利益率はどれくらい?話題のパーソナル・トレーニングのビジネスモデルとは
掲載日:2020年1月29日創業関連情報
![キービジュアル](/corporate/mizuhosmartportal/startup/images/skj-key_15_pc.jpg)
パーソナル・トレーニングは、プロスポーツ選手を始め、ハリウッド女優やモデルといった多くのセレブが行っていることで話題となっている、簡単にいうとトレーナーと1対1で行う筋トレのことです。日本でも当初はスポーツ選手や芸能人といった限られたコミュニテイの中で行われてきましたが、その効果の高さから徐々に評判が広まり、メディアでもたびたび取り上げられるようになりました。
フィットネスクラブの市場規模は全体で約4,600億円(レジャー白書2018)ですが、完全個室でパーソナル・トレーニングを提供する専門性の高い小規模業態で多店舗展開するスポーツクラブが目覚ましい成長をみせ、市場に占める割合も徐々に増えているものとみられています。
本稿では、現在話題となっている、パーソナル・トレーニングのビジネスモデル・開業方法について紹介します。
パーソナル・トレーニングの飛躍とメリット
パーソナル・トレーニング発展期にある日本では、知名度こそ上がってきてはいますが、まだまだ技術レベル、キャリア、人柄など様々な要素において玉石混交な状況にあります。
日本人口において一定数を占める、40~60代のミドルシニア層からの支持が更に得られれば、パーソナル・トレーニングはさらにポピュラーなものへと進化し、業界全体のさらなる躍進が望めるでしょう。
パーソナル・トレーニングは最初から最後まで全て専用のプログラムとなっており、フィットネスジムなどとは異なり、個室で行うため人の目を気にせずトレーニングに没頭することができます。また、個別にトレーニングメニューを組んでもらえるため、結果につながりやすいことが最大のメリットといえるでしょう。
ビジネスの特徴
フィットネスクラブと同様に会員制を採っている場合が多いようです。経営を安定させるため一定数の会員が必要で、会員の確保と増加が収益の確保には不可欠です。また、退会する会員も想定されるため、会員数維持のため満足の向上を図るとともに、新たな会員の確保に常に取り組むことが欠かせません。トレーナーが会員に対しマンツーマンで指導を行うため、トレーナー資格や知識、経験のほか、コミュニケーション能力が一般のフィットネスクラブよりもより重要視されています。
開業タイプ
開業タイプは次の2タイプが考えられます。
- 小規模型
パーソナルトレーニング専門のマンション一室での対応 - フィットネスジムの付加サービス
既存フィットネスジムにおけるオプション対応(追加サービス)
開業のステップ
ここでは、個人で小規模のジムを開設することを前提とします。
![開業のステップ](/corporate/mizuhosmartportal/startup/images/skj-key_15_img01_pc.jpg)
必要な手続き
フィットネスクラブの開業に際しては、主に以下の関連法規が存在し、それぞれの管轄する機関に届出が必要となります。
- 消防法(所轄の消防署)
- 建築基準法(各自治体)
- 都市計画法(各自治体)
- 公衆浴場法(保健所)
- 食品衛生法(保健所)
ただし、パーソナル・トレーニングを自室で行う場合は特定の規制はありません。
開業場所
年収1,000万円以上の世帯が多くいる地域を探すことが有効でしょう。なぜなら実際に1,000万円以上の世帯ではなくとも、比較的、高所得者層が多いので、より多くの会員の加入を見込めるからです。
ただし、こうした地域では家賃相場が高く、固定費がかさむなどといった、デメリットも考慮する必要があります。小規模で事業を始める際には、極力、固定費の負担は軽くするのが賢明でしょう。
例えば、東京23区でみると、世田谷区や杉並区、港区では世帯年収1,000万円以上の世帯が多く、地域内に占める比率も高く、会員の加入が見込みやすいと考えられますが、家賃の問題や大手パーソナルジムとの競合を考えたうえで、開業場所は検討する必要があるでしょう。
トレーニングメニューづくり
利用者に対して個別のトレーニングメニューを作成する必要があります。もっとも、トレーニングを進めていく中で必要なメニューを追加していけばよく、会員の年齢、時間帯、曜日に応じてスケジュールを組みやすい業態です。
必要なスキル
経営者や主要スタッフは、資格の保有は義務付けられていません。しかし、一般のフィットネスクラブとの差別化を図るためにも、会員一人ひとりの目的に合わせたトレーニングメニューや食事の指導ができることが望ましいでしょう。例えば、会員が筋肉をつけたいのか、ダイエットをしたいのかなどによって、提供するトレーニングメニューや食事は、全く異なったものになるからです。
収益化の視点
一般のフィットネスクラブと比べ、初期投資は抑えられ売上原価もかからないことから、相応の売上高粗利益率を見込むことも可能でしょう。
ただし、労働集約型産業といわれるマンパワーの必要な業態であることに変わりはないことから、損益計画を立てる際は、家賃、水道光熱費など固定費を上回るために必要な会員を確保することが必要です。また、一般のフィットネスクラブほどの集客力はないため、会員料を高く設定できるよう、付加価値を高めることも重要となるでしょう。
(本レポートは作成時点における情報を元にした一般的な内容のものであるため、開業を検討される際には別途、専門家にも相談されることをお勧めします。)
本コンテンツは独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営するサイト「J–Net21」(https://j-net21.smrj.go.jp/index.html)内の記事「パーソナル・トレーニング」(https://j-net21.smrj.go.jp/startup/guide/service/2017071201.html)を一部加筆・変更したものです。
上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。