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壁を乗り越える経験が、営業パーソンを成長させる!

掲載日:2021年4月12日人材戦略

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「商談に失敗した」「営業プロセスがなかなか前に進まない」など、営業活動には数々の“壁”が存在します。ただ、リクルート社で伝説の営業マンとして活躍した高城幸司氏は、「壁から逃げることはやめさせるべきですね。厳しい状況に直面したとき、それを自ら解決できるようになってこそ、営業としての成長が期待できるのです」と話します。
本稿では、営業担当が壁を乗り越え、より精度の高い活動をしていけるように指導する方法をご紹介していきます。

「どうして失敗したのか」を認識させるために

営業の成功率を上げるには、商談の成功パターンを分析し、そこに至るまでの行動をルール化することが重要です。しかし、このルールを踏襲して適切な手順を踏んだとしても、商談がうまくいかないことがあります。

これは、営業担当にとっての、一つの“壁”だといえます。とはいえ、これを乗り越えることができれば成長へとつながっていくでしょう。
組織のリーダーならば、営業担当が失敗したときには静観するのではなく、この壁を乗り越え、次の営業活動につながるようにしっかりと指導していきたいものです。

商談がうまくいかないケースには、例えば次の3つのケースがあげられるでしょう。

  • その商品はいらないと言われる
  • 競合相手に負ける
  • 商談が膠着して何も発展しない

営業担当が失敗した場合、上記のどのケースにあてはまるのか、また、その原因を認識できているかを確認して、認識できていない場合には、それを考えさせることから始めましょう。
壁を乗り越えさせるためには、まずは営業担当が「この商談は、この失敗のケースにあてはまる」と理解し、そこから原因を考えていなければ、次には進めません。

その認識が不足している場合、上司が「なぜうまくいかなかったんだ!理由は分かっているのか!」と問い詰めるようにしては、営業担当は委縮して、自信を喪失してしまいます。

したがって、大切なのは「会話」です。
なぜ失敗したのか、どうすれば良かったのか、同じ失敗をしないためにはどうすればいいのか、と話し合いながら、営業担当が自ら気づき、理解するように働きかけるようにしましょう。
営業担当に壁を乗り越えさせるためは、「認識」させることが第一歩と考えてください。

商談の失敗を繰り返させないための「2ステップ」

営業担当が「認識」をした後には、商談の失敗という“壁”を乗り越えるように導かなくてはなりません。そのための手順をご紹介しましょう。

ステップ1:失敗の“原因”を分析させる

どんなつまづきも、必ず「原因」があるものです。原因が分からなければ、対処もできません。
したがって、営業担当と一緒に、以下の「営業活動のプロセス」の各段階における言動を振り返りながら、失敗につながった具体的な要因を探していきましょう。

【一般的な営業活動のプロセス】

  1. アプローチ
  2. 信頼構築
  3. ヒアリング
  4. 企画・提案
  5. クロージング
  6. アフターフォロー

話し合っている中で、「ヒアリングの段階で、そういえばお客さまがこのようにおっしゃっていた」「クロージングのときの、あのひと言がだめだったかもしれない」と、失敗の原因が分かってくれば、次への道が開けてきます。

ただ、この段階で、「良くない結果に終わった商談を思い出したくない」「話したくない」と拒否する営業担当が出てくる場合もあります。これは、プライドの高い人に多く見られる傾向だといえます。

そうしたタイプの営業担当に対しては、現状を肯定するように、「今回の商談のことを思い出したくないのは、君が真剣に仕事に向かい合って成功に導こうとしたからだよ」と声がけをするのです。
ブライドが高く、日々努力をしているわけですから、営業担当自身も辛い状況なわけです。したがって、少しでも前向きになれるように気遣いをしながら、原因を理解させるように導いていきましょう。

ステップ2:失敗を、営業活動における“注意事項”に転化させる

営業担当には、失敗の原因を特定させることだけで満足させてはいけません。
その失敗を、単なるエラーと済まさず、今後の営業活動プロセスにおける「注意事項」として認識させるように促していきましょう。

