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「従業員エンゲージメント」向上計画

掲載日:2022年8月1日人材戦略

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企業が成長し続けるためには、全社員が高い愛社精神のもとに一致団結し、目標に向かって進んでいくことが大切です。
しかし、人材の流動化が加速する現在、従業員の会社に対する思いに不安を抱く経営者は少なくないでしょう。
前進し続ける企業であるため、経営者は従業員の率直な気持ちを把握し、彼らが強い貢献意欲を持てるよう策を講じる必要があるのです。
本稿では、従業員の離職率低下から、会社の業績アップまでも期待できる「従業員エンゲージメント」について紹介します。

貢献意欲を高め、期待できる主なメリット

「従業員エンゲージメント」は従業員と会社における絆、つまり、従業員の愛社精神や会社に対する貢献意欲、帰属意識を表す指標です。
会社の「従業員エンゲージメント」が高いとは、愛社精神を持って自社を深く理解、信頼し、自発的な貢献意欲のある従業員の多い状態を指します。

「従業員エンゲージメント」を高めることで生じるメリットを整理すると、主に次の4つがあげられます。

1. 従業員の自律化が促される

愛社精神が高まり、「この会社に貢献したい」という思いが強くなれば、高いモチベーションで仕事に励むようになるでしょう。
自主的に業務に取り組み、成長することができる、自律的な人材が育つことが期待できます。

2. 業績が向上する

貢献意欲の高い従業員は、指示された以上の結果を残そうと考えるため、パフォーマンスの向上が望めるでしょう。
さらに、新しい業務にも前向きに取り組むことから、経験が蓄積されて能力向上を実感し、さらにやる気がアップする、という好循環が生まれます。当然、会社の業績にも好影響を与えるのです。

3. 離職率が低下する

帰属意識や愛社精神を持った従業員には、「仕事をもっとがんばりたい」「会社の業績にもっと貢献したい」という考えが芽生えます。その結果、離職という選択肢を持ちにくくなるでしょう。

4. 一体感のある社風が醸成される

従業員一人ひとりが、仕事に対するやる気と会社への満足感に満ちていれば、互いにポジティブな影響を与え合うことができます。
会社や事業の成長に向かって、各自が自律的に考え、動くようになれば、それぞれが助け合って仕事を進める一体感のある雰囲気が醸成されるのです。

このような背景から、「従業員エンゲージメント」の向上が、多くの会社に必要であると考えられているのです。

特に昨今は、転職が一般的になったことで、人材の流動化が加速しています。
中小企業にとって、限られた人的資源が流出してしまうこと、また、それに伴う採用コストの増加は大きな痛手となるでしょう。
優秀な人材をつなぎ止めるため、社員の帰属意識を高める必要性を痛感する経営者は多いはずです。

また、現在はコロナ禍を経てリモートワークの導入が進み、対面でのコミュニケーション機会が減少傾向にあります。
そのような社会情勢の中、会社がさらなる成長を続けていくためには、貢献意欲が高く、自身でスキルアップを志すような従業員の育成が求められているのです。

とはいえ、何から始めればいいのかわからない、という経営者も少なくないでしょう。
まずは、自社の「従業員エンゲージメント」がどの程度のレベルにあるのかを、正確に把握することが重要です。
そのうえで、必要とされる取り組みを考えていくと良いでしょう。

アンケートで、従業員の思いを知る

「従業員エンゲージメント」を向上させるためには、従業員がどのような思いを抱いているか、アンケートによってその実態を把握することが第一歩です。

アンケートなど使わずとも従業員の考えは理解できている、と考える経営者もいるかもしれません。
しかし、リアルなコミュニケーションが減りつつある今、気付かないうちに従業員と思いがすれ違っていることもあります。
改めて本音を知るためにも、アンケートによって、従業員の気持ちをしっかりと聞くことが肝要です。

質問としては、以下のような内容が考えられます。

  • 会社の成功に向けて積極的に貢献したいと思いますか?
  • 職場内に信頼できる上司や同僚はいますか?
  • 仕事を通じて日々の成長を実感していますか?
  • 勤めている会社を家族や友人に勧めたいですか?
  • 仕事で自分が何を期待されているか理解していますか?
  • 自分の仕事に誇りを感じていますか?
  • トップの理念や会社の方向性に共感できていますか?

