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M&Aを成功させるポイントとは

掲載日:2019年11月28日事業戦略

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経営戦略の1つとして、日本でも欧米並みにM&A(企業の合併・買収)が広がりをみせています。「中小企業白書2018」によると、中小企業向けM&A仲介会社3社(東証一部上場)での2017年のM&A成約数は合計526件となっており、5年前と比べると約3.5倍に達しています。そして、そのほとんどは友好的なM&Aとみられております。
M&Aが広がる背景には、社長の高齢化と後継者難という問題があるようです。本稿では、会社を売る側、会社を買う側がM&Aを成功させるために注意すべきポイントについて説明します。

M&Aを成功させるポイント

主なポイントは次の通りです。

  • 売る側は、目的を明確にする
  • 買う側は、統合効果を急がない
  • 売買情報の漏洩に注意する

売る側は目的を明確にする

後継者不在、業績不振を理由に、すぐに廃業という選択肢を取るのは、従業員やその家族、取引先などの利害関係者に迷惑がかかるため避けたいところです。人手不足に対応したり、事業展開のスピードを加速したりするため、M&Aで人材や製品、技術などを求めている企業も一定数存在することから、廃業という選択肢だけでなく、当該企業への売却も選択肢の一つとなります。
会社の売却を決めたときに大事なことは、売る目的を明確にすることです。「従業員の雇用を守りたい」「会社のブランドを残したい」「事業を拡大させて欲しい」「負債を肩代わりして欲しい」など、目的をピックアップして、優先順位をつけておくと良いでしょう。
そのうえで、買収を希望する経営者と話をします。自分の目的と合致する価値観や施策を持っている熱意ある経営者と出会えれば、お互いに納得できるM&Aが実現する可能性が高まるでしょう。

買う側は、統合効果を急がない

「取扱商品や販路を広げたい」「規模を大きくしてコストダウンを実現したい」「新規分野に進出したい」等々・・・。成長意欲のある中小企業経営者にとって、M&Aは重要な経営戦略になっています。「中小企業白書2019」によると、買収先を見つけたきっかけとして、金融機関や仕入先・協力会社、専門仲介機関といった第三者から紹介されたケース(42.3%)、相手先から直接売り込まれたケース(30.2%)、自社で相手先を見つけたケース(27.5%)が上位を占めています。

しかし、買収先の従業員が離反してしまって、十分な統合効果を得られていないといった失敗例もあるようです。中小企業同士のM&Aは、トップ同士が意気投合して話が決まることが少なくありません。買収によって人事や賃金などの制度を、買う側の会社とそろえるといった変更について、買収先の従業員への説明が不足していると、M&Aに現場が反発するなどのトラブルが生じる可能性があります。買収を成功させている会社の経営者には、M&Aの最終決定前に従業員とも面談する場を設けるようにしている人もいるようです。

買う側は「高いお金を払ったから」「手柄を立てたい」と、少しでも早く統合効果を出そうとしてしまいます。しかし、買収先の従業員の気持ちを無視して事業はうまくいかないでしょう。買収前には見えなかった問題点が出てくる場合もあります。買収先の社風や慣習も大切にしつつ、時間をかけて融合していく心構えが必要でしょう。

売買情報の漏洩に注意する

交渉期間中に注意しなければいけない点は、売買交渉の情報漏洩です。風評が流れてしまい、売る側も買う側も、現場の活動に悪影響を及ぼしたり従業員が離職してしまったりする失敗例もよくあるようです。

次に、資金決済にいたるまでのM&Aの流れを大まかに整理してみましょう。

売る側は、まずM&Aのタイミング、売却の希望金額、売る目的などを確認しておきましょう。それから、買収を希望する会社を探します。事業引継ぎ支援センターといった公的機関、金融機関や専門仲介機関、M&Aに詳しいコンサルタントなどを活用するのも一つの手段です。候補先が見つかったら、詳細な条件交渉や契約は、M&Aに詳しい弁護士やコンサルタントを検討チームに加えるのも一案です。経営者としては、候補先経営者の価値観や熱意など人柄を確認しておくと良いでしょう。

買う側は買収先に対して、専門家による企業価値の調査、法令順守の観点などでリスクはないかといった調査、デューデリジェンスを実施します。また、買収先の取引先などからも、与信情報などを集めておくと良いでしょう。

お互いがM&Aに合意したら、詳細な条件を詰めていきます。最終契約調印を以て、会社の引き渡しと代金決済がなされます。

M&Aには、いくつかの手法があります(下記参照)。自社にとってどの手法が最適か、売却条件や買い手の状況を考慮のうえで、決定していく必要があります。

株式譲渡 会社の株式を買い手に譲渡する
営業譲渡 会社の全部または一部の事業(事業資産や従業員、取引先との契約等)を買い手に譲渡する
増資 増資を行って買い手に株式を割り当てる
合併 買い手の会社と合併する
分割 会社の一部を別会社に分割して買い手に譲渡する
株式交換 会社の株式を買い手の会社の株式等と交換する

本コンテンツは独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営するサイト「J–Net21(https://j-net21.smrj.go.jp/index.html)」内の記事「経営ハンドブック(https://j-net21.smrj.go.jp/handbook/succession/acquisition.html)」を一部加筆・変更したものです。
上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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