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向き合いましょう!財務諸表は会社の通信簿

掲載日:2019年10月31日財務資本戦略

キービジュアル

経営者が会社の財務状況を分析することで、会社の全体像や問題点を把握することができます。企業活動の結果は、財務諸表(財務4表:貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書)で数値として表されます。また、この数値から経営の収益性や健全性といった状況を知る主な手法として、収益性分析、安全性分析、生産性分析などがあります。本稿では基本的な財務分析の手法について紹介します。

会社を把握する3つの財務分析手法

主な財務分析手法

  1. 1.利益を生む力を見る収益性分析
  2. 2.倒産リスクを測る安全性分析
  3. 3.効率性を調べる生産性分析

分析手法について解説する前に、経済産業省の「ローカルベンチマーク(通称:ロカベン)」で、無償で利用できる、財務分析に役立つ便利なツールを紹介します。

貸借対照表は過去3期分と損益計算書は過去4期分のデータを使い、用意されている入力シートに転記するだけで、(1)売上高増加率(売上持続性)、(2)営業利益率(収益性)、(3)労働生産性(生産性)、(4)EBITDA有利子負債倍率(健全性)、(5)営業運転資本回転期間(効率性)、(6)自己資本比率(安全性)を自動的に算出できます。自社の財務状況について同業他社との比較分析も可能で、自社の経営状態を把握するのに役立つでしょう。

経済産業省「ローカルベンチマーク(通称:ロカベン)」
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/

利益を生む力を見る収益性分析

企業が存続していくためには、利益を上げて、再投資をしていく必要があります。企業がどのぐらい利益を生む力を持っているのかを調べるのがここで説明する収益性分析です。
収益性分析を行う場合、まず自社の売上高や利益について「どのくらいの水準を目標にすれば良いのか」を考える必要があります。そのため、収益性分析では一般的に、次のような比較・分析を行います。

  1. 1.自社の過去の業績との比較(前年度比、前年同月比、過去3期の比較損益計算書など)
  2. 2.同業他社、競合会社、業界平均値などと比較
  3. 3.目標・予想と実績との比較(目標そのものを過去の業績や他社比較から作ることも多い)

優れたパフォーマンスを実践している企業のことを手本に、理想的な財務内容をめざす手法をベンチマーキングといい、収益性分析についてもこれがあてはまります。

倒産リスクを測る安全性分析

企業にとって、どんなことがあっても避けなければならないのが倒産です。安全性分析によって、企業が倒産しないように自社の財務的リスクの度合いを把握することができます。その主な指標としては、自己資本比率などがあげられます。
安全性指標が低下すると、企業の資本コストが上昇することにより、企業価値が低下するなどといったデメリットが生じます。このほか、取引先との関係や人材採用などの面でも影響が生じる可能性も考えられます。
安全性分析は、自社だけでなく、他社の経営状況を分析する際にも有用と考えられます。例えば、新規取引先の財務内容を把握し、その安全性を分析すれば、「この相手先とは、どの程度の規模まで取引可能か」など与信管理にも活用することができるでしょう。

効率性を調べる生産性分析

企業が持っている経営資源には限りがあり、少ない投資で大きな売上や利益を得られれば、その分生産性は高まります。いかに効率的に利益を生み出しているかは、生産性分析によって認識できます。
生産性分析は大きく分けて2つの視点があります。1つ目はどれだけの付加価値を上げたのかを従業員一人ひとりで測る労働生産性、2つ目は設備一つひとつで見る資本生産性です。

付加価値の算出方法は様々ありますが、ここでは中小企業庁方式と呼ばれる計算式を紹介します。

付加価値 = 売上高 - 外部購入価額(商品仕入高、原材料費、外部加工費など)

付加価値を従業員数で割ったものが労働生産性で、企業が所有する設備を金額換算して割ったものが資本生産性です。結果の値が高いほど、従業員や設備がしっかりと働いていることになり、生産性が高い商品やサービスはさらに伸ばす施策を打つことで業績向上への貢献に期待できます。一方、低くければ生産体制を見直すか、場合によっては撤退という判断も必要になるでしょう。

収益性分析と安全性分析の代表的な指標(比率)

以下記載の指標が、収益性と安全性を分析する上での代表的な指標になりますので、参考にしてください。

収益性分析

  • 売上高総利益率(%)= 売上総利益/売上高
  • 売上高営業利益率(%)= 営業利益/売上高
  • 売上高経常利益率(%)= 経常利益/売上高
  • 売上高当期利益率(%)= 当期利益/売上高
  • 総資本利益率(%)= 経常利益/総資本
  • 自己資本利益率(%)= 当期利益/自己資本
  • 総資本回転率(回/年)= 売上高(年商)/総資本平均在高
  • 売掛債権回転率(回/年)= 売上高/売掛債権平均在高
  • 棚卸資産回転率(回/年)= 売上高/棚卸資産平均在高
  • 固定資産回転率(回/年)= 売上高/固定資産平均在高

安全性分析

  • 流動比率(%)= 流動資産/流動負債
  • 当座比率(%)= 当座資産/流動負債
  • 自己資本比率(%)= 自己資本/総資本
  • デットエクイティ(D/E)レシオ(%)=有利子負債/自己資本
  • 借入金依存度(%)= 有利子負債/総資本
  • 固定比率(%)= 固定資産/自己資本
  • 固定長期適合率(%)= 固定資産/(自己資本+固定負債)
  • インタレストカバレッジレシオ(倍)=(営業利益+受取利息)/支払利息

本コンテンツは独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営するサイト「J-Net21(https://j-net21.smrj.go.jp/index.html)」内の記事「経営ハンドブック(https://j-net21.smrj.go.jp/handbook/finance/treasury.html)」を一部加筆・変更したものです。

上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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