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会社設立時に必要な社会保険・労働保険の手続きは?基礎から解説

掲載日:2023年2月28日 法人口座開設準備

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経営者にとって、社会保険・労働保険の知識は重要です。法令により、従業員数や業種、事業形態(法人・個人事業主の別)に応じて社会保険・労働保険への加入が義務付けられています。

また従業員募集の際、保険加入の有無は求職者の安心感にも影響するでしょう。会社設立を検討している方は、どのような場合に社会保険・労働保険への加入義務があるのか、加入するには何が必要かを理解しておけば安心です。本稿では、会社設立時に知っておくべき社会保険・労働保険の基礎知識や仕組み、そして加入手続について解説します。

会社設立時に知っておきたい社会保険・労働保険の基礎知識

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会社を設立すると同時に、社会保険と労働保険への加入義務が発生する場合があります。ここでは、会社設立時に知っておきたい社会保険・労働保険の基礎知識について解説します。

なお、会社設立時は、社会保険と労働保険に加入する義務が発生するケースが大半ですが、例外もあります。義務が義務となるケースは後述します。

社会保険は主に3種類

社会保険とは以下の3種類の保険を総称したものです。

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金

これらは「狭義の社会保険」と呼ばれ、広義では後述のように労働保険も含む場合があります。

健康保険とは、病気やケガによる医療費の一部を支給してもらう保険です。年齢・所得に応じて自己負担額が1割から3割で済む以外にも、医療費が高額な場合に自己負担が一定額で済む高額療養費制度や、ケガや出産による休業に対して支給される傷病手当金や出産手当金が含まれます。

介護保険とは、介護サービスを受ける際に費用の一部を支給してもらう保険で、40歳以上の方が被保険者となります。介護保険は健康保険に付随して自動的に加入するため、手続きは不要です。

厚生年金とは、高齢になったときに年金を受給できる老齢年金を主とし、病気やけがによって生活や仕事などが制限される障害を負った場合に受給できる障害年金、加入者が亡くなった場合に遺族が受給できる遺族年金を含めた保険です。厚生年金に加入すると、国民年金(基礎年金)に上乗せして厚生年金に加入したことになるため、国民年金のみの場合より受給額が増えます。

なお、本稿では、厚生年金と基礎年金を区別せず、両者を合わせたものを厚生年金として扱います。

労働保険は2種類

労働保険とは以下の2種類の保険を総称したものです。

  • 労災保険
  • 雇用保険

事業者は、原則として、アルバイトやパートタイマー等の区別に関係なく一人でも従業員を雇用した場合に、両方の保険への加入義務があります。ただし、雇用保険については、労働時間や期間が短い場合は対象外です。

労災保険とは、業務や通勤の際にケガをした場合の治療費や休業した場合の給与の補償を受けられる保険です。遺族補償や障害補償も含まれます。

雇用保険とは、失業した場合にそれまでの給与額の一定割合を受給できる保険です。また、被保険者は新たな技術を習得するための教育訓練講座の受講費の一部を受給できます。一方、事業者は従業員に特定の技術講座を受講させた場合に、その受講費の一部と日当の補償について助成金を受給できます。

なお、前述の健康保険、介護保険、厚生年金に加えて、労働保険(労災保険、雇用保険)を総称して「広義の社会保険」と呼ぶ場合がありますが、本稿では社会保険(3種)と労働保険(2種)を分けて扱います。

会社設立時に加入する社会保険・労働保険

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ここからは、会社設立時に加入する社会保険・労働保険について、加入義務の発生条件、保険料、その負担割合等を詳しく解説します。

代表一人でも社会保険への加入は義務

法令により、以下の事業所は社会保険(厚生年金・健康保険)の加入が義務付けられています。

  • 常時従業員(事業主のみの場合を含む)を使用する法人事業所
  • 常時5人以上の従業員が従事する、農林水産業等を除く業種を営む個人事業所

会社を設立すると事業形態が法人になるため前者に該当します。従業員が一人もいなくても社会保険の加入手続が必要です。正社員以外については、1週間の労働時間と1ヵ月の労働日数が正社員の4分の3以上の場合に加入義務が発生します。

保険料率は給与や手当を含めた報酬によって異なり、健康保険料率は40歳未満で報酬の約9.81%、40歳以上で約11.45%、厚生年金保険料率は約18.3%です。保険料は事業者と従業員で折半して負担します。

なお、上記の健康保険料率は2022年3月分以降、全国健康保険協会で東京都の場合の数字です。厚生年金保険料率は2022年度の数字です。

従業員を雇用するなら労働保険への加入が義務

従業員を一人でも雇用する場合は、労災保険への加入が義務付けられています。雇用保険については、1週間の労働時間が20時間以上でかつ31日以上継続して雇用する見込みがある場合に加入が義務付けられています。よって、会社を設立した場合でも従業員を雇用せず代表者一人であれば労働保険はどちらも加入する義務はありません。

