繰越欠損金に対する財務戦略について
掲載日:2018年5月30日財務資本戦略
- 2016年度税制改正により、「欠損金の繰越控除制度」*1の控除限度・繰越期間が変更されました。
- 通常の課税所得により繰越期間内で繰越欠損金が消化できない場合の財務戦略上の対応として、含み益資産の売却が考えられます。
- 当該資産の売却益と繰越欠損金との相殺により、税メリットの享受・CFの極大化が図れます。
- *1 税務上、単年度の課税所得がマイナスとなり税務上の欠損金が生じた場合、その発生年度の翌期以降で繰越期限切れとなるまでの期間(「繰越期間」という)に課税所得が生じた場合には、課税所得を減額することができます。繰越欠損金とは、この制度により将来に繰り越す欠損金をいいます。
控除限度割合・繰越期間
事業年度 | 控除限度割合 | 繰越期間 |
---|---|---|
2015年4月1日~ 2016年3月31日開始事業年度 |
65% | 9年間 |
2016年4月1日~ 2017年3月31日開始事業年度 |
60% | 9年間 |
2017年4月1日~ 2018年3月31日開始事業年度 |
55% | 9年間 |
2018年4月1日以後開始事業年度 | 50% | 10年間 |
中小法人等*2、新設法人*3の特例をふまえた控除限度
大法人による |
100%控除可能(中小法人等の特例適用の場合) |
---|---|
大法人による |
上記控除限度割合による |
大法人による |
100%控除可能(新設法人の特例適用の場合) |
上記控除限度割合による |
---|---|---|
大法人による |
上記控除限度割合による |
- *2中小法人等とは、各事業年度末において資本金の額が1億円以下であり、かつ、以下に掲げる法人に該当しない法人等のこと
- 大法人(資本金5億円以上の法人等)による完全支配関係がある法人
- 完全支配関係がある複数の大法人に発行済株式等の全部を保有されている法人
- *3新設法人とは、当該事業年度が設立日から同日以後7年を経過する日までの期間内の日が属する事業年度に該当する法人
財務戦略上の対応例(含み益資産の売却)
資産 | 対応手法 |
---|---|
不動産 |
|
有価証券 |
|
事業 |
|
その他(無形固定資産) |
|
- *本資料のご活用に際しましては、お客さまご自身の判断のもと、必ず弁護士、税理士、公認会計士等の専門家にご相談のうえ、お取り扱いください。また、本資料は2017年8月16日時点の法令等に基づき作成していますが、今後の法令改正等により変更となることがあります。
当初作成:2017年8月