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生産性向上と賃金引き上げを支援する「業務改善助成金」について

掲載日:2018年12月25日生産性向上

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厚生労働省は、中小企業および小規模事業者の生産性向上を支援し、賃金の引き上げを図ることを目的に、「業務改善助成金」を交付しています。業務改善助成金は、生産性の向上を通じて企業を発展させるとともに、従事する労働者の士気を高め、さらにより優れた人材の確保にもつながる制度とされています。本稿では、業務改善助成金の活用法について解説します。

業務改善助成金の目的および要件

以前より、少子高齢化と人口減少に起因する労働力不足が懸念される中、将来的な労働力確保のために政府はあらゆる施策を講じています。その一つが、平成23年(2011年)に制定された中小企業および小規模事業者向け助成金制度「業務改善助成金」です。この制度の目的は、生産性向上に加え、老朽化した設備の更新によって労働能率の増進を図るとともに、事業場内最低賃金を引き上げることにあるとされています。

中小・小規模事業者が支給対象

助成金の支給対象となるのは、事業場内でもっとも低い賃金(事業場内最低賃金)が1,000 円未満の中小企業・小規模事業者*1です。業務改善助成金の申請募集は毎年行われていますが、申請に際しては、過去に業務改善助成金を支給されたことがあっても受給対象となります。

また、生産性向上のための設備投資やサービスの利用を行うことも必須要件です。これらは機器の導入などに限らず、教育訓練や経営コンサルタントの利用なども助成対象になります。ただし、目的はあくまでも生産性の向上であり、単なる経費削減や加湿器・冷暖房の導入をはじめとする職場環境の改善、通常の事業活動などは支給対象とはならないため、注意が必要です。

  1. *1中小企業・小規模事業者に該当する事業者については、中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)交付要綱の第2条にてご確認ください。

労働者数と生産性要件によって助成率が変わる

業務改善助成金は労働者数と生産性要件によって、以下のように助成率が変更されます。

  • 【労働者数31人以上の事業者】
    1. 助成率は設備投資にかかった費用の70%
    2. 生産性が一定以上向上したと認められる場合*2、助成率は75%
  • 【労働者数30人以下の事業者】
    1. 助成率は設備投資にかかった費用の75%
    2. 生産性が一定以上向上したと認められる場合*2、助成率は80%
  1. *2助成金を申請する事業所において、「生産性要件算定シート」を用いて計算された生産性の伸び率が「生産性要件」を満たしている場合。
    くわしくは以下にてご確認ください。

受給限度額は2つのコースに

業務改善助成金の受給限度額は、事業場内最低賃金の引き上げ額と、引き上げる労働者数によって2種類にわかれます。

  • 【事業場内最低賃金を30円以上引き上げた場合】
    賃金を引き上げる労働者数が1~3人の場合、助成の限度額は50万円です。以下、4~6人までが70万円、7人以上が100万円となります。
  • 【事業場内最低賃金を40円以上引き上げた場合】
    事業場内最低賃金が800円以上1,000円未満で、最低賃金を40円以上引き上げた場合、人数にかかわらず一律70万円が限度額となります。

支給までの流れは?

業務改善助成金の申請から、助成金支給までの流れはつぎのとおりです。

  1. 事業改善計画と賃金引き上げ計画を記載した交付申請書(厚生労働省ホームページより入手)を都道府県労働局に提出する
  2. 各都道府県の労働局が内容を確認し、助成金の交付決定通知を行う
  3. 生産性向上などが図られる設備投資などを行って業務効率化を図る
  4. 事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる
  5. 実施結果と賃金引き上げ状況を記載した事業実績報告書を提出する
  6. 助成金額の確定後に助成金を受け取る

事例:POSレジを導入して助成金を受けたクリーニング店

山口県のあるクリーニング事業者では、ポイントの計算・付与や顧客管理を従業員が手動で行っていましたが、計算ミスなどによりお客さまの待ち時間が発生していたことや、顧客対応に一貫性を欠いていたことなどに課題認識がありました。業務改善助成金の交付が決定したことを機に、情報管理システムを搭載したPOSレジシステムを導入したところ、一回あたりの接客時間が約半分に短縮、計算ミスも減ったため、業務効率が大幅に改善しました。また、結果として生産性が向上したため、従業員2名の時間給を50円引き上げることに成功しました。

  • *2017年3月 厚生労働省「生産性向上の事例集」より

企業のさらなる成長に向けて助成金の活用を

業務改善助成金を上手に活用すれば、企業の生産性向上と最低賃金の引き上げにつながる可能性があります。さらなる成長に向けて、本制度の活用を検討してみてはいかがでしょうか。

  • *平成30(2018)年度の業務改善助成金の申請受付期日は平成31(2019)年1月31日です。

上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
(記事提供元:株式会社ZUU)

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