労災保険料は、賃金総額に業種によって異なる料率(0.25~8.8%)を乗じた額です。労災保険料は事業主が全額負担します。

雇用保険料は、賃金総額に業種によって異なる料率(1.35~1.65%)を乗じた額です。負担割合は業種により異なり、事業主の負担が若干多めになる案分をします。

なお、労災保険と雇用保険の保険料率は2022年度の数字です。

会社設立時の社会保険加入手続方法と書き方

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健康保険(介護保険を含む)と厚生年金の加入手続は一本化されているため、別々に行う必要はありません。ここでは、会社設立時の社会保険加入の手続きについて、必要書類の準備や書き方等について解説します。

必要書類の準備

会社設立時に社会保険へ加入する手続きは大きく2つに分かれます。会社として社会保険の適用を受けるための手続きと、被保険者となる方の保険加入手続です。

前者は「新規適用届」を提出し、後者は「被保険者資格取得届」と「被扶養者(異動)届」を提出します。これらの様式は年金事務所で入手するか、日本年金機構のウェブサイトからダウンロードすることが可能です。

デジタル庁が運営する「法人設立ワンストップサービス」を利用することにより、会社設立登記申請と同時に「新規適用届」をオンラインで提出できます。

新規適用届の書き方

新規適用届の記入例イメージ

「新規適用届」は事業主記入欄と事業所情報記入欄に大別されており、事業所情報記入欄は①から㉖に分かれています。本様式の書き方について、以下では特に戸惑いやすい点を中心に解説します。

②問い合わせ先担当者名
書類に不備があった場合に連絡がきますので、代表者や労務担当者といった事情が分かる方の氏名を記載します。

⑥事業区分
日本年金機構が公表している「事業所業態分類票」を参考にして、番号とその事業の種類を記載します。番号は個人・法人で区別されているので注意が必要です。

⑨法人番号等
会社を設立している場合は、「1.法人番号」に○をして、13桁の法人番号を記載します。

⑬健康保険組合名称、⑭厚生年金基金番号
会社を新設し、社会保険に初めて加入する場合には記載不要です。

⑯昇給月、⑲賞与支払予定月
どちらも4箇所記載する欄がありますが、年に一回の昇給であればその月のみを記載します。

㉔従業員情報
役員と従業員が全員社会保険に加入する場合には「3.社会保険に加入しない従業員について」の記入は不要です。

新規適用届の提出方法

「新規適用届」の提出期限は事実発生から5日以内と定められています。事実発生とは、前述の社会保険加入義務の発生条件を満たすことです。会社設立時は従業員が一人もいなくても事実発生となるため提出が必要です。5日を過ぎた場合でも提出義務がある以上、未提出であることに気が付いた場合は速やかに提出しましょう。

提出先は事業所の所在地を所管する年金事務所です。提出方法は窓口申請のほか、郵送、電子申請が可能です。提出の際は登記事項証明書を添付します。

会社設立時の労働保険加入手続方法と書き方

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労働保険である労災保険と雇用保険の加入手続は別々に行う必要があります。ここでは、会社設立時の労働保険加入の手続きについて、必要書類の準備や書き方等について解説します。

必要書類の準備

会社設立時に労災保険に加入するための手続きでは、以下の書類を提出する必要があります。

  • 保険関係成立届
  • 概算保険料申告書
  • 雇用保険適用事業所設置届
  • 雇用保険被保険者資格取得届

これらの様式は各窓口で入手するか、複写式以外の様式はハローワークのウェブサイトからダウンロードすることが可能です。

また、上記の書類のうち「概算保険料申告書」以外は「法人設立ワンストップサービス」によりオンラインでまとめて提出できます。

保険関係成立届の書き方

保険関係成立届の記入例イメージ

ここでは、「保険関係成立届」の書き方について、混乱しやすい点を中心に解説します。

⑯種別
この様式は、複数の手続きで兼用できるようになっているため、上段の書類名を選ぶところから始めます。事業が一定期間で終了せずに継続する業種であれば「0:保険関係成立届(継続)(事務処理委託届)」を記入します。さらに「1:保険関係成立届(有期)」「2:任意加入申請書(事務処理委託届)」に取消線を引きます。

また、提出先は、労働基準監督署に提出する場合は所管の労働基準監督署名を記載し、労働局長と公共職業安定所長に取消線を引きます。

③事業の概要、④事業の種類
事業の概要は事業内容を具体的に記載し、事業の種類はその事業内容が労災保険率表内のどの欄に該当するか分かるように記載します。労災保険率表は厚生労働省ウェブサイトで確認可能です。

