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知っておくべき、メンタルヘルス対策

掲載日:2021年6月23日人材戦略

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企業の中では在宅勤務が進んだことで従業員同士が顔を合わせる機会が減っているケースが多く、従業員の心の健康に関する関心が高まっています。
ある会社では、従業員がうつ病と診断され休業したところ、その従業員が前の会社でも同様に休業を取っていたことが分かったという例があります。上司や同僚は従業員の異変に気が付くことはできなかったのでしょうか。
本稿では、従業員のメンタルヘルス問題について取りあげ、具体的な対策をお伝えします。

メンタルヘルス問題への具体的対策

心の病であるうつ病は、様々なストレスの蓄積から発症する現代の病気です。
会社として、社員のうつ病への対応は、以下の通りです。

1. 早期発見

うつ病は、本人が気付かないうちにかかっているということもあり、職場内で早期発見するためには日頃の対応が重要です。
遅刻・欠勤などの勤務状況、仕事のミスや業務効率の状況、心身の変化などを気にかけチェックすることが必要となります。
また、「心身の疲労に関するチェックシート」などのツールで、定期的に従業員自らチェックさせることも有用でしょう。
そのほか、職場内にいつでも相談できる相談窓口を設置し、社員に周知しておくことも早期発見には効果的な対策となります。

2. 休職

従業員がうつ病と診断された場合は、休職が必要かどうかの判断が求められます。通常は、社員が受診した医師の判断に基づくことになりますが、場合によっては、うつ病に関し十分な知識のある産業医の意見を聞いて判断することも必要かもしれません。

また、自社の「休職制度」の整備または見直しを改めて行うと良いでしょう。既に制度がある場合は、「心の病」が休職の具体的事由に含まれているか、そして、休職の判断基準、休職までの手続きや休職期間を会社の実態に合わせて規定されているかを再度確認します。特に休職期間中の扱い(賃金の有無や、退職金計算の基礎に含むかなど)については、トラブルを回避するために、具体的に規定しておくことが大切です。
さらに、休職期間中の社員との連絡体制や、会社の状況をお知らせする仕組を構築し、スムーズに職場復帰できる環境を整えておくことも必要となるでしょう。

3. 復職

休職と同様ですが、職場復帰の判断基準を定めておくことが必要です。

従業員を復帰させるには、医師(場合によっては産業医)の意見に基づき、本人の意思を確認しますが、休職前と同じ職務の勤務が可能か、復職後の賃金や労働時間などの労働条件についても検討する必要があります。そのため、様々な復職の仕方を想定して、段階的な復職、短時間勤務制度、在宅勤務制度などの導入も用意されると良いでしょう。
ここでのポイントは、無理な復職でまた休職されることのないよう、従業員に対して十分な配慮をすることです。
また、休職時も復職時も、誠意を持って本人と面談を行い、話を十分に聞くことが重要になります。

4. 退職・解雇

休職の後、治癒されないために退職となる場合もあります。この場合も退職のルールが具体的に規定されていることが必要です。このとき問題になるのが、通常の退職となるのか、解雇になるのかです。就業規則等には、「自然退職」となっていても、一方的に辞められる場合は「解雇」になりますので、解雇予告または、解雇予告手当が必要になります。また、病気の原因が、業務上、いわゆる仕事が原因でということになると、労働基準法上、解雇制限がかかることもあります。
したがって、職場復帰をしてもらうために、十分な支援をすることが必要でしょう。会社が十分な支援をしたにもかかわらず復職が果たせなかったならば、退職に関し本人の理解も得られやすいからです。

心の健康づくり(メンタルヘルスケア)

「心の病」は、ストレス要因の除去や軽減などの予防策が重要になります。人材の喪失を防ぐためにも、メンタルヘルス担当者を選任するなどの体制を整備し、働く従業員の心の健康の保持増進のための措置を講じましょう。

1. メンタルヘルスケアの教育研修と情報提供

「心の病」も受け入れる組織風土にするためには、社員が正しい知識を持っていることも大切です。特に部下を管理する者へは、会社の方針や対応策も含めて教育する必要があります。社員に対しても、自ら早期に気付くことができるよう、基礎的な知識の研修などの支援をすると良いでしょう。

2. 面談制度

従業員がストレスを抱えないよう、メンタルヘルス担当者による定期的な面談を行い、日頃の不安や不満、人間関係などの悩みを吸収することが重要です。また、必要があれば、専門のカウンセラーによる相談や助言をしてもらうことも有効でしょう。
メンタルヘルス対策の役割を担った機関には、精神保健福祉センターや勤労者メンタルヘルスセンターがあります。

メンタルヘルスの問題は企業にとって労働生産性やモチベーションの低下、有用な人材の損失といったリスクをはらんでいます。そうしたリスクを回避するために、社員が満足して働ける職場環境を構築することもまた、大きなポイントになるでしょう。

おわりに

うつ病に対しては、会社が従業員の異変等に気が付くことが大切です。そして、うつ病に対する正しい知識を持ち、会社の受け入れ体制を整備しておくことや、病気になっても社員が隠さない組織風土を作ることが必要です。
また、会社としては、うつ病に限らず従業員の心の健康を保持する仕組を取ることが求められるでしょう。
本稿を参考に、従業員のメンタルヘルス対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。

本コンテンツは独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営するサイト「J–net21(https://j-net21.smrj.go.jp/help/index.html)」内の記事「従業員のメンタルヘルス対策について教えてください。(https://j-net21.smrj.go.jp/qa/hr/Q0687.html)」を一部加筆・変更したものです。

上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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