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業務プロセスの見直しによる生産性向上

掲載日:2020年2月10日生産性向上

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業務プロセスの見直しは、生産性向上を実現する基本的な方策です。待ち時間や移動時間を削ったり、機械の導入で作業に関わる人数を少なくしたりといった改善の積み重ねが生産性の向上につながります。結果的に、給与を増やしたり残業を減らしたりできるので、従業員のモチベーション向上にもつながるでしょう。
現場の問題を発見し、そこに対策を講じて、成果を評価し、さらなる改善に取り組むというPDCA(Plan→Do→Check→Act)を循環させることで、会社の収益性も継続的に高まることが期待できます。
本稿では、業務プロセスを見直すうえで、押さえておくべきポイントを解説します。

業務プロセスの見直しにより生産性を向上させる時のポイント

ポイントは以下の通りです。

  1. 1.業務を「見える化」する
  2. 2.“あたり前”を疑う
  3. 3.人材を流動化する

1.業務を「見える化」する

業務プロセスを見直すうえで、最初にやらなければいけないのは、作業工程を「見える化」することです。ただ現場を見ていても、意外とムダには気づきにくいものです。

例えば、積み上がっている仕掛品を次のラインへ運んでから、自分の作業に取り掛かる従業員がいたとします。従業員は忙しそうに動き回っているので、一生懸命に働いているように見えるでしょう。しかし、作業工程を分解すると、仕掛品を運んでいる時間と作業する時間があり、仕掛品を運んでいる時間は、付加価値を生んでいないことが分かります。したがって、積み上げた仕掛品とラインの距離を縮めることで移動の時間を短くできれば、生産性は高まります。改善前と後で移動にかかる時間や歩数を「見える化」し、どのぐらいムダを減らしたかを分かるようにすると、従業員の改善に対する意識も自然と高まるでしょう。

このように「見える化」によって作業工程のムダが浮かび上がってくるため、「移動距離を減らす」といった具体策を示すことができるようになります。「この作業にかける時間を何とか減らしてほしい」「この作業とあの作業はまとめてやってもらえないか」といった漠然とした指示では、従業員からは「そんなことは無理です」と拒絶されてしまうかもしれません。
最初は小さな改善でも構わないので、浮かび上がったムダをどう解決するかは、現場のリーダーや担当者が考えるように仕向けると良いでしょう。それによって自分たちの作業が楽になることが分かれば、自主的に改善活動に取り組む人材への成長が期待できます。

2.“あたり前”を疑う

長年、同じやり方を続けていると、現場は「それが当然」という意識になりがちです。しかし、良く調べてみるとまったくの思い込みだった、というケースもあります。

食品を扱うとある工場の事例を紹介します。そこでは、充填機で個包装したパックを台車に積み上げて、隣の部屋へ運び、異物検査などの検品を実施していました。普通に考えれば、充填した部屋でそのまま検品すれば良さそうですが、衛生基準を満たすために部屋を替えていたそうです。
これに対し、あるコンサルタントからの「部屋を区切ればいいのであれば、壁に最小限の穴を開けて、コンベアでパックだけ運べばいいのではないか」という提案を受け、衛生基準を検査している組織に確認の上、すぐに壁に穴を開けてコンベアを設置しました。結果的に、パックを台車に積んで運ぶ作業がなくなり、作り始めてから完了するまでのリードタイムは1時間以上短縮でき、更には運搬を担当していたパートを、ほかの作業に回すことが可能となりました。

工場だけに限らず、オフィスや店舗でも同じように、“あたり前”を疑うことで業務プロセスを見直すヒントが見つかる可能性があるでしょう。

3.人材を流動化する

業務プロセスを見直した結果として、従来の仕事をより少ない人数で処理できるようになれば、新規事業の開発などに人員を振り向けて、利益や売り上げの拡大につなげていくといったことも展望できます。

業務プロセスの見直しにより発生した余剰人員として異動の対象とするのは、当該グループのリーダーや改善活動を成功に導いたキーマンから選ぶと良いでしょう。こうした人材が他のグループ・部署において活躍することで、全社的に業務プロセス改善に向けた活動が広がっていくことも期待出来ます。

また、複数の持ち場の業務をこなせるスキルを身につけた従業員を育成することも、業務プロセスの見直しに向けては効果的と言えるでしょう。ホテルを例に取ると、主にフロントを担当する従業員が、食事時はレストランで配膳もするといった具合です。このように、マルチスキルを持つ人材が増えると、業務の繁閑に合わせて適切な人員を配置することが可能になり、更には人材交流を通じて他の業務内容をお互いに知ることで、異なる職場間の対立などを未然に防げるメリットもあるようです。

しかし、マルチスキルを持つ人材を育てるうえで、辞令を伴う異動は現場の負担が大きくなることもあります。そこである企業では、出荷量や生産量で繁閑の目安をつけ、閑散期に数人を他グループに送り出す“社内留学”を実施しています。新しいグループに移った人は、そこである程度の作業をこなせる力が付き、受け入れ側は人材の教育を通じて自分たちの仕事の在り方を見直すことができ、この施策は社内留学を実施する側・受け入れ側双方にとって効果のある仕組みといえるでしょう。

本コンテンツは独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営するサイト「J–Net21(https://j-net21.smrj.go.jp/index.html)」内の記事「経営ハンドブック(https://j-net21.smrj.go.jp/handbook/productivity/process.html)」を一部加筆・変更したものです。
上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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