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部下に教えたい“稼げる営業”になるための3原則

掲載日:2021年2月1日事業戦略

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日々の業務をこなすだけで、自ら考えて動くことができない……、そんな営業パーソンに思いあたる節はないでしょうか?もし、部下や仲間にそのような傾向があるとしたら、ゆくゆくは営業成績が頭打ちになり、自社の売上に影響を及ぼすことにもなりかねません。
リクルート社で「伝説のトップセールスマン」として活躍した高城幸司氏は「稼げる営業パーソンは自分で考え、ロジックを組み立てて、日々実践している」と言います。
本稿では、今日からできる、自社の社員を「考える営業」へと変えるための方法をご紹介していきます。

継続的な売上には「再現性」が不可欠!

営業という仕事において、偶然の産物によって高い業績を上げるというケースは、たしかに存在します。そんな人を見たとき、「運とカンと人脈さえあればどうにかなる、それが営業という仕事だ」と思ってしまう人がいても無理はありません。しかし、運良く大きな商談を獲得することができたとしても、それが継続できなければ「稼げる営業」とは認められません。

「営業に求められるものは、運ではなく“再現性”です」と高城さんは語ります。本質的な営業努力をきちんとやっている人でないと、継続的に成果を出すことはできません。そのために企業として育てるべきは、自ら思考を働かせ、練り、動くことができる営業パーソン、すなわち、「考える営業パーソン」なのです。

まずは、自社の営業パーソンが、「考える営業=再現性のある営業」となっているか確認してみましょう。そのためには、商談がうまくいったり売上が上がったりしたときに、“なぜうまくいったのか”を当事者に分析させてみるのです。
理由を明確に答えられる社員は、「再現性」のある営業をしていくためのロジックが既に自身の中にあるといえます。こうした営業パーソンは、今後も継続して売上に貢献することが期待できるでしょう。

一方、答えられない社員は「たまたまうまくいった」可能性が高いと考えられます。
そうした営業パーソンへの処方箋こそが、これから説明する「考える営業になるための3つの原則」です。

原則その1 経験を“パターン化”するべし

一般的な営業活動には、下記①~⑥のプロセスがあります。

【営業のプロセス】

  1. アプローチ
  2. 信頼構築
  3. ヒアリング
  4. 企画・提案
  5. クロージング
  6. アフターフォロー

「この①~⑥の中で、ある状況まで持っていけば、商談がまとまりやすいという『成功パターン』を見つけることが売上アップにつながるはずです」と高城さんは説明します。
成功パターンは当然ながら業種や人によって異なりますが、ここでは、とある医療機器メーカーの営業の例をご説明しましょう。

この会社は『お試し』で1ヵ月間、医療機器を医院に置かせてもらうと、商談がうまくいくことが多かったようです。この場合、④の企画・提案の段階で『機器を1ヵ月試用してもらうこと』が成功パターンになるといえるでしょう。
もちろん、あてが外れることもゼロではありませんが、勝率が高いパターンを組織として作り、持っているほうが、売上を伸ばしていく可能性が高くなると考えられます。

ただ、この成功パターンはなんとなく把握しているだけでは不十分で、しっかりと認識してパターン化することが重要だといえます。
そのためには、成功した営業パーソンの「KPI(キー・パフォーマンス・インディケーター=成功要因)」を探すようにしていくことが大切になります。

このためには、次の2点を実践するようにしていきましょう。

  1. 1.成功した営業パーソンの活動で、先ほどあげたプロセス①~⑥のどこにKPIがあったかを考える
  2. 2.そのポイントで、成功した営業パーソンと相手の「言動」を事細かに分析する

経営者としても、ある程度の営業経験があったほうが、KPIが見つけやすいのは間違いありません。しかし、経験が浅くても、成功者の営業プロセスをたどってパターン化することは不可能ではないでしょう。

