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退職金にかかる税金はどのくらい?計算方法を解説!

掲載日:2019年8月19日財務資本戦略

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退職金にかかる税金は、給与所得とは違った計算方法をすることをご存じでしょうか。
退職金にかかる税金がいくらになるのかは、退職者だけでなく退職金を支払う企業も理解しておいた方が良いでしょう。本稿では退職金にかかる税金の仕組みや計算方法について紹介します。

退職金にかかる税金の計算方法は

ここで申し上げる退職金とは、退職をしたときに支払われる一時金を指し、「退職所得」と呼ばれるものです。定年退職や再雇用など職場を離れる場合や役員などに就く場合、また、退職金のある企業が倒産した場合や、解雇予告手当を受け取った場合も退職所得に分類されます。
一方、仕事をしているときにもらうお金は「給与所得」と呼ばれ、退職所得とは別の種類の所得となり、税金の計算が異なるため注意が必要です。退職所得にかかる税金は、所得税・復興特別所得税・住民税ですが、通常の給与所得の税金よりも負担が少ないという特徴があります。退職金にも所得税は発生しますが、所得控除額は勤続年数や年収によって大きく変わります。
退職金は、退職する人によってもらえる金額はひとりひとり変わってくるため、個別に計算するしかありません。そこで計算の仕方について、一度、勤続年数などをあてはめて計算してみることをおすすめします。

所得税の計算

まず、退職金の所得税を算出するためには「所得税および復興特別所得税額」を出さなければなりません。
退職金に関する所得税の計算は「所得税額=課税退職所得金額×所得税率-控除額」で出すことが可能です。課税退職所得金額は勤務先から支給される収入金額から退職所得控除額を差し引いた金額の2分の1で算出できます。この金額と「基準所得税額×2.1%」を計算した復興特別所得税額を合計したものが所得税及び復興特別所得税額となります。
所得税は収入金額や勤続年数によって金額は大きく変わってきます。勤続年数によって、所得税の計算で必要な控除額が変わり、年収によっての所得税額も国税庁が定めた金額となるため、所得税の計算をする際には勤続年数や年収と控除額を照らし合わせておくと良いでしょう。

控除額の計算

退職所得控除額の計算式は勤続年数が20年を超える場合と超えない場合で違ってきます。

勤続年数 退職所得控除額

20年以下

40万円×勤続年数
(80万円に満たない場合には、80万円)

20年超

800万円+70万円 ×(勤続年数-20年)

まず、勤続年数が20年以下の場合、控除額の計算は「40万円×勤続年数」で算出することができます。例えば、勤続年数が10年だった場合は40万円×10年=400万円となります。
一方、勤続年数が20年より長い場合は、「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」の計算式を利用します。20年を超えて働いた場合、年収も徐々に上がり退職金の額も高額になっていくでしょう。その際に、20年以下の計算式と同じだと控除できる金額が小さくなるため、より退職金の税負担を減らすために800万円+70万円の控除額となっているのです。
例えば、勤続年数が30年だった場合、控除額は800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円となります。このように、勤続年数が20年を境に計算方式が大きく変わってくるので間違えないように気を付けましょう。
控除額の計算をする場合、勤続年数の数え方は端数を切り上げる方法をとります。勤続年数が1年と1日だった場合でも、1日を1年として計算するので勤続年数は2年となります。
なお、控除額の算出された額が80万円以下の場合は、控除額を80万円とすることができます。控除額が80万円を切るケースは勤続年数が1年未満の人に多く、控除されないと勘違いしてしまう人も少なくありません。そのため、最低でも80万円の控除は受けられることを知っておくと安心です。
さらに、勤務先で障害者になったことが原因で退職する場合は、100万円を加算した金額になります。この100万円は控除額計算後に加算するため、20年以下の場合は(40万円×勤続年数)+100万円と計算しましょう。

実際の計算

ここでは、勤続年数20年以下で退職金を受け取ったパターンと、勤続年数20年以上の2パターンで実際に計算していきます。

退職金支給額が800万円・勤続年数10年2ヵ月の場合

まず、退職所得控除は20年以下なので計算式は
40万円×11年(勤続年数は切り上げ)=440万円、
続いて課税退職所得金額は
(800万円-440万円)×1/2=180万円となります。

次に所得税額を計算していきますが、「所得税率」と「控除額」を国税庁の所得税額表から調べておく必要があります。国税庁の平成31年分所得税の税額表によると、課税退職所得金額が180万円の場合、所得税率は5%・控除額は0円です。

調べた所得税率をもとに所得税額を計算すると、
課税退職所得金額180万円×所得税率5%-控除額0円=9万円となります。

さらに、所得税および復興特別所得税は
所得税額9万円+基準所得税額9万円×2.1%=91,890円です。

つまり、退職金支給額800万円・勤続年数10年2ヵ月で退職した場合の所得税及び復興特別所得税は91,890円と計算することができます。

退職金支給額2,300万円・勤続年数が29年2ヵ月の場合

まず、退職所得控除の計算には、800万円+70万円×(勤続年数-20年)が適用され、
800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円となります。
勤続年数は切り上げなので30年でなければなりません。

次に、課税退職所得金額は、
退職金支給額2,300万円-1,500万円×1/2=400万円です。

続いて、所得税額を計算するために国税庁の税額表を参考にすると、330万円超695万円以下は税率20%、控除額427,500円とあるため、こちらを所得税額の計算式にあてはめると
課税退職所得金額400万円×所得税率20%-控除額427,500円=372,500円となります。

また、所得税および復興特別所得税は、
372,500円+372,500円×2.1%=380,322円です。

勤続年数が20年を超えると計算式は若干変わりますが、所得税額の計算方法は同じです。一見難しそうですが、計算自体はそれほど複雑ではないので、1項目ずつ計算式を確認しながら算出していきましょう。

本コンテンツは弥生株式会社が運営するサイト「スモビバ!」( https://www.sumoviva.jp/ )内の記事内の記事「退職金にかかる税金はどのくらい?計算方法について事例とともに解説!」( https://www.sumoviva.jp/trend-tips/20190322_1685.html )を一部加筆・変更したものです。
上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

当初作成日:2019年3月22日

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