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不安な“ひとり人事”が知っておくべきこと

掲載日:2022年10月3日人材戦略

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採用、育成・教育、評価制度作成、働き方改革、組織風土の醸成に福利厚生……。人事に任される業務は多岐に渡ります。
少人数企業においては、それらを一人でこなさなくてはならないケースも多いでしょう。

人事は経営資本の内、「人」を活用することで会社を成長に導く重要なポジションです。
だからこそ、ときに大変なこともありますが、うまく周囲を巻き込んでいく中で、大きなやりがいも感じられるでしょう。
いくつかの事例も交えつつ、悩みの尽きない “ひとり人事”の方に向けてお悩み解決のヒントを紹介します。

担当する範囲が広く、経営に直結する仕事

中小企業やスタートアップ企業に多く見られるひとり人事。

「人」にまつわる業務であるだけに、やるべきことが多く責任も伴うのが人事の職務です。
それらに一人で向き合わねばならないのは、骨の折れることでしょう。

まずは、ひとり人事のよくある悩みを紹介します。

悩み1. 上司や同じ部署の相談相手がいない

一般に、人事の部署では個人情報を取り扱うため、業務上の悩みを安易に他部署の社員などに相談することができません。
だからこそ、部内に上司や良き相談相手がいれば、精神的な支柱となり得るはずです。
しかし、ひとり人事ではそのような願いもかないません。

またひとり人事という立場だと、直属の上司が役員である、というケースも多くあります。
役員である上司が、人事の専門ではないために詳細まで仕事内容を理解しておらず、人事担当者は十分な相談ができないまま、結果的に自身で最終判断を下すことになってしまうようなケースもあるようです。

自分一人で大きな判断を下すにあたり、考えが偏重していないか、という不安も抱いて当然でしょう。

悩み2. 採用が思うようにいかない

採用は、会社の未来を左右する重要な仕事ですが、人手不足が叫ばれる昨今、企業の規模に限らず採用に苦労する企業が多いようです。
特に、ひとり人事が多く見受けられる、中小企業や創業間もない会社の場合は、採用市場でアピールできていないケースが多く、応募者が十分に集まらないということもあるでしょう。
また応募があっても、自社に適切だと思える人が見あたらないということもあるかもしれません。

多くの経営者は「いかにコストをかけず、良い人材を採用するか」という目線で考えるので、その期待に一人で応えなくてはというプレッシャーもあります。

悩み3. 人事評価は今のままで良いのか?

社員の給与に直結する人事評価ですが、「しっかりした評価制度がないので、社長と自分だけで話し合って決めている」という会社も、中小企業の場合珍しくありません。

適切な評価ができており社員も納得しているのなら問題ありませんが、持続的成長を望む場合、組織としてしっかりした評価制度を整えるべきでしょう。
第三者から見てもわかりやすい評価制度は、人材を集めやすくなることにもつながります。

そのために、まずは評価制度を設計する必要がありますが、「そのための時間がない」「どうすべきかわからない」と、頭を抱えるひとり人事も少なくないことでしょう。

解決につながる5つのヒント

では、どのようにすればひとり人事のこうした悩みが解決、軽減されるかを考えてみましょう。

ヒント1. 経営陣と向き合い、思いを共有する

経営にも影響力のある人事にとって、まずは経営陣としっかり向き合うことが第一。
「どんな会社にしたいか」という企業理念やビジョンをトップからしっかりと受け取り、「どんな人が働く場にしたいか」という人事方針を、密に共有するよう心掛けましょう。

可能であれば、定期的に経営陣と話し合う場を設けることが望ましいです。
話し合いの場では「それならこんな方法があります」「こう考えたらどうでしょうか」と、積極的に自身のアイデアを持ち込み、「実現するために、現状こんな課題があります」と、自分の悩みも含めながら話を進めていきます。

会社における「人」の問題は、人事だけが抱えることではありません。
一人で抱え込んで悩んでいる人事は、もっと経営陣を巻き込んで良いのです。
むしろ、経営陣と密になれることが人事の特権である、というくらいの心構えを持ちましょう。

