決算報告書の役割と開示義務
掲載日:2018年5月30日創業関連情報
決算報告書(決算書)とは
決算報告書とは、1年間の事業年度を終えて決算を行った結果をまとめた書類のことです。
決算報告書の役割
決算報告書は、税務署、株主、取引先、金融機関などに収支や資産状況の報告をすることを主な目的としています。
税務署の場合は、決算内容に不備などがないか判断するために決算報告書をつかいます。
株主の場合は、会社が健全な状態にあるかどうか、きちんと運営されているかどうかなどを決算書で知ります。
取引先の場合は、決算書を読むことで取引を行っても大丈夫なのかどうかの判断を行います。
このように、決算書は税務署のためだけに作成するものではなく、会社を経営していくうえでもとても重要なものです。
決算報告書の開示義務
決算報告書には「開示義務」というものがあります。
企業は、つぎの3つの場合において、決算報告書を開示しなければなりません。
決算報告書 3つの開示義務
- 税務署への開示義務
- 金融商品取引法による、上場企業・大会社の開示義務
- 特定の株主や債権者から請求があった場合の開示義務
税務署への開示義務
まず、すべての企業は税務署に決算報告書を開示しなければいけません。
これは、決算報告書と税務申告書を確認し、その会社の決算内容に不備などがないか判断しなくてはならないためです。
金融商品取引法による、上場企業・大会社の開示義務
上場企業は、金融商品取引法にのっとり決算報告書を開示しなくてはなりません。
よく有名企業の決算状況が話題になったりすることがあります。これは、決算報告書の開示義務によって、上場企業の決算書(有価証券報告書)が、金融庁が運営する「EDINET」で誰でも閲覧することができるようになっているからです。
ちなみに、上場企業でなくても、会社法上の「大会社」*は貸借対照表と損益計算書の開示が義務となっています。
- *会社法上の大会社
最終事業年度の貸借対照表上で、資本金が5億円以上、もしくは、負債の合計額が200億円以上の株式会社のこと。
特定の株主や債権者から請求があった場合の開示義務
議決権比率3%以上の株主や債権者は、企業に株主報告書の開示を請求することができます。
この請求があった場合は、どのような企業でも開示しなければなりません。
以上の開示義務に従わない場合には罰則があります。
そのため、会社設立をする場合には、決算報告書の開示義務はしっかり把握しておかなくてはいけません。
決算報告書の種類
決算報告書には、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュフロー計算書などの種類があります。
「会社法」「法人税法」「金融商品取引法」といった法律の目的の違いから提出書類が異なってきます。
会社法
会社法で作成しなければならない決算報告書は、計算書類である「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」「個別注記表」の4つと、「事業報告」「附属明細書」の2つです。
これらはすべての会社が作成するもので、提出先は株主総会などになります。
法人税法
法人税法で作成しなければならない決算報告書は、計算書類である「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」の3つです。
これらはすべての会社が作成するもので、提出先は所轄の税務署になります。
法人税の確定申告書に添付して提出します。
金融商品取引法
金融商品取引法における決算報告書は、有価証券報告書と呼ばれ、上場企業などが作成の対象となっています。
決算日後3ヵ月以内に金融庁に提出し、そのあと一般に公開されます。金融庁が運営する「EDINET」で閲覧することが可能です。
上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
(記事提供元:創業手帳株式会社)