ページの先頭です
メニュー

メニュー

閉じる
本文の先頭です

行動を“ルール化”すれば、自社の営業は変わる!

掲載日:2021年3月1日人材戦略

キービジュアル

部下の営業担当が行きあたりばったりで、次に何をするべきかよく分かっていない、いつも、勘と人脈頼みになっている……。そんな営業パーソンに、やきもきしたことがある組織のリーダーは多いのではないでしょうか?
リクルート社で「伝説のトップセールスマン」として活躍した高城幸司氏は、「稼げる営業パーソンは、成功法則を知っています。それを社内で共有すれば、全体の営業力アップにつながるはずです」と語ります。
本稿では、営業における成功パターンを、基本行動として「ルール化」するための手順をご紹介していきます。

ステップ1:営業プロセスを把握させる

営業の仕事には様々なやり方があります。ただ、ルール化するためには、まずは、決まった営業の「流れ」というものがあることを、自社の社員に理解させることから始めましょう。
第一は、「営業活動」のプロセスです。ここでは大きく分けて、以下の6つのプロセスを1サイクルとして回していくことが大切になります。

  1. アプローチ
    お客さまに会いに行くために、電話やメールを出したり、飛び込み営業をしたりする。
  2. 信頼構築
    お客さまにお会いして、挨拶や自己紹介、雑談などで信頼されることをめざす。
  3. ヒアリング
    お客さまの現状や課題を聞き出す。
  4. 企画・提案
    お客さまに貢献できることを企画、提案する。
  5. クロージング
    お客さまの決断を促す、あと「一押し」の言葉をかける段階。
  6. アフターフォロー
    決定後、これを怠らないことで、お客さまとの次の仕事につなげることができる。

ここで重要なのは、定例会議などで、部下の抱えている商談が上記のプロセスのどの段階にあるか、チェックしておくことです。

例えば、今日が初回の訪問であれば、アプローチは既に終わっていて、信頼関係を構築する段階ということになります。
そうと分かれば、「今日は、まだ信頼関係ができていない段階だから、それを構築することを目標にしよう。さらに可能であれば、相手の課題をヒアリングできるところまでいけると良いね」と目的意識を明確にしつつ、助言を送ることができます。

週に一度程度の比較的高い頻度で部下の進度を確認しておくと、より具体的なアドバイスができるのでおすすめです。

ステップ2:成功パターンを分析させる

営業担当のプロセスを把握できたら、次に営業活動の「成功パターン」について、分析を指示しましょう。

例えば、電話料金が安くなるサービスの営業をしていたとします。どうすれば効率的に商談を成功に導けるのかを考えた結果、お客さまの前月の電話料金を聞き、電話代を比較できれば成功率が高いことが分かりました。
この場合、『先月の電話料金を聞き出すこと』が成功要因にあたるといえるでしょう。

営業担当には、成功要因がプロセスのどこにあったのか、営業活動の振り返りを求めるようにします。おおむね、クロージングの少し手前にあることが多いものです。

また、先の例でいえば、「先月の電話料金表を見せていただけませんか、と言う」のはヒアリング段階であるべきです。アプローチの段階で、電話口でいきなり話をしたとしたら、「いきなり、何ですか!」と切られてしまうでしょう。
このように、成功要因のタイミングも明確にしていきます。

まだ成功体験が少ない若手には、先輩の営業活動の報告を聞く中で、勉強会のような形で“成功要因探し”をさせることも、組織全体の営業力を高めるためにおすすめです。

ステップ3:行動を「ルール化」させる

次に、どの段階で何をするか、行動をルール化させましょう。

先程の電話料金の営業例で説明すると、ヒアリングの段階で、「先月の電話料金表を見せていただけませんか、と言う」というルールを作らせるのです。
あるいは、その前の信頼構築の段階で、「他のお客さまがこのサービスを利用したら電気料金が2割も安くなった、という話をする」というルールを設定しても良いでしょう。

基本行動のルールを決めても、まだ何か不安があるという営業担当がいる場合には、さらにルールを追加してあげるのもおすすめです。
例えば、「弊社の営業提案により、コスト削減を実現した企業一覧」を資料としてまとめておかせるといったことを検討しても良いかもしれません。それを、信頼構築の段階で見せるというルールを社内で共有するのです。

基本行動をルール化し、自動的・機械的にやり続ける「仕組み」を作ることで、営業チーム全体の成功確率を高めることができるといえるでしょう。

ステップ4:周囲との共有を図る

仕上げとしては、ステップ1~3の内容や状況を周囲と共有させるようにしましょう。営業担当が自分で作り上げた仕組みを守り続けるためには、他人に監視・チェックされるという適度な緊張感を持たせることが有効だといえます。

これは、同僚の前で宣言させるといった方法も考えられますが、営業担当に抵抗感があるような場合は、オフィスの壁や机に、ステップ1~3の状況を貼ってみることをすすめてみましょう。
これによって、自分の状況が他人の目に触れますし、何度となく営業担当自身の視界にも入ります。あるいは、SNSを使って発信させ、ネット上で可視化する方法も良いかもしれません。

また、営業担当にステップ1~3の内容や状況を紙に書かせ、上司に提出させるのもおすすめです。
この場合、上司が営業担当に対するモニタリングの役割を担うことになります。上司は監督者ですが、モニタリングを頼まれた以上、その営業担当から、同時に自分も見られているということをしっかり認識しておく必要があります。

営業担当が、モニタリングがしっかりと機能していないと感じてしまった場合、モチベーションが下がる恐れがあります。だからこそ、部下への声がけを忘れないようにしましょう。「いつも、気にしているぞ」という姿勢を見せることが大切です。

営業の戦いは「商談の前段階」にある!

ここまで解説してきた4つのステップは、考え方次第では、すべて商談前に実行できることだともいえます。というのも、営業担当が成果を出せるかどうかは、実は、実際にお客さまに会いに行くまでに、ほとんど決まってしまっていることが多いのです。
営業担当には、プロセスの前に徹底的に考えさせ、準備ができてから商談に送り出すようにすることが望ましいでしょう。

このように、商談が成果を生むのではなく、商談前の入念な準備こそが成功へのポイントだといえます。営業担当には、再現性を持った「成功確率の高い営業パーソン」に成長していく道筋であるということを認識させるようにしてください。

今回、4ステップをご紹介しましたが、こういった営業活動の“ルール化”が、組織強化へとつながるといえます。また、このルールを徹底することによって、営業担当を、効率的に稼げる営業パーソンに変えることも可能となります。ぜひ、取り組んでみましょう。

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)

その他の最新記事

ページの先頭へ