従業員のリアルな声を聞くことで、彼らの働く意義や、大切にしている価値観を把握することができ、経営者として「何をすべきか」が見えてくるはずです。

また、実際に取り組んだ施策の効果を検証していくためにも、アンケートは1回で終わりにせず、定期的に行うと良いでしょう。

エンゲージメントを高める4つの施策

「従業員エンゲージメント」向上のための具体的な施策については、次の4つの側面で考えていくと良いでしょう。

①理念やビジョンの共有・共感

エンゲージメント向上にあたり、「企業理念」や「ビジョン」に対する共感は必須です。

会社が何を実現したいのか、事業を進めるにあたって経営者なりの思いがあるでしょう。それを社内に浸透させ、従業員同じベクトルを持って働けているでしょうか。
理念やビジョンを浸透させるには、決まったタイミングごとに共有することが大切です。

共有方法として、「朝礼で理念を唱和する」「ビジョンを記した社員手帳や社員証の携帯」といったことを既に行っている企業もあるかもしれません。
しかし、それだけでは浸透しづらい場合があります。

最近であれば、「会社の理念やビジョンを発信する、ツイッターやブログの更新を輪番で行う」など、時代に合った方法も取り入れるのも良いでしょう。
ある中小企業では若手を採用現場に同席させたことで、「あらためて自社の良さや社会的役割を認識した」と、貢献意欲が高まったという事例もあるそうです。

②働きやすい職場環境

モチベーションは働く環境によっても左右されます。
優秀な人材を定着させるには、「働きやすい職場」を作ることが欠かせません。

従業員が「働きやすい職場」と感じる条件は、自分の意見を歓迎してくれる、悩みを相談できる上司や先輩がいる、休みが取得しやすい、など多岐に渡ります。
その一つひとつに向き合うのは容易ではないですが、お互いの落としどころを見つけていきましょう。

例えば、「若手も意見を言いやすいよう、上司と若手の立場を逆転させたワークショップを行う」「新入社員一人に対して、入社年が近い先輩が相談役になるメンター制度を導入する」などの施策が考えられます。

長時間労働が多かったり、休暇の消化が鈍かったりする場合は、その原因を突き止めて改善することも必要です。

③従業員の成長支援

仕事を進めるうえで自身の成長を実感できないと、働く意欲が薄れてしまうことも考えられます。

従業員を成長させるためには、業務を通じての教育も重要ですが、「資格取得のための時間的・資金的なバックアップ」「キャリアアップに関するきめ細やかな面談」などの支援をすることも肝要です。
こうした支援によって「会社に期待されている」というポジティブな感情が生まれ、イキイキと働くことにつながります。

キャリアアップのための面談では、従業員のキャリア形成について、スキルマップや評価シートなどを用いて話し合ってみてください。
ポイントは、月に1回など決まった機会を設けて、定期的なフィードバックをすることです。
適切なフィードバックを受けることにより、従業員は自身の成長を感じることができます。

行動が結果に結び付かなかったケースがあっても、単に叱責するのではなく、本人が自律的に考え、解決できるような問いかけをすることが肝要です。

評価面談とは別に、1週間に1回、10分程度の「1on1」(上司と部下による1対1の定期ミーティング)を繰り返すことによって、良好な関係性を構築していくことも効果的でしょう。

④マネジメント層の教育

従業員のエンゲージメントを高めるためには、直接的に関わることの多いマネジメント層の教育が鍵を握っています。

会社と従業員間の結節点という役割を担うマネジメント層に対し、経営者は自身の意図や思いを適切に伝えると同時に、マネジメント層から現場の様子をヒアリングすることが大事です。
どんなに優秀な経営層や従業員がいたとしても、マネジメント層が機能しなければ成果は期待できません。

自社で教育するだけでなく、同じ規模感の別会社とタッグを組み、数週間から1ヵ月程度、人員を交換し合う「外学習」の事例もあります。
調整には時間を要するかもしれませんが、2社間での相乗効果が高まることも期待できるユニークな施策でしょう。

おわりに

エンゲージメントの高い従業員はポジティブな感情で業務に取り組み、顧客へのサービス向上や自身の能力開発にまい進するため、「従業員エンゲージメント」の高まりは、会社全体における業績向上や事業成長にリンクするでしょう。さらに、離職率低下や組織内の団結力向上にもつながることが期待できます。
こうした風土を醸成するためには、経営者が従業員のリアルな声に真摯に耳を傾け、継続的に聞き取ることが重要です。

会社の「経営理念」や、事業に惹かれて入社を決めた従業員の愛社精神と貢献意欲を下げないために、一人ひとりの思いに寄り添い、「できることはやる」という姿勢が求められます。
施策によって従業員の貢献意欲が向上し、会社と従業員の結びつきが深まる様子を見られることは、経営の大きな醍醐味でしょう。ぜひ、経営者自身も前向きに取り組んでみてください。

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