そして営業担当に、「躓きの要因となったアクションを行うと、限りなく失敗につながりやすくなるので、今後は避ける」ということをルール化させ、それに沿って営業活動に取り組むようにさせるのです。

そうすれば、仮に商談中に良くない兆候が見られた場合でも、失敗のパターンが頭に浮かび、それを回避することが可能になります。
また、これを繰り返すことによって、「成功パターン」を見つけ出すことも可能になりますし、その精度を向上させていくことにもつながっていくといえます。

しかし、失敗した際に落ち込むだけで終わってしまう営業担当や、「運が悪かった」と原因を追究せずに、目を背けてしまうタイプは、成功パターンの確立が難しくなります。
こうした営業担当には、厳しく指導して、発破をかけても改善しません。
成功や失敗という結果が出たときだけ声がけをするのではなく、常日頃から、その営業担当の活動や進捗を確認するように心がけしましょう。コミュニケーションが取れていれば、気持ちの落ち込みや現実から目を背けることが少なくなっていくはずです。

商談の進行が遅い場合の対処とは?

営業担当が抱える商談の進捗が遅くてイライラする……。これは、よくあることかもしれません。こうしたときも、営業担当が壁にあたっている可能性がありますので、チェックを怠らないようにしましょう。
こういったケースは、大きく分けて2つの原因があるといえます。

原因1:商談相手から見て優先順位が低いと思われている

これは、何らかの理由で商談を後回しにされているパターンで、例えば取引先の担当者に、春は株主総会の準備、夏は社員が夏休みといった具合に、いつも「忙しい」と言われて、面会を断られるようなケースです。
これは、提案しようとした案件よりも、その担当者に、目先の仕事を優先されていることになるでしょう。

こういった場合の解決法は、その担当者にとっての、自社営業担当の優先順位をあげさせる働きをするように導くことが鍵となります。
例えば営業担当に、先に取引先担当者の上司に「コストダウンができるプランがあるんですよ」と耳打ちさせ、それが、担当者のところに下りてきたところを見計らって、再び商談を持ち掛けるようにさせてみるのもいいかもしれません。この動きによって、自社の優先順位がぐっと上がり、だらだらと後回しにされる恐れが低くなるといえます。

また、自分の優先順位があがるのを待っているような営業担当には、無為な時間を過ごしていることを認識させ、能動的に営業活動するよう声がけを行いましょう。

原因2:営業社員の「仕切り」が甘い

これは、商談への臨み方に問題があるパターンです。「営業活動のプロセス」の各段階にかける時間があまりにも長く、進捗が見られません。

仕切りの甘い営業担当は、クロージングをかけられるタイミングなのに、特に理由もなく後回しにしたり、いざ契約というところまでいっても契約書を忘れて、平気で次回に持ち越ししたりします。

これらは、商談前の準備不足が主な原因です。
持参するべき書類を忘れていないかどうか、ということも重要ですが、営業担当には、常に商談における「最高のケース」と「最低のケース」を想定させておきましょう。

商談では、案件を持ち掛けたその日に契約を結べる、という最高のケースもあり得ます。そんなときに、契約書がなく合意の機会を掴み損ねるのは、あまりにも大きな損失だといえます。

常日頃から営業担当には、「商談が最高にうまくいくと……」と考える癖を付けさせておきましょう。準備不足に陥らなくなるのと同時に、気持ちが前向きになりやすく、成功の可能性が高まっていくかもしれません。

すべてを成長への糧にさせよう

営業担当が壁にあたったときは、焦りや不安を抱いていることが多いはずです。だからこそ、サポート体制の整備が重要になってきます。また、悩みについて率直に話せる場を設けることも大切です。

そして重要なことは、営業担当にとって、壁にあたった、失敗したという経験は、それをどう乗り越えどのように活かしたかによって、成功パターンの確立への筋道になるということです。それを、しっかりと伝えるようにしましょう。
また、これによって、「うまくいかなかった経験は決して無駄ではない」と自信を回復させることにもつながり、自社の営業担当を成長させる原動力となります。

営業活動における壁は、誰もが直面することがあります。今後、様々な壁にぶつかる営業メンバーのためにも、今回ご紹介した方法を社内で共有してみてはいかがでしょうか。

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)

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