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「普通の人」が、それでも起業するためのヒント

掲載日:2023年2月1日創業関連情報

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法人用の実印や定款を作成し、資本金を確保、登記の手続き等を行うことで「会社を設立」することは可能です。
しかし、会社を「設立」することと「成功」させることには大きな違いがあります。
さらに会社を「持続」させるのも容易ではありません。

栄光を手にした起業家たちは、特別な才能を持っていたのかもしれませんが、今は「普通の人」でも、やり方次第でリスクの低い起業が可能です。
本稿では、「今すぐ」ではなくても、「いつかそのとき」のために、「普通の人」がローリスクで事業をスタートするためのヒントを紹介します。

「何もない」の中に強みを見出す

2020年の調査によると、大学生が尊敬する起業家は、前澤友作さん、孫正義さん、堀江貴文さんがトップ3だったそうです。三人とも、起業における「才能がある」人であることは間違いないでしょう。
しかし、起業においては資金力を持っていることや、カリスマ性があること、そのような特別なことだけが、成功条件ともいい切れないのです。

そして、自分は何も持っていないように感じている方でも、「普通」の中に、ビジネスに活かせるような強みを見つけ出せることがあります。

例えば、自分のことを「いち早く突っ走って行動してしまう」と考えている方がいるとしましょう。
捉え方によってはネガティブに聞こえますが、言い方を変えれば「判断が早く、即行動に移せる」人です。
行動力は、起業するうえでとても重要な要素。何ごとも、まずはやってみなくては分かりません。

逆に「うじうじと考え込んでしまい、優柔不断」な人は、「物ごとを熟慮するタイプ」といえます。
じっくり考えられる人は、事業のプランニングも慎重にできるはずで、会社が直面するかもしれないリスクについても、しっかり考えることができるでしょう。

「すぐ人に聞いてしまう」人は、「物怖じせずに、誰にでも声を掛けられる」人なのかもしれません。
理解が追い付かないときに、知ったふりをするのは、後で大きな損失を招きかねないでしょう。
その場でしっかりと人に聞けるのは長所といえます。
ただし、聞いた分、その人にもリターンを与えられるように意識することが大切です。

「失敗や挫折を多く経験してきた」人は、「忍耐強い」といえます。
辛い経験を糧に、くじけることなく挑戦、継続できることは、起業するうえで非常に重要なポイントになってきます。

「大人しく、つい一歩引いてしまう」人は、「謙虚で素直」な人といい換えられます。
人の意見を素直に受け入れられることができる人には、多くの情報が集まりやすくなるものです。
気付けば、周囲から相談をよく持ち掛けられるようになり、世の中にどんなニーズがあるか、見つけ出すチャンスが豊富ともいえるでしょう。
誰に対しても区別することなく謙虚でいる姿勢は、多くの人に好感が持たれるため、人望を集める経営者になることもできるかもしれません。

起業をめざすための3ステップ

次に、起業をめざしていくうえで、どんな段階が必要なのかを考えてみましょう。
大きく3つのステップに分けられます。

ステップ1. なぜ起業したいのかよく考える

「なんでもいいから社長になりたい」では、ビジネスの軸が定まらずに失敗してしまいます。
事業が軌道に乗ったとしても「これが本当にやりたかったことなのか」と感じてしまうかもしれません。
そうならないためには、「事業を通じてどんなことを実現したいのか」「ビジネスを展開することでどうなりたいのか」、自分なりに、起業の意義を明確に決めておくことが第一です。

ステップ2. 何をやるかを決める

ステップ1で考えた「起業する理由や目的」が大きな夢だとすれば、その夢を実現するために、実際に何をすべきであるのかを考えます。
大事なことは現実的なプランニングです。
自分でじっくり考えることはもちろん、身近な知人や信頼できる人に話して、意見をもらうのもいいでしょう。
「どんな人を顧客と想定しているか」「どのような手段で提供するか」「いくらで提供するか」「資金や経費はどれくらい必要か」等、紙に書き出してみると、頭の中が整理されます。

ステップ3. 資金を集める

一番のネックがこのステップかもしれません。
資本金が1円でも会社設立ができる時代ですが、実際には、会社を登記するまでには他にも様々な費用が必要になります。
また、会社設立までに用意する書類は種類が多く、煩雑な手続きをしなくてはなりません。
司法書士に依頼することもできますが、そのためにはさらに費用がかかります。

本気で起業をめざすなら、必要資金がはっきりした段階で、目標額を決めて貯蓄していきましょう。
「自己資金」が乏しい場合は、「日本政策金融公庫」や、事業を行う自治体を通して金融機関から融資を受ける「制度融資」を利用する方法もあります。
しかし、融資による資金調達をスムーズに進めるためにも、あらかじめ自己資金をできるだけ多く用意しておくことで、有利に起業できることは間違いありません。