ヒント2. 社内のメンバーにヒアリングをする

採用がうまくいかない、という悩みを紹介しましたが、あるIT企業では採用活動の開始前、人事と他部署の社員で1on1を実施したそうです。
「どこで自社を知ったか」「何が良いと思ったか」などを直接聞くことで、自社が本当に「採用したい人物像」が明らかになり、採用のミスマッチを防ぐことにつながったといいます。

採用だけでなく、評価においても1on1は有効です。
社員全員、約60人と1on1の面談を実施したある企業のひとり人事担当者は、「社員の声を聞くことで、自社の改善点や、彼らが会社に求めることが分かった」といいます。
これにより、社員が能力を発揮できる業務内容の検討、マネジメントや育成方法の見直しに役立ったそうです。
その際、うえから目線で「こうすべき」という言い方ではなく、同じ目線で話を聴くことを意識したり、肯定的な反応を示したりすることが、心を開いてくれたポイントだったようです。

ヒント3. 外部機関やツールをうまく活用する

多くの仕事を抱えているとき、頼りにしたいのが外部機関や各種ツ-ルの利用です。
外部の専門家に依頼することは、人事の業務削減が期待できるばかりでなく、「第三者の客観的な立場を通して、社内に意見を届けることができる」という意味でも有効でしょう。
例えば人事評価の制度設計など、新しいことを導入したい場合には特に有効でしょう。

また採用に「採用管理システム」を導入するのも一案です。
例え少人数企業であっても、企業の採用活動に必要な業務を一元的に管理し、効率化することのできるシステムを導入したことで、「時間の使い方が変わった」「コストが削減できた」「採用力が強化された」と効果を実感する例もあるといいます。

ヒント4. 社外の人事担当者とのネットワークを築く

ひとり人事は孤独になりがちなので、人事関連のセミナーなどに参加して、人事関連の知り合いを多く作ると良いでしょう。
意外と知られていませんが、人事担当者向けのノウハウ共有や、人脈拡大を目的としたイベントは数多く実施されています。
一人でなくとも、社内の人事部門は人数が限られていることが多く、交流を望む人が少なくないからです。
イベントで同じような立場の人と知り合う可能性もありますし、他社の情報を集めて自社の参考にすることもできます。

新しいサービスやおもしろそうなサービスを見聞きしたら、まず使ってみるという好奇心も大切です。

ヒント5. 自身を定期的にレビューする

「毎週定期的に、個人的な週次レビューをしている」というひとり人事もいます。
そうすることで、一週間を単に数字で振り返るだけでなく、「これがよかった」「あれはいまいち」と思い返すことができるので、「本来こうしたかった」という自身の本音に気付くことができるそうです。

「ヒント1」でお伝えした「会社のビジョン」とともに「自分のビジョン」も定期的に確認すると良いでしょう。

ブログを開設して、その日あったこと、思うことを記録しておくのも手です。
ノウハウや、効果的だった施策を発信している人もいます。
もちろん、あくまで社外に公開可能な情報だけを書くように、注意が必要です。

社内の人が「人事って実はこんなにやることがあったのか!」と気付いてくれたり、他社の人事が目に留め共感やヒントを与えてくれたり、という副次的な効果も期待できます。

おわりに

本稿で紹介した5つのヒントに共通するのは、「いかに周りと連携ができるか」ということ。
立場上孤立し、仕事を抱えがちだと悩んでいるひとり人事の方は、ぜひヒントをもとにし、今以上に周囲に働きかけてみてください。
人事という立場は、心掛けによっては周囲を巻き込み、会社の推進力ともなり得るポジションなのです。

社員がいきいきと、楽しく働ける環境を整えるのが人事の役割。「人」の人生に向き合う仕事ともいえ、責任も大きいですが、その分やりがいも大きいはずです。

一人で抱え込まずに周囲を見渡すことで、きっと、新しい扉が開けるでしょう。

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