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逆境に強い会社の“経費マネジメント”とは?

掲載日:2020年6月5日財務資本戦略

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経営者として会社運営をしていく中で、厳しい状況を迎えることもあるかと思います。そうした逆境に立ち向かうための経営戦略は様々ですが、その中でも手をつけやすいものの一つが、「経費を可視化して抑えること」です。企業の基本ともいえますが、なかなか取り組めていない会社も多いようです。本稿では、会社の財務体質強化にもつながる、「経費管理」について説明します。

「売上至上主義」から「利益重視」への発想転換

難局をどう乗り越えていくか——。経営者にとっては大きな試練になりますが、会社の体質を強化するチャンスでもあります。次なる飛躍に向けて、思い切った発想・行動の転換をすれば、可能性も広がっていくのです。

その際に大事なのは、「売上至上主義」から「利益重視」へと考え方を変えていくことだといえます。

多くの経営者は、売上の増減で自社の業績を判断するのではないでしょうか。だからこそ、売上が減ることは何としても避けたいと思い、「前期の売上が10億円であれば、今期は11億円を……」とめざしていきます。また反対に、「今期の売上が9億円台に下がることは絶対にあってはいけない」と考えるのです。
従って、会社が厳しい状態にある場合、「売上を確保するために……」と、赤字覚悟で仕事を受けてしまう経営者がいるかもしれません。

しかしながら経営が厳しい中で、そうやって売上を増やそうとすると、社員の仕事が増えるばかり。忙しくなるだけで、会社は決して上向きません。また、社員のモチベーション低下とともに、業績も悪化していきます。
この状況を改善するには、トップ自らが、売上至上主義から利益重視に発想を転換する必要があるでしょう。さらに、利益重視の考え方を社員に周知徹底していくことも重要です。

手段を間違えると大失敗、コスト削減の正しい道

会社の利益を増やす方法は、大きく2つに分けられます。「利益率の高い案件を獲得する」か、「コストを下げる」かです。いずれかを選択するのではなく、同時並行で進めていく必要がありますが、厳しい環境の中で利益率の高い案件を確保するのは容易ではないでしょう。
まずは、コストの削減から手を付けるのが有効です。

コストには「変動費」と「固定費」がありますが、削減効果がより高いのは固定費です。毎月必ず支払いが発生する固定費は、一度削減するとその効果が長期的に続くからです。
とはいえ、固定費の中で、人件費や事務所経費といった目に見えやすいものばかりに気をとられると、逆効果になりかねません。強引に人件費を削減すれば優秀な社員は辞めてしまうかもしれませんし、事務所の家賃を抑えるために移転などをすると、快適に仕事を続けることが困難になり、社員の生産性が下がってしまう恐れもあります。

そこで注目したいのが固定費の中でも「一般経費」の可視化です。経費の可視化には「法人カード」の活用が効果的といわれています。法人カードは支払い口座を会社名義のものに指定できるため、会社の経費管理をよりシンプルなものにできます。経営者と社員が使った経費を包括的に管理するための味方といえるでしょう。

「経費管理」を可視化! 何をどうする?

経営者の中には「自分が使った分の一般経費の支払いに個人のクレジットカードを利用し、後日精算する」という人も多いかと思いますが、それでは私用の支払いと事業用の支払いが混在してしまいます。
しかし、事業用の支払いを法人カードで行うことで、利用明細を見たときに「いつ」「どこで」「いくら」経費を使ったのか一目瞭然となり、無駄遣いを発見することが容易になります。経費削減には、このように経費の流れを可視化することが有効です。

また、毎回個人カードで経費を支払っていると税務調査対象となる可能性が高くなるともいわれています。経営者としてトラブル発生の未然防止にもしっかり取り組んでいきたいものです。

最近では、法人カードとして「デビットカード」を利用する企業が増えているようです。デビットカードは利用時に口座から、即時代金が引き落としとなるため、クレジットカードのように「未払金勘定」として管理する必要がなく、より可視化がしやすいのが特徴です。
また、クレジットカードは発行するために審査を通過する必要がありますが、デビットカードは審査なしで発行できるので、法人カード活用の第一歩に向いているといえるでしょう。

経費管理で財務体質の強化。身近な部分の取り組みで浮上のきっかけを!

このように経費管理を可視化していくと、不必要な経費の支出が減っていくと考えられます。接待費の使いすぎを防ぐことにもなるでしょう。コストが下がれば利益率は上がり、会社の財務体質を強化することにつながります。

また、経営者が経費で公私混同している会社では、社員も経費を不正請求することにもつながりかねません。「社長が無駄遣いしているのだから、自分たちも少しくらいいいだろう……」といった心理が働くからです。
結果、社内のモラルはどんどん低下していき、業績悪化につながるかもしれません。社員のモチベーションも下がる一方です。経費管理の“可視化”は、こうした悪循環を未然に防ぐことにも役立つといえるでしょう。

逆境をチャンスに変えるには、こういった身近なことから見つめなおすことが重要です。まずは、すぐに着手できる経費管理の改善から取り組んでみてはいかがでしょうか?経営者自ら率先して経費管理を徹底すれば、自社の財務体質強化を図ることができるでしょう。

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)

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