ページの先頭です
メニュー

メニュー

閉じる
本文の先頭です

悩みが消える!“歴史・偉人”の言葉~豊臣秀吉の巻~

掲載日:2020年12月7日事業戦略

キービジュアル

貧しい百姓の息子から天下人へと上り詰めた豊臣秀吉。彼ほど立身出世を果たした人物は、歴史上を見渡してもいないのではないでしょうか。
逆にいえば、「戦国三英傑」と呼ばれるほどに名を馳せるためには、並み居るライバルを押しのけ、数多くの困難を乗り越えなければなりませんでした。
そのため、彼の名言には成果を出すための“心構え”ともいえるものが数多く残っています。
本稿では、そのいくつかをご紹介することで、リーダーのブレイクスルーを実現するためのヒントを探っていきます。

必要な投資は惜しんではならない

秀吉というと贅沢好きとか、金遣いが荒いといったイメージを抱く人が少なくないと思います。彼が築城した大阪城には金の茶室がある等、そのイメージもあながち間違ってはいません。
しかし、彼は単なる浪費家ではなかったようです。使うべきところに惜しまずお金を投資することで、大きな成果をあげてきたからです。

例えば、彼が得意としていた水攻めには莫大な費用がかかります。織田信長が本能寺で明智光秀に打ち取られたとき、秀吉は備中高松城を水攻めしていました。
この戦法を実践するために、付近の農民たちに土俵一俵につき米一升と銭100文という対価を支払ったと言います。大変な大盤振る舞いです。おかげで多くの農民が勇んで集まり、城の周りに長大な堤防を作ることができました。

織田信長の後継者を巡って争っていた筆頭家老・柴田勝家との決戦においても同じようなエピソードがあります。
秀吉軍はおよそ50キロもの距離を迅速に移動するため、通り道の村々に通常の10倍ものお金を払い、炊き出しを用意させたそうです。おかげで機を逃すことなく戦場に到着し、柴田勝家軍を破ることができました。

また、金蔵が満杯になると諸大名に金銀を分け与えたという逸話も残っています。

「多くの金銀を蔵に置いておくのは、有能な者を牢屋に押し込めておくようなものである」

目的もなくお金をただ貯め込んでいるだけでは、何の役にも立たない。それは優秀な人材に仕事をさせないのと同じであって、必要なことに惜しまずお金を投資することが成果をあげることにつながるというのが、秀吉の信念といえるでしょう。

たしかに、日頃からいざという時のためにお金を貯めておくことは大切ですが、タイミングを捉え既存事業のさらなる強化や新規事業の開発、優秀な人材の確保・育成に投資することは、企業の成長・発展へとつながります。

また、せっかく機をとらえてもお金を出し渋ったために思ったほどの成果があげられないということは、ビジネスの世界では珍しくありません。
例えば、業務効率化を図るため一番安い見積もりを出してきた会社にコールセンター業務をアウトソーシングしたものの、スキルが未熟だったためクレームが増加し、企業ブランドを傷つけることになってしまった等のケースです。

秀吉のように大盤振る舞いをする必要はありませんが、求める成果を得るために必要な投資は惜しまないことが大切なのです。

人より一歩前へ出て“チャンス”を掴め!

秀吉は、信長に仕えてからというもの、出自が武士でないにも関わらず、圧倒的な勢いで出世していきました。ただし、織田家生え抜きの武将や追い抜かれていった武将にとっては面白くない存在でしょう。
ある日、あらゆることに顔を出してくる秀吉は、「人は皆 さし出でぬこそ よかりけれ 軍(いくさ)のときは先駆けをして」と皮肉混じりの歌を詠まれたことがありました。それに対する秀吉の返歌が次の名言です。

「人はただ さし出づるこそ よかりけれ 軍のときも先駆けをして」

直訳すれば、「人はいつだって前に出た方がいい。だから戦のときも先に駆けるのだ」となります。その意味するところを端的にいえば、“チャンスを逃すな”ということです。

武将にとって、戦は武功をあげることのできる最大の機会です。しかし、戦の場には何百、何千という味方の将兵がいて、皆、虎視眈々と功績を残す機会を狙っています。そのような状況でライバルたちに先んじるためには、少しでも前へ出て、自分をアピールすることが重要だということです。
もちろん、真っ先に敵軍へ飛び込んでいくわけですから、それ相応の危険が伴います。策も準備も必要でしょう。しかし、火中の栗を拾いにいかなければ、大きな手柄を得ることはできない——人よりも大きな手柄を立てることでしか出世を望めなかった秀吉は、そんな思いを抱えていたのだと思います。

秀吉は、「ここぞ」と思えば、危険を顧みず率先して火中の栗を拾いにいくところがありました。例えば、越前国を拠点に戦国大名として名を馳せた朝倉義景を討つため、信長が越前に攻め込んだ際、同盟関係にあった浅井長政の裏切りにあって壊滅の危機に瀕したことがあります。
このとき、秀吉は敗走する軍の殿軍を申し出ています。殿軍とは、勢いづく敵軍を、味方の最後方で盾となって防ぐ軍のことで、生き残る可能性が非常に低い危険な役割でした。彼は、明智光秀とともに、この殿軍を見事にやり遂げ、信長から高く評価されたといいます。

人は目の前にチャンスがありそうだと思っても、挑戦することによるデメリットや、やり遂げるための苦労を考え、一歩踏み出すことを躊躇しがちです。そうこうしているうちに思い切りのいい誰かに、せっかくのチャンスを持っていかれてしまった経験がある人も少なくないのではないでしょうか。
そんな周囲の人の心理を逆手にとって、真っ先に前へ出ていくことが成功への近道なのかもしれません。

勝負事は「勝利を信じる」ことが成功の秘訣

スポーツ選手は、試合前に勝つことを強くイメージするといいます。試合に向けて気持ちを前向きにして集中力を高め、練習で培った力を100%引き出すためにはメンタルがとても重要だからです。
たしかに、試合をする前から相手に気持ちで負けてしまっては、体が硬くなりイメージした動きはできなくなってしまうでしょう。実は、秀吉も同じようなことを言っています。

「負けると思えば負ける、勝つと思えば勝つ。逆になろうと、人には勝つと言い聞かすべし」

何事もまず気持ちで負けてしまっては、結果はついてこないということです。
後半部分の「逆になろうと~」は、上に立つ人間の心構えを説いているのではないでしょうか。リーダーが失敗することを考え弱気になってしまうと、チームのモチベーションは下がり、パフォーマンスも悪くなります。これでは、あまり良い結果には結びつかないかもしれません。

また、プロジェクトが暗礁に乗り上げているときこそ、解決に向けて前へ進むことが大切ですが、弱気になっているチームメンバーにリーダーまで同調してしまうと、盛り返すパワーは湧き上がってこないでしょう。

上に立つ人間は、不利な状況に陥っても、成功を信じてチームを鼓舞する必要があるといえます。たとえ、最終的に失敗に終わるにしても、その被害を最小限に抑えるためには、チームとして何かしらの対策を講じる必要があります。その場合も、目の前の事態に前向きに取り組む力を持ちたいものです。

ピンチのときこそ、「必ず勝つ」と部下に言い聞かせるとともに、自分自身もそう信じ切ることが大切である—。
数々の武勲をあげてきた豊臣秀吉の言葉には、現代のビジネスにも役立つ叡智が数多く存在しているのです。

(記事提供元:株式会社プレジデント社 企画編集部)

その他の最新記事

ページの先頭へ