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2019年4月より施行!「働き方改革」へ向けた労働基準法改正について

掲載日:2019年2月12日人材戦略

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人口減少と少子高齢社会を迎え、日本の雇用は今、転機を迎えようとしています。「働き方改革」は終身雇用制をはじめとする、日本独特の労働形態を変革するための取り組みです。政府は多様性のある柔軟な労働形態の社会を実現するため、様々な取り組みを行っています。2019年に施行される労働基準法の改正もその一つです。本稿ではこの改正内容について解説します。

労働基準法改正の概要と背景

労働基準法改正のきっかけとなった「働き方改革」は、もはや避けがたいものとなった国内総人口の減少に対応するためのものとされています。2018年4月に、政府が日本の特徴的な労働形態である長時間労働や不合理な待遇差、有給休暇の未取得等を抜本的に是正するための法律案(働き方改革関連法)を国会に提出し、2019年4月より順次施行されることとなりました。

労働基準法改正の5つのポイント

労働基準法の改正におけるポイントは5つです。

① 長時間労働の抑制

日本では、長時間労働が常態化している企業が少なくありません。長時間労働は、過労死やうつ病等の原因の一つとしても挙げられています。この長時間労働を是正するため、時間外労働の上限に規制を設けることになりました。

時間外労働の上限は、

  • (原則)月45時間・年360時間以内
  • (臨時的な事情がある場合)年720時間以内、月100時間未満(休日労働を含む)、2~6ヵ月平均で80時間以内

となります。

② 勤務間インターバル制度の導入

勤務間インターバル制度とは、終業から次の始業時間までに一定時間の休息時間を確保するというもので、労働者の健康面に配慮するとともに、集中して業務に取り組んでもらうことが目的です。本制度が既に制度化されているEU加盟国では、労働日と次の労働日の間に最低連続11時間の休息付与が義務づけられています。

日本の行政でもこの11時間を推奨しています。例えば就業時間が9時から18時までの企業において、ある日の終業が23時になった場合、次の勤務開始は23時から11時間が経過した10時以降となります。たとえ本来の始業時間を過ぎていたとしても、経営者はその労働者を働かせてはならないという規則です。今回、日本では努力義務としての導入となりますが、これも①の「長時間労働の抑制」に貢献すると期待されています。

③ 同一労働同一賃金の導入

これまでの雇用形態では、パートやアルバイト・契約社員等の非正規雇用者と正社員である正規雇用者との間に大きな待遇差が生まれていました。今回の法改正では、同じ職場の同じ業務内容、そして労働時間が同じ場合には、非正規雇用者も正規雇用者と同じ賃金でなければならないという規則が設けられることになりました。

④ 年次有給休暇の取得義務化

日本ではこれまで有給休暇が取得しにくいという風潮がありました。今回の法改正では、雇い入れより6ヵ月間勤務し、年10日以上の有給休暇が付与される従業員に対し、会社は最低でも5日間はあらかじめ日程を決めて有給休暇を取得(=消化)させることが必要となったのです。

中小企業も対応しないと罰則の可能性がある「有給休暇の義務化」について
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/mizuhosmartportal/jigyosenryaku/topic_08.html

⑤ 高度プロフェッショナル制度の導入

高度プロフェッショナル制度は、金融商品の開発者やディーリング、市場アナリストやコンサルタント等、高度な専門知識を有する人のために作られた柔軟性の高い雇用制度です。具体的には、年1,075万円を超える収入がある対象者が希望した場合、通常の労働時間規制から外す制度です。ただし、4週間で4日以上、年間では104日以上の休日を設ける必要があります。

まだまだ認知度が低い労働基準法の改正

では、実際に労働基準法の改正内容について企業はどれだけ知っているのでしょうか。日本・東京商工会議所の集計によると「時間外労働の上限規制」について「知らない」と答えた企業は全体の39.3%でした。同様に、「年次有給休暇の取得義務化」について「知らない」と答えたのは24.3%、「同一労働同一賃金」については49.6%となりました。それぞれに差はありますが、改正内容が企業に浸透していない現実が浮き彫りになっています。

労働形態が大きく変わる前に柔軟な対処を

働き方改革は労働形態の抜本的な構造改革とも言えます。人事担当者や経営者は、大幅に変わった労働形態に対して、大慌てになることのないように対応していくことが必要です。

上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
(記事提供元:株式会社ZUU)

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