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商談が変わる!営業社員の「雑談力」を育てよう

掲載日:2021年5月17日人材戦略

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自社の営業担当は、「取引先との打合せや商談のとき、なぜか雰囲気が重苦しい。一体どうすればいいのだろう」といった悩みを抱いていませんか?
お客さまと円滑なコミュニケーションを図るために重要なのが、“雑談”です。リクルート社で伝説のトップセールスマンとして活躍した高城幸司氏は、「雑談は、成功に直結するコミュニケーションなのです」と語っています。
本稿では、営業担当の雑談スキルを高めることで商談を成功に結び付ける方法をご紹介します。

気楽な話が、実は“成功へのつなぎ役”

「雑談は何も生み出さない、無駄な時間」と考えているビジネスパーソンは少なくありません。しかし、いきなり仕事の話を始めて、終わればすぐに帰る、というスタイルの営業では、お客さまは心を開かず、いつまでたっても信頼関係を築くことができないかもしれません。

雑談は本来、「様々な話題を気楽に話すこと」を意味しています。ビジネスの話だけでなく、お客さまと気楽に話せる関係性を持てるようになれば、実は、コミュニケーションの広がりが生まれ、商談成功の可能性が高まってくるといえます。

営業担当が、「仕事の話に終始している」「硬い雰囲気のままで打ち合わせや商談を終わらせてしまう」という場合は、まず、雑談が無意味なものではなく、商談を成功に導くための「つなぎ」役であり、営業の武器となることを認識させることが、重要になります。

成果を出す雑談、“3つの狙い”とは?

お客さまと良好な関係を作りたいからといって、ただなんとなく世間話を続けているだけでは、成果はあげられません。これは価値のある雑談とはいえないでしょう。
営業担当には、雑談の目的をしっかりと定めて実践できるように指導していくことが大切です。

ここでは、雑談の狙いを3つのポイントに分けてご紹介します。
この3つを営業担当にしっかりと意識させることで、雑談を営業テクニックに変え、商談を円滑に進める原動力にさせることができるといえます。

ポイント1:気分転換~自身の話に意識を向けさせる~

商談相手の気分が、いつも平常であるとは限りません。疲れていることや、機嫌が悪いこともあるでしょう。そうした場合には、営業担当の話を聞いてくれないことが多いかもしれません。
こういった場面で、雑談は効果を発します。雑談によって、相手の気分をリセットできれば、自分の話に耳を向けてもらえるようになり、商談に集中してもらえるかもしれません。

気分転換を狙いとした雑談は、相手に「共感」することが基本姿勢となります。相手が望む話題をしゃべらせるように誘導して、共感する姿勢を見せながら、相手の気分転換をさせていくと良いでしょう。
ただし無闇な同調は、反感を買う恐れもありますので、注意が必要です。

ここで、どうすれば気分転換につながる雑談ができるかが分からないという営業担当がいるかもしれません。その場合は、自分が落ち込んだときのことを想像させて、どのような言葉や話題を振ってもらうと気持ちが晴れるのか、考えさせてみましょう。
答えを見つけられた営業担当は、商談相手との雑談でも、ポイントが掴めるようになっていくはずです。

ポイント2:肯定的な気分に導く~Yesと言ってもらえる状態にする~

雑談で、商談相手をポジティブな気持ちにさせることができれば、契約に結びつけられる可能性が一気に高まるものです。
ここでは、「イエスセット法」という方法をご紹介します。これは、「何度も同意していると、反論しにくくなる」というものです。

商談でいきなりビジネスの本題に入るのではなく、相手が前向きな気分になる、つまり「Yes」と言いたくなるような話題を雑談の中で何度も提供して、相手を高揚させていく手法です。

雑談で、「そうだよね」「確かに」「そう思うよ」といった言葉が相手から出ていると、場の空気は変わっていきますし、さらに、相手から話題について深堀した意見が出てくるようにもなります。その状態に持っていった後に、商談へと進めば、良い結果へと進む可能性が高まるでしょう。
営業担当には、いつでも商談相手から「Yes」という言葉を引き出せるような、様々な話題を用意するように準備させるようにしましょう。

ポイント3:情報収集~聞きたいことをさりげなく~

雑談は、商談相手から重要な情報を引き出すときにも使えます。雑談の話題で盛り上がれば、相手は心を許して、その流れで、営業担当が欲しかった情報についてのヒントをくれるかもしれません。
ただ、露骨に情報収集しようとすると嫌らしく映りますので、ここは要注意といえます。

