ページの先頭です
メニュー

メニュー

閉じる
本文の先頭です

中小企業の生き残り戦略に有効とされるランチェスター戦略とは?

掲載日:2019年7月9日 事業戦略

キービジュアル

特殊な市場や小さな市場にあえてチャレンジして、シェアナンバーワンを獲得するという経営戦略があります。これは一般的に、ランチェスター戦略でいわれるところの「小さな一位をたくさん取れ」という部分です。簡単にいうと、ライバルがいない隙間産業を狙って一発儲けようという戦略です。この隙間産業とは事業自体を指すこともありますし、サービス内容、価格、時間帯、地域など、細分化したポイントに注目することよって成功した事例がたくさんあります。本稿では、ランチェスター戦略の概要や経営への活用術について説明します。

ランチェスター戦略とは

ランチェスター戦略とは、第一次世界大戦で用いられた軍事戦略を基準に、マーケティング理論として日本で研究・体系化されたものです。日本の大手企業の中にはランチェスター戦略をうまく駆使して大きく成長した企業もあるそうです。
ランチェスター戦略を考えるうえで重要になってくるのが、ランチェスター法則とランチェスター戦略方程式です。それぞれの詳細について見ていきましょう。

ランチェスター法則とは

ランチェスター法則とは、兵力数と武器性能の関係を「武器効率(質)×兵力数(量)」で表したものです。
ランチェスター法則には「第一法則」と「第二法則」があり、前者は弱者の戦略、後者は強者の戦略といわれています。ここでいう強者とは市場地位が一位のものであり、それ以外は二位であっても弱者であると定義します。

「第一法則」は局地戦や接近戦といった一対一の戦いにあてはまります。局地戦では、「武器効率(質)×兵力数(量)」がいかに優れているかが勝敗を左右するため、もし兵力数が少ない場合には質(武器効率)を高めることで不足分を補うしかありません。一般的に、中小企業は兵力で大手企業に勝てないことが多いため、質を高めていくことが中小企業にとって有効な戦略といわれています。

一方の「第二法則」は、同時に複数の相手を攻撃する広域戦や遠隔戦など集団対集団の戦いにあてはまります。広域戦では、局地戦とは異なり「武器効率(質)×兵力数(量)の二乗」が戦力になるため、武器効率が同じであれば、量(兵力数)が多いほど有利となります。つまり、大企業のように兵力が優勢な場合は第二法則で戦うべきであり、大企業よりも兵力が劣勢な中小企業は特定分野に特化し、局地戦に持ち込んだほうが良いということになります。

ランチェスター戦略方程式とは

ランチェスター戦略方程式とは、ランチェスター法則を改良したもので「武器効率(質)」を細分化し、「戦闘」と「戦術」に分けたものです。ランチェスター方式とランチェスター戦略方程式から導かれるランチェスター戦略は、大きく3つに分類されます。

一つ目は、「絶対的ナンバーワン主義」です。
弱者がナンバーワンになろうと思っても、先ほどのランチェスター方式を見て分かるように簡単ではありません。そのため、ナンバーワンになるためには効率良く勝利を重ねていくことが重要です。
局地戦であれば弱者でも勝機があるため、まずは「エリア」、次に「顧客」、最後に「商品」とエリアを小さくして顧客層を絞り、特定の商品に限定するなどして、小さな勝利を重ねていくのがポイントです。そうすることによって、小さな専門店でも大手百貨店などに勝てる可能性が高まります。

二つ目は、「足下の敵攻撃の原則」です。
ビジネスの世界で勝つためには、上位の競争相手には差別化で対抗し、下位にはミート戦略という競合相手と同じことを行うという戦略があります。例えば、自社がナンバーツーの企業の場合には、ナンバーワンの企業に対し、ナンバーワンの企業とは異なる戦略で勝負しながらも、下位企業に対しては、下位企業と同じ戦略でシェアを奪い取っていくというものです。弱者から勝利を重ねることで、シェアの拡大を狙っていきます。

三つ目は、「一点集中主義」です。
さらに競争相手に勝つためには、一点に集中して攻撃する必要があります。「エリア」「顧客」「商品」のどれかに注力して最大限に勝率を高めるという方法です。いわゆるニッチ市場や隙間産業と呼ばれるようなものは、この一点集中主義であるといえます。
「痒い所に手が届く」のような、顧客にとって不足していた部分に目を付けて勝負することも、勝つための法則といえるでしょう。

イノベーションが必ずしも必要とは限らない

ニッチ市場、隙間産業などというと、今まで世の中になかった革新的なものを開発する必要があると考えているかもしれません。しかし、同じような商品を扱っていても、価格が違えば差別化が可能となります。同じような経営をしているラーメン店でも、夜20時で閉まるところと24時間営業のところでは、同じようでまったく違う戦略を実施しています。ニッチ市場や隙間産業を狙うために必要なのは、こうした「ちょっとした違い」といわれています。
いつも自分のアンテナを張り巡らせておき、「ちょっとした違い」を見つけたら他社よりも先んじて動く。それにより盤石の地位を確立することができれば、事業成功の確率がぐっと向上する可能性があるでしょう。

本コンテンツは株式会社USENが運営するサイト「canaeru」(https://canaeru.usen.com/)内の記事「XL以上のサイズしか売らない洋品店…専門店の商機はどこにあるのか?」(https://canaeru.usen.com/diy/p231/)を一部加筆・変更したものです。
上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

その他の最新記事

ページの先頭へ