電流密度・抵抗分布の計測とシミュレーション
燃料電池内部の電流密度や湿度などの分布を正確に把握・予測することは燃料電池の性能や耐久性向上において重要となる。本研究では、1×10cm2のMEA(膜電極接合体)を有する8セグメントの分割セルを作製し、高温・高電流密度を含む様々な動作条件下におけるMEA内の電流密度および抵抗の面内分布を測定し、実測値と3次元燃料電池シミュレーションの予測結果を比較した。その結果、電流密度分布は特に湿度およびカソードストイキ比に依存し、その実験結果をシミュレータが良く再現することを確認した。また、将来想定されている高温運転条件下における電流密度分布と電解質膜厚みの関係をシミュレーションで予測し、考察を行った。なお、本報告と同じ内容を燃料電池開発情報センター(FCDIC)の機関誌「燃料電池」に寄稿済みであり、本報告書は同センターの許可を得て掲載するものである。

11. RNA-タンパク質複合体構造予測のための3D-CNNによる評価モデルの開発
RNA-タンパク質複合体の構造予測がシミュレーションを用いて行われているが、結果として得られる多数の構造から正解を特定することは未だ容易ではない。この課題の解決に向けたデータ駆動型の手法を提案する。本研究では、複合体の3次元構造を学習データとし、3D-CNN(3次元畳み込みニューラルネットワーク)を用いて構造の妥当性を評価するモデルを構築した。この評価モデルは、既存のシミュレータで提示されるエネルギー指標と同等の性能を有する。さらに、説明可能なAI(XAI)技術を適用することで、評価の根拠を物理化学的に解釈できる可能性も示した。本技術の発展により、創薬などに向けたRNAアプタマー配列の効果的・効率的な設計プロセスの構築に大きく貢献することが期待される。

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