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意識してますか?従業員ロイヤルティ

掲載日:2019年10月21日人材戦略

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ロイヤルティ(loyalty)とは忠誠や忠義といった意味です。企業と従業員の関係でいえば、愛社精神などがここでいうロイヤルティに該当します。一般的に、従業員のロイヤルティが高まれば、仕事に積極的になり、作業効率が上がり、離職率も低くなるなど、多方面で好影響が出てくることが期待できます。大げさに考える必要はなく「会社を好きになってもらう」「愛着を持ってもらう」ことだと捉えれば施策もイメージしやすいのではないでしょうか。本稿では従業員ロイヤルティを高める方法について紹介します。

社員自ら会社に愛着をもてるような仕組みと工夫

具体的にどうすれば従業員のロイヤルティを高められるのでしょうか。当然ながら、上からのお仕着せの施策では、従業員のロイヤルティを高めることは難しいでしょう。従業員たちが自然に会社に愛着を持てるような仕組みや工夫を取り入れていく姿勢が大切です。

主なポイントは次の通りです。

  • 企業の理念や沿革、強みを共有する
  • 経営陣・幹部と従業員との絆を強くする
  • 人事評価は結果だけではなくプロセスも重視する

企業の理念や沿革、強みを共有

創業間もない企業の場合は、企業理念や事業に込めた創業者の熱意などが従業員全員に伝わっているケースが多く、社業が順調でありさえすればロイヤルティは高まりやすいと考えられます。しかし、長い期間を経て経営者も代替わりすれば、企業の歴史が風化する可能性や、理念から生まれた社内制度やルールが形骸化する可能性が高くなります。

そこで、改めて全社員に理念の浸透を図ることが重要となります。「理念」として掲げられた文言だけを表面的に伝えるのではなく、理念に込められた意味やエピソード、創業当時の苦労話・成功話などと共に伝えられる機会をつくると良いでしょう。また、理念研修だけでなく、幹部社員・ベテラン社員と若手社員をつなぐような懇親会に加え、社内報などを通じて、自社の技術・サービスにかけた想い、社会に対する貢献、過去の従業員の功績などを紹介したりすることも有効と考えられます。

会社のめざすべき方向性を「中期経営計画」などのかたちでまとめるプロジェクトチームを立ち上げて、経営陣ではなく、従業員主導で進める方法もあります。それは「中期経営計画」の策定を通じ、会社について真剣に考え、愛着を生むきっかけになるからです。同様に「知的資産経営報告書」の作成も有効と考えられます。知的資産とは、目に見えない自社の強みの源泉であり、その知的資産を棚卸しし、未来に向かって活用する方針をまとめる知的資産経営報告書を作成することで、社員が自社の強みを理解するきっかけにもなるでしょう。これも経営幹部や一部の部署だけで作成するのではなく、複数部門の従業員を巻き込むことが有効でしょう。

経営陣・幹部と従業員との絆を強くする

ロイヤルティを大きく左右する要素として、経営陣・幹部社員と従業員の関係性があります。「自分を認めてくれない」「正しく評価してくれない」「相談しにくい」「そもそも話す機会が少ない」といった、日常的な不満が関係性の悪化につながり、ロイヤルティが低下してしまうケースは少なくはないようです。面談の機会を増やすだけでなく、社内行事やレクリエーションなどを通じて、ややプライベートなコミュニケーションの機会を持つことも有効と考えられます。

とある建設資材卸売企業では、全女性社員をホテルのパーティ会場に招待し、社長と全役員が正装でもてなすという催しを、年1回開いているそうです。普段は命令系統のトップにいる社長がホストに徹し、社内では出てこない一面を見せることで、女性社員の会社に対する好感度が上がるとのことです。

また、とある鉄鋼・機械商社では、年2回、社長と役員がお寺に行き、物故社員の法要を行っているそうです。それも、遺族を招待し、一般家庭ではほとんど行われない五十回忌まで続けるという徹底ぶり。ロイヤルティ対策で始めたわけではないが、高齢社員を中心に、自然と会社へのロイヤルティが強くなるとのことです。

人事評価は結果だけでなくプロセスも重視

人事評価では、目標達成度などの結果だけでなく、そこまでのプロセスを見ることが重要と考えられます。結果を評価するだけでは、なぜその結果に至ったのか(どんな行動が良かったのか、あるいは悪かったのか)が分かりません。結果に至るまでのプロセスでどんな行動が求められるのか、という評価軸を取り入れることで、その社員の育成に役立てることができるでしょう。

プロセス評価を取り入れること自体が、上司と部下のコミュニケーション向上にもつながるとも考えられます。そもそもプロセスを評価するには、上司が個々の従業員の仕事ぶりを日常的にチェックしたり、こまめな対話とフィードバックの機会を持つことが必要になるからです。努力や取り組み姿勢を評価し、働きぶりをきちんと見ていると伝えることも重要でしょう。これによって、評価の納得性が高まり、会社に対するロイヤルティ向上につながることを期待できるでしょう。

本コンテンツは独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営するサイト「J–Net21」(https://j-net21.smrj.go.jp/)内の記事「経営ハンドブック」(https://j-net21.smrj.go.jp/handbook/org/royalty_emp.html)を一部加筆・変更したものです。
上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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