経験をKPIと結びつける際は、主観をなるべく排除しなければなりません。成功した営業パーソンのこだわりや熱意を考慮すると、かえって、成功パターンやKPIを見つけにくくなってしまうことがあります。
成功パターンを作り上げることに苦労している営業社員に対しては、自分の経験を客観視できているか、会話の中でチェックして、指導していくことをおすすめします。

原則その2 行動を“ルール化”するべし

次に、KPIに至るまでにはどのようなアクションを取れば良いかを分析し、ルール化していくように指示していきましょう。

いったんルールとして決めると、KPIまでの行動を“ルーティン化”させることができます。すると社員はKPIに至るまで、試行錯誤しなくて済むようになるため、時間的なロスが少なくなりますし、KPIまでたどり着ける確率も高まるはずです。

先述の医療機器メーカーの例にあてはめれば、ルールにするのは「『弊社の機器を1ヵ月ほど置いてみてもらえませんか?』という」ことになるでしょう。
組織としてこのようなルールを決めずに、「顧客である開業医の先生の機嫌が良さそうだったら話を持ちかけてみよう」程度の方針で営業活動をしていては、成功パターンにたどり着く可能性は低いのではないでしょうか。

ルール化すれば、開業医の先生が忙しそうであまり時間を取ってもらえなくても、全員が1ヵ月の試用を持ちかけるところまでは行動できるようになることが期待できます。
経験が浅い社員や自分で決めたルールをなし崩しにしてしまいそうな社員とは、あらかじめ決まり事を共有し、日々守れているか、指導者側が確認していくことを忘れないでください。

原則その3 商談は“ゲーム化”するべし

営業としての行動を組織としてルール化することには、1つだけ問題があります。それは、人間は機械的なルーティン業務を単調と感じ、やがて飽きてしまうことがあるという点です。ある程度経験を積んだ営業パーソンほど、退屈するのは早いかもしれません。

そこでルーティンが楽しくなるように「ゲーム化」するように促してみましょう。例えば「商談を成功パターンに持っていけたら」「KPI前のルールを実行に移せたら」などと自由に条件を設けて、各営業社員が自分へのご褒美を用意するように指導するのです。
ランチを少しだけ贅沢なものにする、その日はノー残業デーとしてリフレッシュを試みるなど、ご褒美は各々のモチベーションが高まる「ちょっとしたもの」で良いと思います。

この「ゲーム化」も広い意味では「ルール化」といえるでしょう。そのため、最初に決定したご褒美は確実に実行することを意識させたいものです。
また、チーム単位、プロジェクト単位でゲーム化を行うのも有効ではないでしょうか。この場合は目標の設定とご褒美の内容は、メンバー全員で考えることをおすすめします。メンバーが考えたご褒美だからこそ、モチベーションが高まるのです。
上司が独断で思いついたものをご褒美にするのは、避けたほうが良いかもしれません。

「なぜ」の問いかけが考える営業パーソンを育てる

「考える営業」とは、その場その場で考えて動くという意味ではありません。
ここまでに説明してきたように、商談の前に成功にたどり着くための計画を練り、KPIを設定し、自分なりにルールを決めて動くことこそが、本当の意味での「考える営業」なのです。

事前に戦略を考えて、商談の場ではルールを徹底してやり抜く、それが「再現性」の高い、稼げる営業パーソンといえるでしょう。

そのために、上司に求められるのは、営業社員に対しての積極的な「問いかけ」ではないでしょうか。
部下が取った行動について、「なぜ?」と深掘りすることで、本人も意識していなかった成功パターンやKPI、あるいは失敗理由が見えてくることもあります。成功法則を見出だせない若い営業パーソンには、ぜひ質問を投げかけて、成長を促してみてください。

会社の未来は、社員一人ひとりの「考える営業」にかかっているともいえるはずです。ぜひ、今回の3原則を参考に、部下を稼げる営業パーソンに変えてみてはいかがでしょうか?

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)

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