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「ロジカル話法」で説得させる、部下を動かす!

掲載日:2022年1月6日人材戦略

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「明日、少し残業する時間あるかな?」「これ、コピーを取っておいてくれないか?」。一見したところ、部下に対する簡潔な指示のように思えますが、これだけでは十分ではないといえます。
部下が思い通りに動いてくれないのは、上司であるあなたの伝え方に問題があるのかもしれません。ここでは、部下に指示を与えるための「ロジカル話法」、論理的な話の構成方法について解説します。

部下とコミュニケーションをとるための必須のスキル

指示を出す際に肝心なのは、作業の位置づけや意味を明らかにして、具体的な作業内容を説明することです。最初に全体像を示し、物事を論理的に整理して指示を与えれば、部下のやる気を引き出し、上司としての信頼や評価を高めることができるはずです。

そこで押さえたい思考の要点が「Why」です。根拠や理由に基づいて筋道を立て、ロジカルに話してみましょう。
例えば冒頭の指示も、いきなり「明日、残業できない?」と聞くのではなく、「明後日の全社会議のために資料を作らなければならない。だけど人員が足りなくて、明日は19時まで残業をしてもらえないかな」とするのが、ロジカルな話し方です。

コピーの依頼も、「会議の出席者に資料として渡したいので、14時までに人数分のコピーを取って、会議室のテーブルの上に置いておいてくれないか」と、「Why」の部分を付け加えるだけで良いのです。指示の内容や重要性が明確になれば、部下は目的意識をもって積極的に仕事に取り組めるかもしれません。
そうすれば部下の育成にもつながり、同じ作業でも仕事の質と効率のアップが期待できるでしょう。

このように「Why」によって具体的な指示を与える話法は、部下とスムーズにコミュニケーションをとるうえで基本的なスキルです。
かつては「一を聞いて十を知る」という姿勢を、部下に対して求める時代もありました。しかし今では、説明をせずに仕事だけを命じると、パワハラや職務怠慢と言われかねない時代になっています。
いくら忙しいからといって、ごく簡単な指示を与え、「分からないことがあったら、後で聞きに来い」と放置するのもご法度でしょう。部下を育て、教育するという、上司としての管理責任のなさを問われかねません。

そんな不本意な誤解を与えないためにも、具体的かつ明確な指示を与えるロジカル話法は、上司にとって欠かせないスキルになりつつあるようです。

全体から部分へと話を進める

ロジカル話法のスキルを身につけるには、思考の流れをスムーズに整理し、相手が理解できるように言語化しなければなりません。そのために役立つのが、最初に話の全体像を示してから、個別の部分を説明する構成法です。

例えば、次のような流れで話をすれば、聞く側は概要をつかんでから詳細な説明を聞くことができるので、話の大筋を理解しやすくなります。

「先日発表された我が社の中長期計画は、関東ブロックの販路拡大を大きな目標としています。その一環として、まず4月に西東京市に営業所を開設し、営業スタッフの増員を図りECサイトの運営を開始します」
「20日に予定されている全社会議は、我が社の来年度の指針を決める重要な話し合いの場になります。そのために、私たち営業チームは万全の準備をして、会議に臨まなければなりません。来週は残業をお願いすることが多くなると思うので協力してください」

話を組み立てるコツは、重要度の高い大きなテーマや抽象的な事柄を最初に述べてから、具体的な説明に移行すること。こうすれば、話し手も情報の整理や分類がしやすくなり、話の説得力が増し、部下の理解や協力を得やすくなるでしょう。

指示を出すときに、「あれ」「これ」「それ」等の曖昧な言葉を避けることも大切です。省略されがちな「主語」を明確にして、話の主体を明らかにすることも忘れてはなりません。

最初に結論を明らかにし、その後に理由や事例をあげる

その他に、最初に結論を明らかにした後で、その理由や事例をあげ、最後にもう一度結論でまとめる話法もあります。
例えば、上司が部下の前で日報の活用を提案する、次のような会話です。

「私は日報作成の義務化を勧めます。なぜなら、日報によってチームのメンバーが日々どのような業務をしているかが明確になり、知識やノウハウの共有につながるからです。日報は業務の失敗や成功を振り返り、課題を見つけ、改善策や新しいアイデアを考えるのにも有効です。また、日報に質問や疑問等を書いていけば、メンバー間のコミュニケーションも深まるはずです。よって、私は今年度から日報の活用を提案します」

結論で相手の関心を引きつけ、理由や裏づけを述べていくこのような論旨の進め方は、自分の意見や主張を打ち出しやすくなります。部下とのコミュニケーションはもちろん、会議や商談にも向いているかもしれません。
ただし、理由や裏づけがあいまいになると、最初に述べた結論と最後の結論が一致しなくなることがあります。アドリブで話す場合は、とくに注意が必要です。

話す項目を最初に宣言する

要点をあげながら話をするときは、話す項目をあらかじめいくつかに分けておくのもいいでしょう。そのうえで、次のように、第一声で数を明らかにして話し始めます。

「今日、○○さんにお願いしたいことは三つあります」
「昨日報告してもらった案件に関して、課題が四つあります」
「原因は三つあると考えます。一つ目は……」

こうすれば、話を聞く側も話のポイントを頭の中で整理でき、理解しやすくなるはずです。
とはいえ、数が多すぎると聞き手を混乱させてしまうので、ポイントは多くても四つから五つくらいにとどめて話をすると良いでしょう。

また、主観をまじえずに、事実や経緯だけを正確に伝えたい場合は、起きた事柄を時系列で順番に話す方法もあります。
時系列で話をするときは、客観的な事実のみを述べるのがコツです。クレーム処理の報告等で、「……と私は思います」「……と考えています」というように自分の意見や感想を挟むと、事実の正確な伝達が損なわれることがあるかもしれません。「過去から現在へ」という時系列を守らず、話の順番を前後させることも、聞き手を混乱させるので注意が必要です。

おわりに

以上のように、自らの考えを整理し、ロジカルにアウトプットすることで、説得力は各段に高くなるでしょう。
「部下に仕事内容を説明するのが苦手」という人も、本稿でお伝えしたポイントに注意することで、複雑な内容を、分かりやすく伝えることができるかもしれません。
今後部下とコミュニケーションを取るなかで、今回ご紹介したような「ロジカル話法」をぜひ、活用してみてください。

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)

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