⑥保険関係成立年月日
従業員を雇用した年月日を記載します。

⑧賃金総額の見込額
保険関係成立から翌3月31日までに従業員全体に支払う賃金総額の見込額を記載します。この賃金総額は、基本給・賞与、超過勤務含む各種手当を合算して算出します。退職金や慶弔金といった一時的なものは含みません。

㉙法人番号
国税庁から通知を受けた13桁の法人番号を記載します。

必要書類の提出方法

「保険関係成立届」の提出期限は保険関係成立の翌日から10日以内、「概算保険料申告書」の提出期限は保険関係成立の翌日から50日以内です。

「保険関係成立届」は所管の労働基準監督署に、「概算保険料申告書」は所管の労働基準監督署、都道府県労働局、日本銀行のいずれかに提出します。なお、農林水産業や建設業等など、労災保険と雇用保険の適用を区別する「二元適用事業」に該当する業種では、労働基準監督署だけでなくハローワークにも「保険関係成立届」の提出が必要です。

雇用保険加入のための「雇用保険適用事業所設置届」の提出期限は保険関係成立の翌日から10日以内、「雇用保険被保険者資格取得届」の提出期限は資格取得の事実があった日の翌月10日です。どちらも所管のハローワークに提出します。

「雇用保険適用事業所設置届」の添付書類として、登記事項証明書に加えて、労働基準監督署で受理された保険関係成立届の控えが必要になります。

会社設立時の社会保険・労働保険の手続きに関する相談先

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会社設立時の社会保険・労働保険の手続きには、業種や雇用形態、従業員の年齢等によって必要な様式が異なる場合や記入方法が複雑な場合があります。これらの手続きについて相談できる窓口や相談相手を解説します。

所管の行政窓口

社会保険・労働保険の加入に関する相談は、それぞれ手続きを行う窓口で受け付けています。

  • 健康保険:年金事務所
  • 介護保険:年金事務所
  • 厚生年金:年金事務所
  • 労災保険:労働基準監督署
  • 雇用保険:ハローワーク

例えば、会社設立時は代表者の役員報酬が確定していないことが多く、それまで国民健康保険と国民年金に加入していた場合には、切り替えがいつになるのか判断が困難なケースがあります。その際、誤って二重に支払ってしまうこともあり得るでしょう。

また、労働関係の法令では正社員とパート・アルバイトでは扱いが異なることも多く、従業員の年齢によって各保険への加入義務の有無が異なることもあります。さらに、残業や時間外労働について届出が必要となる場合もあるので注意が必要です。

社会保険・労働保険の手続きは原則に対して例外が多く、複雑になっています。自分で調べても不安な場合には各窓口で相談しておくと安心です。

社会保険労務士

社会保険・労働保険の専門家は社会保険労務士です。これまで解説してきた手続きに関する相談や書類作成、提出代行を依頼することもできます。また、雇用時・離職時の手続きや、給与計算の依頼も可能です。

給与計算では従業員の給与から社会保険料等を控除して支給額を計算します。この計算で過不足があると後で調整しなければなりません。社会保険料等の計算は「標準報酬月額・標準賞与額」を用いるなど複雑なうえ、従業員が多い場合には労力がかかります。

この労力を軽減する給与計算ソフトの導入も考えられますが、一通りの流れを把握していないとソフトを利用しても間違える可能性があり注意が必要です。給与計算に慣れないうちは社会保険労務士に相談や依頼しても良いでしょう。

また、助成金・補助金の相談や書類作成を請け負う社会保険労務士もいます。自社の状況を踏まえて様々な提案をしてもらえる顧問契約を活用するのも有効です。

まとめ

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社会保険は健康保険と介護保険、厚生年金に分かれ、労働保険は労災保険と雇用保険に分かれます。代表者一人のみの会社でも加入義務がある保険もあり、それぞれ提出する様式も窓口も異なります。会社設立時に慌てずに済むように社会保険・労働保険の知識を整理しておきましょう。

また、会社設立時には法人名義の銀行口座があると便利です。法人の名義の銀行口座を開設するなら、みずほ銀行がおすすめです。みずほ銀行は、法人口座開設受付や面談もオンラインで実施しており、原則来店不要で口座開設の手続きが完結します。法人設立にあたって銀行口座の開設を予定している方は、みずほ銀行での開設を検討してみてはいかがでしょうか。

法人口座開設(法人のお客さま)

(記事提供元:株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ)

  • *本稿に含まれる情報の正確性、確実性あるいは完結性をみずほ銀行が表明するものではありません。
    また、個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
    最新の情報をご確認のうえ、ご自身でご判断いただくようお願いいたします。

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