雑談から上手に情報を引き出すコツの一例は、雑談の中で「ちなみに」というフレーズを使うことです。
例えば、商談の最終決裁者は誰なのかを知りたいときは、以下のようなやり取りになります。

営業A:「どこの会社でも、ものごとが決まるまでに時間がかかって、現場担当者は大変みたいですよ」
相手B:「うちもそうだよ。○○○○ということもあるからさ」
営業A:「Bさんも、気苦労が絶えませんね。やっぱり、様々な組織での意志決定ルールが多様化・複雑化しているのが問題なんですかね」
相手B:「そうそう、うちなんかは、○○○○○○という感じなんだよ」
営業A:「なるほど、それは辛いですね。何とか変えないと。ちなみに、今回の案件では、決定者はどなたになるんですか」

このように、雑談の中で、さりげなく「ちなみに」という言葉を使うことによって、露骨な感じが消え、聞きたかったことへの質問の流れができ、知りたいことをあっさりと聞ける場合もあるのです。
すべての商談がこの会話のように進むとは限りませんが、自然に相手から情報を引き出すことができるよう、「ちなみに」といった有効なキーワードを使いこなせると良いでしょう。

何を話す? 話題の準備は必須!

雑談の狙いが理解できても、営業担当が「では、何を話せばよいのか」と悩んでしまうかもしれません。ただ漫然と「今日の天気」を話題にしていても、話は広がらず、打ち解けた雰囲気にはならないという声もあります。

大事なことは、打合せや商談前の準備です。営業担当には、雑談のための話題を事前に用意させておくようにしましょう。
「雑談というのは、アドリブのことだろう」というのは大きな間違いです。気楽なおしゃべりのように見せて、裏側ではしっかりと準備しておくのが、稼げる営業パーソンの手法なのです。
使える雑談の大まかな流れは、以下のようになります。

  1. 相手が好むような話題を振る
  2. その話題についての、自身の意見を少し述べる
  3. 商談相手の話を聞く

ポイントは、話題についての自分の意見を入れてから、相手の言葉を引き出すことです。これによって、相手も自身の意見を言いやすくなり、単なる「受け答え」から、「会話」へとなっていくのです。
営業担当には、この順番で雑談を進めることを徹底させ、商談への「つなぎ」となる雑談コミュニケーションのテクニックを身につけるように指導していきましょう。

ただし営業担当が、相手の嫌悪するような話題を振ってしまっては意味がありません。そのためには、どのような話題が適切で効果的かを、商談相手ごとにリサーチさせておく必要があります。
営業担当には、打合せや商談での訴求ポイントばかりを意識するのではなく、事前に、相手はどのような人で、どんな特徴を持っているかを調べる時間を取らせるようにしましょう。
また、営業担当ができるだけ広い話題に対応できるように、情報収集の手段を数多く準備すると良いかもしれません。営業担当に一任せず、新聞や雑誌、書籍をオフィスに置く、オンラインの情報収集方法を指導するなど、会社側でもできる対応をしていきましょう。

“営業の雑談”を部下に実践させよう

雑談を営業活動の武器にするために、雑談力を養うことは、営業担当にとって不可欠な要素です。営業担当には、営業活動にとっての雑談の価値を、しっかりと伝えるようにしましょう。

もし「アドリブが苦手だから雑談はできない」と思い込んでいる営業担当がいたら、雑談はアドリブではなく「事前準備」であることを教え、それを間違いなくしておけば、営業活動への「つなぎ」として活用できることを理解させてください。

雑談力をあげさせるためには、社内で、営業活動のロールプレイを実施するのがおすすめです。ロールプレイでは、雑談から始めさせるようにして、そのテクニックと効果を理解させていくと良いかもしれません。このとき、雑談に割く時間は、初めは5~10分程度と、目安を決めると良いでしょう。

意図を持って雑談ができている営業担当は、成績を伸ばしていくことが可能となります。一人ひとりの営業担当が数字を伸ばせば、会社の売上がアップしていきます。
自社の営業担当の手法を見つめ直したうえ、営業チームの雑談力向上を図ってみてはいかがでしょうか。

(記事提供元/株式会社プレジデント社 企画編集部)

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