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人事労務の業務効率を向上する「デジタル化」の進め方

掲載日:2021年4月5日生産性向上

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人事労務業務は、いわば「従業員に寄り添う仕事」ともいえます。法改正・制度改正の情報を把握し、従業員に不利益が生じないように日々細やかなケアを行うこともあるでしょう。
一方で、慢性的な人手不足により膨大な業務量をこなすのに精一杯で、「人事労務の業務改善は後回し」になっていないでしょうか。長年にわたり人事労務業務の生産性向上について議論されてはきたものの、現実的に「難しい」という声もよく聞かれます。
しかし、人のために尽くす仕事だからこそ、効率化できる業務は効率化していくべきでしょう。
今回は、人事労務の業務効率を向上する「デジタル化」の進め方についてご紹介します。

人事労務業務のボトルネックは「業務のスタート地点」にあった!

人事労務の業務範囲は、「採用」「教育」「異動」「規則規程」「人事制度の管理・見直し」「給与」「保険」「退職」など非常に多岐にわたりますが、その生産性を向上させたいと悩んでいるケースは多いようです。なぜ、人事労務業務について業務効率化に悩む声が多いのでしょうか。

これには、従来ではあたり前だった「従業員情報を紙の資料で回収している」という業務のやり方が最大の要因になっている可能性があります。
あるアンケート調査によると、総務人事部門における業務の課題は、「紙やExcelで行う業務の多さ」にあるという回答が圧倒的に多く見られました。また、コロナ禍で自粛期間中だった2020年春に実施したあるアンケート調査でも、「テレワーク実施の課題」について「紙でやり取りする業務がある」ことをあげた担当者は全体の7割を超えていました。そしてその多くが、個人情報を含む業務に集中していたのです。
「従業員の情報収集」といえば、あらゆる人事労務業務のスタート地点でもあります。その業務のスタートが「紙」で行われていると、いくら給与計算や勤怠管理などの業務がシステム化されていても、情報をシステムに「手入力」する作業が必要になります。
情報収集の方法がアナログであるため、以降の業務までアナログで処理する必要性を生み出しているのです。
労働者人口減少に伴い人材確保が困難な中、度々起こる法改正で業務量も増えており、これまでの人事労務業務ではシステム投資など改善のための対策も後回しにされがちでした。特に規模の小さい企業では、人事労務業務を円滑に回すことも苦労されていることでしょう。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに在宅勤務やテレワークが普及し、地方を含めた拠点分散やソーシャルディスタンスを守ったコミュニケーションのあり方など、働き方は一変しました。今こそ、総務人事部門でもデジタル業務体制を整備するチャンスともいえます。

まずは業務の入り口となる「情報の収集方法」をデジタル化し、情報収集で手作業をしなくても良い状態を作りましょう。それが、従業員にとっても働きやすい業務体制を作る第一歩となるかもしれません。

従業員情報の収集を効率化する「デジタル化」の手法とは

紙を使わずに従業員情報を収集するには、「デジタルデータで受け取る」ようにすることで実現できます。
ただし、「データになっていればどのような状態でも良い」というわけではありません。
例えば、Excelなどで作成したフォーマットに入力して提出を求めるケースがあります。この場合、人事関連のシステムに取り込むためには、データを加工する作業が必要になります。あるいは、コピー&ペーストでシステムに入力する作業をしている担当者もいるかもしれません。いずれにしても“手作業”が発生するため、間違いなく入力できているかチェックする必要もあり、「紙での作業」からの脱却、人的作業の削減は難しくなります。

そこで、より効率的な方法が、従業員情報をデータで収集し自動的に蓄積するクラウドサービスを利用することです。
市場では様々な業務アプリケーションがクラウドサービスで提供されていますが、従業員情報の収集・蓄積に長けたクラウド型のシステムを導入すれば、必要な情報をデータで保管・管理ができるようになります。

最近では、入社・退職、再雇用の手続きだけでなく、結婚・離婚、家族異動、住所変更、産休・育休といったライフイベントに合わせた申請手続き、口座変更の手続きが行えるクラウドサービスもあります。また、スマートフォンからアクセスすることで、従業員が職場にいなくても様々な申請書類を簡単に提出することができる場合もあります。このようなサービスを利用することで、紙の書類を用意し提出するために出社する必要はなくなるでしょう。
また、申請された情報を、自動的にクラウドで保存し最新の従業員情報として蓄積できる場合もあります。そのような機能を活用することで、これまでは人事労務担当者が行っていた 「(従業員情報を)集める・(入力やファイリングなどで)溜める」作業が、「(従業員の申請によって)自動的に集まる・溜まる」構造になるでしょう。
情報収集にクラウドサービスを利用することで、ペーパーレスが実現し、かつ情報の蓄積・保管まで自動化することができるのです。

情報収集をデジタル化すれば、他の人事労務業務の効率化も進む!

クラウドサービスを利用し、従業員の個人情報の収集作業をペーパーレス化することは、他の人事労務業務の効率化にもつながることがあります。

最近は社会保険手続きも電子化が進められていますが、電子申請に対応したクラウドサービスを利用すれば、書類に転記するなどの作業をしなくても、収集された従業員情報をもとに簡単に電子申請を行うことができます。また、労働条件通知書や雇用契約書の交付など入社手続きにおいても、オンラインで完結させることが可能です。例えば、あるクラウドサービスでは、労働条件通知書において予め労働条件の共通項目がセットされているため、基本給などの個別条件を追加するだけで自動作成し、希望した従業員に電子発行してパソコンやスマートフォンから確認・署名をもらうことができます。署名と同時にタイムスタンプも付与されていれば、労働契約におけるコンプライアンスの遵守も実現するといった効果も期待できるしょう。

さらに、従業員の情報が自動的に最新に保たれていれば、様々な人事労務業務を正しい従業員情報をもとに、正確に行うことができるようになります。
クラウドサービスの中には、在職証明書や退職証明書の発行や各種名簿・一覧表の作成などを瞬時に行うことができるものもあります。その他、労働契約の管理・更新や人事異動、組織管理などは、紙やExcelで行われていることが多いですが、そういった様々な非定型の人事労務業務を定型化して生産性を向上できます。

以上のように様々な人事労務業務の生産性向上に役立つデジタル化ですが、一気に業務のデジタル化を進めることが難しい場合は、業務単位で検討することが良いでしょう。
まずは従業員の情報収集をベースにデジタル化をスタートさせ、さらにデジタル化したい業務を選んでサービスを徐々に追加していけば、人事労務業務がデジタル業務にどんどん変貌していきます。そして、本来時間を割くべき業務に専念することで、総務人事部門の生産性をさらに向上させることができるでしょう。

おわりに

「人事労務業務が効率化する」ということは、「従業員の手間を省く」=「従業員一人ひとりの生産性を向上させる」にもつながります。特に、人材確保が難しく従業員の負担が重くなりがちな中小企業では、「業務効率を上げる」ことは避けて通れない課題でもあります。
従業員の満足度を高め生産性向上を図ることは、これからの時代における企業競争力の源泉になるはずです。そのためにも、従前のやり方を見直し、人事労務業務もデジタル化に向けて前進してみてはいかがでしょうか。

本コンテンツは株式会社オービックビジネスコンサルタントが運営するサイト「OBC360°(https://www.obc.co.jp/360)」内の記事「紙をなくし、人事労務の業務効率を劇的に向上する「デジタル化」の進め方(https://www.obc.co.jp/360/list/post146)」を一部加筆・変更したものです。

上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

当初作成日:2020年12月15日

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