また、自治体では起業支援制度を設けており、税制面での優遇、補助金や助成金の交付等があるので、起業する場所の自治体の制度を調べておくことをお勧めします。
ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家の融資を受ける他、今ではクラウドファンディングによる資金集めも一手です。
モノや権利の購入を通してプロジェクトを支えてもらうスタイルであれば、資金集めの段階で商品やサービスをPRできるメリットもあります。

リスクの低い起業のカタチ3パターン

一口に起業といっても、やり方は様々です。
事業の目的や内容にもよりますが、ここでは比較的リスクの低い起業パターンを3つご紹介します。

・フランチャイズでの起業

加盟店が本部から看板や商品を使う権利をもらい、その対価を本部に支払う仕組みです。
比較的少ない資金で始めることができ、経営ノウハウやブランドを活用できるのがメリットです。
開業初期段階は、本部が宣伝を担ってくれることもあります。

デメリットは、ロイヤリティが高かったり、独自性を出しづらかったりすること等です。
契約前にしっかりと条件を確認して、納得することが大切でしょう。

・販売代理店としての起業

メーカーの代理として商品やサービスを紹介して販売し、メーカーと顧客との仲介をするスタイルです。
商品開発の必要はなく、リスクに対する責任もないので、資金がなくてもすぐに販売できます。
販売方法等に制限がないケースもあり、比較的自由な事業形態がメリットです。

一方で、販売ノウハウがメーカーから提供されない場合もあるので、自力で売るための研究を重ねるだけの意欲と自信がある人にお勧めといえるでしょう。

・知識や経験、専門性を活かした起業

フランチャイズでも代理店でもなく、個人の専門性や経験を活かして起業するパターンです。
一例として、SNS全盛期の今は、個人サイトや動画を活用するのも良いでしょう。
例えば、料理好きが高じて時短料理の動画をアップしたら料理本を出版することになった、「難関資格にどのように合格したか」という体験談を綴ったら講演依頼が来るようになった……等という成功事例があげられます。

今の仕事を辞めずに、資金も必要なく、趣味の延長で手軽にできるメリットはありますが、目に留まるような見せ方や、他と被らないような内容の工夫が求められます。
言い換えれば、クリエイティブであることが重要な分野なので、独創性に自信のある方は、自身の発信力を試すためにも、注力してみてはいかがでしょうか。

「身の丈の起業」で成功した二つの事例

では、実際に成功を収めている起業の事例を見てみましょう。

一社目は、青森県にある2012年創業の従業員4名、資本金420万円の旅行会社です。
地元の“あたり前”を観光資源に活用して地域活性にもつなげている他、代表の方ご自身が、自らの体験を元に考えたバリアフリー旅行の企画・運営もしています。

代表の方は、アイデアを日本商工会議所青年部主催のYEGビジネスプランコンテストでプレゼンし、グランプリを獲得して、起業する意志を固めたそうです。
固定概念に捕らわれず、大手旅行会社では難しいことにチャレンジしたこと、観光を通して地域を活性化するという揺るぎない目的があったことが、起業を成功に導いたといえそうです。

二社目は東京都のタイカレーの移動販売業者です。
起業した女性は、子育てをしながらの会社員生活に行き詰まりを感じ、自分の時間をコントロールできる仕事として事業をスタート。
従業員はおらず資本金は150万円だったそうです。

自らが惚れ込んだタイカレーのレシピをタイ人の友人に教わり、自宅で仕込み、ランチタイムだけの営業で10年以上続けています。
今でも、オープンから1時間で売り切れることがほとんどという人気店です。
「自分がおいしいと思うものしか提供しない」という信念と、自転車の客には袋を二重にする等、お客さまに対する心遣いが、成功のポイントと考えられます。

おわりに

起業において、準備や立ちあげ段階が重要なのはもちろんですが、「継続すること」も大切であると忘れてはなりません。

事業を続けるためには、やはり「なぜ起業するか」を考えきることがマストです。
「やりたいこと」「できること」「求められること」。この3つが重なる事業を選ぶと良いでしょう。

今、市場に出回っている製品やサービスには、「あったらいいのに」というアイデアから生まれたものも多くあります。
そのため、「ここに不満を感じる」「この問題を解決したい」という思いが湧き出てきたら、それらをどんどん書きためておきましょう。

すぐに起業しなくても、アイデアをプールしつつ、今回紹介した起業のヒントを頭に置いておくことで、いざ起業を決めたときに、慌てずに済むはずです。

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)

  • *記事内の情報は、本記事執筆時点の情報に基づく内容となります。
  • *上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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