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顧客が大満足する、「見積書」の書き方

掲載日:2020年10月5日財務資本戦略

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「見積書」は、クライアント(顧客)からの発注が取れるか否かの決め手となる重要なものです。しかし多くの中小企業では、自己流で作成していることが多いように見受けられます。
また、そもそも見積書を作成する目的や必要項目について、しっかりと理解しているでしょうか?基本をきちんと押さえていないばかりに、取れる受注をみすみす逃しているなんてこともあるかもしれません。
本稿では、クライアントを納得させるための「見積書」の書き方を解説します。

自己流で作成していると、顧客の信頼を得られないことも?

経営者はもちろん、ビジネスパーソンなら、これまでの業務の中で、数々の「見積書」に触れてきたはずです。ただ、見積書の重要性を十分理解している方は少ないかもしれません。
見積書とは、クライアントと正式な契約を交わす前に、仕事を受注する側がクライアントに対して発行する書類で、自社の商品やサービスの詳細、その単価・数量・合計金額などを記載したものになります。

ただ、見積書には決まったスタイルや記載方法がありません。そのため、それぞれの企業が自己流で作成するケースも多く、また、「昔から引き継がれてきた形式を使っている」「経理が用意したテンプレートを使っている」といった具合に過去を踏襲するだけで、見積書を単なる“書類”のように位置付けている会社もあるようです。
しかし見積書は、活用次第ではビジネスを守り、成功させるための“武器”にもなっていくのです。

現在のビジネスは、競争社会です。長年、自社と取引がある親密な企業にも競合会社がアプローチをかけている可能性がありますので、見積書を提出する場合には、油断は禁物です。
また、自社が新規企業にアタックする場合にも、その会社は、複数の事業社に見積もりを依頼(相見積もり)して、商品やサービスの内容、価格面などで自分たちにメリットの大きい取引先を選ぶこともあるので、見積書自体に工夫が必要となります。

そもそも、見積書を作成する第一の目的は、クライアントに発注を検討してもらうための参考材料を提供するということです。
クライアントは、見積書に記載された内容・条件で発注するのか、あるいは内容・条件が有利になるように交渉を行うか、はたまた別の事業社に発注するのかを検討していきます。したがって見積書は、取引を獲得するために、自社の「主張」をしていく場と考えてみてもいいかもしれません。

また、第二の目的として、見積書作成には仕事を獲得した後のトラブルを避けるという意味もあります。
口頭だけの約束で業務を始めた場合、商品やサービスを提供した後に、「聞いていた話と、納品物や金額が違うので、代金を支払いません」といった問題が発生することがあるそうです。見積書は、作業前に、クライアントと自社の認識を共有するものであることも理解すると良いでしょう。

これだけは知っておきたい!見積書作成の重要ポイント

では、見積書に記載すべき項目にはどんなものがあるのでしょうか?
まずは現在、自社で活用している見積書のフォーマットを確認してみましょう。
基本的には、下記項目が記載されていれば良いといわれています。

  1. タイトル(例:「お見積書」「見積書」「お見積もり」)
  2. 宛先
  3. 発行日(提出日)
  4. 見積書番号(通番)
  5. 自社の会社名・住所・連絡先(電話番号・メールアドレス)、担当者名(作成者名)、捺印
  6. 見積の総額
  7. 商品名
  8. 商品の数量×単価=小計+消費税=合計金額
  9. 納品場所
  10. 納期
  11. 見積書の有効期限
  12. 備考(補足説明)

普段使用している見積書をチェックしてみて、上記の項目で抜け落ちているものがあれば、早急にフォーマットの改善を考えた方が良いでしょう。
欠落している項目がある場合は、実は、クライアント側が不便さを感じているケースも少なくありませんし、自社の「主張」が不十分だとも考えられます。さらに、それによって、受注の機会を失っている可能性がないともいえません。
次に、それぞれの項目の記載に際し、特に注意すべきポイントを5点お伝えします。

一つ目は、②の「宛先」です。ここでは、見積書の提出先によって、書き方を使い分けるようにしましょう。
例えば、「会社」対「会社」で見積書を提出する場合は、宛先を提出先の会社名にします。会社名は正式名称で記載し、(株)と略さずに「株式会社」と記載してください。
また、提出先が大きい企業の場合は、会社名だけではなく、提出先担当者の部署、名前まで明記すると効果的です。敬称は、会社宛の場合は「御中」、人名の場合は「様」を使います。

二つ目としては、④の「見積書番号(通番)」に注意しましょう。見積書の項目として設定していない企業もあるようですが、設定する方が望ましいといえます。クライアントには、数多くの見積書が届いていることがありますし、また、自社からも様々な見積書を提出しているケースが少なくありません。こういった場合、クライアントとの打ち合わせ時に、「○○番の見積書の件で」と伝えることで、間違いが起きず円滑なコミュニケーションが図れるようになります。
さらに、クライアントから見積書の再発行の依頼があった場合などには、該当する見積書を探すために、「見積書番号(通番)」があれば非常に便利です。

