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途中で失敗しない、本当に効果的な経費削減

掲載日:2023年12月1日生産性向上

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経済の低迷が続く中で利益率をあげるために、単に経費削減を行えば良いというものではありません。間違えたコストの削減方法では、かえって経営状況の悪化を招きかねないからです。目先の成果だけにとらわれ、むやみに推し進めると、業務効率の悪化や、従業員のモチベーションの低下にもつながり、かえって悪い影響が出てしまうかもしれません。経費自体を削減することができても、収益力を強化できなければ意味がないのです。
本稿では、経費削減の本質や適切に行う方法、注意するべきポイントなどを解説していきます。

経費の見直しを高収益体質に変わる契機に

目先のコストを減らせば、自然と業績が良くなるという安易な考えのもと、経費削減を進めようとはしていませんか?
経費を削減し、企業をスリムな体質に改善するときに、ただ「目についた無駄」を洗い出して、削っていけばいいというものではありません。

当然ですが、経費や人件費を減らせば数字上の決算は黒字となり、短期的には経営状況の改善が可能となります。しかし、このような方法はあくまでも対処療法でしかなく、根本的な解決にはなりません。
企業そのものの在り方を変える、"改革"の本質とはどのようなものなのでしょうか?

それは、経費をただカットするのではなく、最終的に生産性を向上させることを目標にするというものです。つまり、経費の見直しをきっかけに業務を最適化し、利益拡大を図ることが求められます。

業務を最適化する際にまず心得ておきたいのは、経費削減は節約や節制とは異なるという認識です。家庭における家計の見直しに例えてみると、電気をこまめに消す、水道の水を出しっぱなしにしないなど、小さな節約を行っても僅かな節約にしかならないでしょう。

企業の経費も考え方は同じです。コピー用紙の裏紙を再利用する、過度なエアコンの温度設定など、小さなことに取り組んでもさほど成果はあがりません。
新しいシステムを導入する、出張や無駄な会議を減らしてオンラインでのコミュニケーションを上手に取り入れる、アウトソーシングを活用するなど、抜本的な改革を実施することで初めて、真の目的達成ができるのです。

全社一体となって取り組む体制を作るために

実際に経費削減を目的に取り組み、大きな効果が期待できる施策には何が考えられるでしょうか。コスト削減の重要性を認識して、継続的に企業体質の改善に成功した企業で採用された、4段階の取り組みを見ていきましょう。

1.発生している経費を正確に把握する
まずは、自社全体で発生している経費項目をすべて洗い出していきます。
実際にどの事業、どの業務にどのくらいの費用が発生しているのかを把握できていないと、経費削減を進めようがありません。また、現状把握なしに「削減の目標」を立ててしまうと、計画性のない実行策を選定する恐れがあります。

経費は、オフィスの家賃や通信費のように「月額単位」で発生しているものだけでなく、「年額払い」しているものも含めて、すべてリストアップして洗い出すことが大切です。

2.削減プランを作成する
経費の全体像を洗い出したら、「経費削減計画」を作りましょう。以下の6つの視点を計画に反映させます。

  • 経費削減に取り組む理由
  • 期日
  • 削減する経費の項目
  • 削減額
  • 従業員が取り組む行動
  • 責任者の明確化

上記の観点を盛り込むことで、目標達成度が格段に高まります。プランを作成したら、各部門へ「経費項目の抜け漏れ」「そのほかにあげられる経費項目の有無」などについて聞き取りを行いましょう。

3.従業員に周知する
削減プランを策定できたら、次に従業員へ「経費削減計画」を通達します。その際、一方的に通達するのではなく、責任者の所在と窓口を併せて伝えることが重要です。

コスト削減を進める場合、少なからず反対意見があがるものであり、そうしたリアクションに耳を傾ける姿勢がないと、反発が高まり、計画が失敗に終わってしまう可能性があります。
反対の声があがった場合、その従業員はどのような意図で意思表明をしているのか丁寧に確認しましょう。

4.プランを実行する
削減プランを従業員に伝え、把握させた後、プランを実行していきます。
実際に目標を達成するために、1ヵ月ごと、3ヵ月ごとなどと期日を決めて「経費削減の達成度合い」をチェックして、経費削減の達成度合いや、課題を全従業員に共有することも大切です。

削減プランを実施したら、その結果を分析し、しっかりと検証します。
効果を得られていない点があれば原因を探し、さらなる改善を図りましょう。

社外のリソースも活用し、削減効果を最大化する

ここで、多くの企業が経費削減を目的に取り組んでいる、比較的大きな効果が期待できる施策3つをご紹介します。

  • アウトソーシングの活用
    経費の中でも大きな割合を占める人件費を削減する施策の1つとして、外部の人材に業務をアウトソーシングすることが考えられます。固定の給与を払い続けて人材を抱えておくのではなく、必要なときに必要な能力を備えた人材に、単発で業務を依頼します。
    最近は、経理や事務などのバックオフィス業務を代行するサービスも出てきています。これによって、月々固定の人件費が削減できるだけでなく、人材育成にかかる費用を抑えることが可能です。
  • 効率化を図れるシステム導入
    事業内容の照らし合わせや、生産性の向上が見込める業務へのシステム導入も経費削減につながります。
    例えば、カスタマーサポートやコールセンター業務に顧客サポートシステムを導入したり、経理部門に経費精算のシステムを採用したりするなど、従業員の業務をサポートし省力化が見込めるシステムを導入することで、収益改善が見込まれます。
  • 不採算事業の縮小・削減
    収益が芳しくない事業を思い切って縮小・削減することも、人件費、仕入れ、オフィスコストなどを下げられ、経費削減には効果的です。
    リストラを敢行せずとも、伸びている事業の人員を増やして、事業拡大へ舵を切る方法もあります。
    低単価商品の製造をやめて高単価商品だけに絞るなど、顧客ターゲットやマーケティングの見直しを図ることも、経費削減の一助になると思います。

このような対策も参考に、戦略的に経費削減を進めることで、業務を最適化し企業体質の改善へとつなげていきましょう。

おわりに

経費削減施策の成果をあげるには、従業員の理解と長期的な視点が欠かせません。必要性や施策のメリットを丁寧に説明し、会社一丸となって取り組む体制を構築すること、そしてすぐに成果を求めて無理をしないことです。
これらを心掛け、自社にはどんなやり方が合うのか、従業員とも話し合いながら取り組んでいきましょう。

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)
※記事内の情報は、本記事執筆時点の情報に基づく内容となります。
※上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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