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定着率を高める従業員教育

掲載日:2020年11月9日人材戦略

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企業の人材教育において、従業員の定着は重要なポイントといえます。特に若手従業員は、将来の会社経営を担う必要不可欠な存在です。経営者は、従業員の定着率を高めるためにどのようなことに気を付けたら良いのでしょうか。
まずは、若手従業員がなぜ辞めてしまうのか、その理由について確認しましょう。
ある調査によると、若年者が「初めての正社員勤務先」を離職した理由には、「肉体的・精神的に健康を損ねたため」「人間関係が良くなかったため」があります。これらは、会社の雰囲気や現場の指導法が原因の一つと考えられます。経営者は、全社の課題として取り組む意識が必要だといえるでしょう。
また、「キャリアアップするため」という離職理由も多いようです。年功序列の時代とは違い、転職は自身のキャリアプランを考えるうえで当然だと考える人が増えていることは肝に銘じておくと良いでしょう。
これらの事情を踏まえ、本稿では、定着率を高める従業員教育についてお伝えします。

理念と求める人材像の共有

会社が求めている理念を明示・浸透させている企業は、従業員の定着率が高い傾向があるようです。その理念に共感できていれば、業務上どうしても発生してしまう一時的な労働負荷の上昇や、顧客・同僚との人間関係といったトラブルを乗り越えて理念の実現に協力しよう、という組織風土が醸成されるからです。 高い目標を掲げ、部員がそれに共感している部活動では、厳しいトレーニングを課しても部員が辞めないのと本質は同じでしょう。
また、価値観を共有することも有効です。社会人の誰もが、仕事の進め方や考え方について持論があるといえます。その持論同士がぶつかると人間関係が乱れる一因になるかもしれません。そのため、意思決定の方針や、仕事の進め方について基本的な考え方を示し、共有しておくことで無用なトラブルを避ける効果があるのです。
もしまだ明確な経営理念や人材像がなければ、社内プロジェクトとしてこれらを従業員に検討させるのも手だといえます。理念や人材像の具体化を通じて、会社と自身の関係性を考える教育になるのです。

チューター制、メンター制などを利用して先輩が見守る

現場での仕事はOJT(職場内教育)での教育が中心になりますが、その場合、仕事内容によっては上司あるいは先輩が新人につきっきりで教えることでスキルアップ、定着率アップにつなげられます。
愛知県で耐震工事などを請け負う、ある企業では、入社4~5年目の先輩社員が1年間、新入社員と同じ現場をずっと一緒に回り、挨拶や車の運転、道具の片付けなどすべての面倒を見る、いわゆるチューター制で新人教育をしているそうです。先輩と新人の間には濃密な人間関係が生まれ、悩み事なども相談できる間柄になるといいます。

また、大阪府のある建設会社では、入社3年目までの若手社員(メンティー)に専属の先輩社員(メンター)を付けており、色々な事を話し合う時間を確保しています。入社から間もなく不安も多いメンティーは、定期的にメンターに相談できることで安心感が持てます。そして、後輩の相談に乗ることで自身のやりがいやありたい姿について見つめ直すきっかけとなり、先輩社員の定着率向上にも一役買っているようです。

キャリアアップを実現できる機会を与える

「キャリアアップするため」を離職の理由に考える従業員には、「自分のキャリアプランをどう描いているか」と聞いてみると良いでしょう。そのうえで、もし明確なキャリアプランがないとしても、自社内でキャリアアップできることを伝える必要があります。すなわち、年代に応じて必要な知識やスキル、リーダーシップなどを示すのです。同時に、その人物の希望や適性に応じて社内・社外で知識や技能を習得できる場を与えることで、本人の成長欲求を満たすことができます。これは、人材のスキルアップにもつながるため、企業にとっても有用です。
また、本人の描くキャリアアップに沿った経験が積めるよう社内で配置転換したり、業界内あるいは業界を超えた外部のリーダー養成研修などに参加させたりしても良いでしょう。「会社に将来性がない」と思い込んでいた中堅社員も、新しい刺激を受ければやる気を取り戻すことがあるからです。
何より、トップは自社の未来像について従業員にきちんと伝えることが肝心です。どういう会社を目指しているのか、5年後10年後のために今何をするのか、そのために従業員に何を期待しているのかを伝える熱意が求められるのです。これは経営者が会社を経営するうえで欠かせない取り組みであり、従業員を育てるうえでも大きな意味を持っているといえます。

以上のポイントを踏まえ、定着率を高めるための従業員教育を行ってみてはいかがでしょうか。

出所:独立行政法人労働政策研究・研修機構 JILPT調査シリーズNo.191 2019年3月「若年者の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱ(第2回若年者の能力開発と職場への定着に関する調査)」

本コンテンツは独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営するサイト「J–net21(https://j-net21.smrj.go.jp/index.html)」内の記事「定着率を高める従業員教育(https://j-net21.smrj.go.jp/handbook/hr/retention_emp.html)」を一部加筆・変更したものです。

上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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