三つ目は、⑥の「見積の総額」でしょう。企業によっては、Excelなどの表計算ソフトを使って、計算式を入れた表組み内だけで、商品の数量・単価・小計・消費税・合計金額を表記する見積書フォーマットを使っている場合があります。
ただ、クライアントにとっては、総額がいくらになるのかが、一番気になるところです。したがって、見積書の目立つ位置に、タイトルと同じく、少し大きめのフォントで「見積の総額」を明記することを忘れないでください。
そして、この総額が、明細の合計金額と一致していることを確認するようにしましょう。

四つ目としては、⑪「見積書の有効期限」があげられます。
クライアントからの発注を獲得した場合、提出した見積書の内容・条件で、商品やサービスの制作を進めることになりますが、それぞれの開発には、人件費はもとより原材料費がかかることになるでしょう。人件費や原価は流動的な場合が多く、過去に提出した見積書の金額のままで仕事を受けようとすると赤字になってしまう場合もあります。
したがって、見積書には、有効期限を明記する必要があります。「有効期限1ヵ月」や「本見積書の内容は提出後2週間有効」などと記載するようにしましょう。

そして、⑫の「備考」です。
この項目は本来、見積もり内容について補足説明をするために使用する欄ですが、実は、自社の姿勢と能力を示す、格好の項目となります。
通常は、納品先(支社が複数ある場合など)や全体に関わる注意書きなどを記入して、クライアントとの間に誤解が生じないように利用します。しかし、自社の商品製作について、「本件の商品製作において、弊社が取得するISO14001に沿って、環境を考慮して仕上げます」などと明記することによって、自社の技術力を訴求することも可能です。「備考」項目は、会社によっていくらでも活用できるのです。

見積書を効果的にする3つのコツとは?

良い見積書を作る事は、自社の将来を切り拓くことにも繋がります。会社内で、見積書を作成する、チェックする、承認するといった立場である方は、このことを理解して、今後、見積書と向き合いたいものです。
最後に、クライアントを満足させる見積書作りの3つのコツについてお伝えします。

1. クライアントが望み、見やすいと感じるフォーマットで作成する

見積書は、自社を「主張」するものとお伝えしましたが、一方で自社の考え方ばかりを押し付けるようなものでは、クライアントは嫌悪感を抱くかもしれません。
クライアントが見積書を求めるときには、その背景に、その商品やサービスに求める本質があるものです。まずは、それをしっかりと把握した上で、クライアントが求める方向性に沿って、見積書の内容を考え、作成するようにしましょう。そして、その方向性の中で、自社でできることを最大限に「主張」していくことが大切です。
また、自社の言いたいことだけを詰め込むのではなく、見積書を確認するクライアントが、どのようなフォーマットなら見やすいかを考えると良いでしょう。

2. 詳細を明確に記入して、文字や数字に間違いのないようにする

クライアントは商品制作やサービス構築の詳細までは知らない事が多いので、見積書に細かい内容は書かなくてもいいのではないかと考える方もいますが、そうとは限りません。
「単価」や「数量」などを「一式」としてまとめてしまうのではなく、詳細をしっかりと記入していけば、コストにおける企業努力を示すことになりますし、細かく明記することによって、真摯な態度をアピールできます。
当然、企業名や商品名、数量などを明記した文字や数字には、間違いを起こさないことです。間違いがあると、自ら正確さに欠ける企業だと言っているようなものなので、細心の注意を払う必要があります。

3. スピーディに動き、提出期限よりも前に!

見積書を求められたときには、クライアントから指定される提出期限があるでしょう。
ただ、期限ギリギリに提出するのではなく、少しでも早く提出することで、自社の印象は良くなることでしょう。その素早い動きが、実は、クライアントが自社を判断する材料にもなりますし、その後仕事を頼んだとしても、スケジュールを守るだけでなく、余裕を持った働き方をする会社である、とアピールすることにもなります。

ここまで述べてきましたように、見積書の作成については、様々な注意点があります。
ちなみに、インターネットなどで検索してみると、見本テンプレート(有料・無料)をダウンロードして手に入れることができます。
見積書は、クライアントの業種や業態によって記載すべき内容が異なる場合もありますので、それらの見本を参考にして、自社が活用しているフォーマットと比較しながら、クライアントに刺さるような見積書を考えたいものです。

漏れがなく、かゆい所に手が届くような見積書は、クライアントを納得させるだけではなく、見る人を感動させ、信頼関係を築く“ツール”にすらなります。ぜひ、そんな見積書の作成をめざしてみてはいかがでしょうか?

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)

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