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資本金とは?その役割と金額を決める際の基準について解説

掲載日:2022年11月8日 法人口座開設準備

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会社を設立するうえで、資本金の役割・目的を押さえることは大切です。しかし、創業時は、資本金の正しい役割や、適切な資本金額を決める基準が分からないという方も多いのではないでしょうか。

そこで本稿では、資本金の意味と役割、資本金額の決め方、税金・手数料の違い、取扱方法、よくある疑問等を紹介していきます。

資本金とは

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資本金とは、会社を運営するにあたって元手となる資金です。株式会社では、出資者から募った資金や、経営者の自己資金が資本金となります。

会社法第32条では、株式会社設立時に定める項目として「成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項」があり、資本金を定める必要があると決められています。

以前は株式会社の設立に1,000万円以上、有限会社は300万円以上の資本金が必要でした。しかし2006年5月施行の新会社法により、株式会社や合同会社といった会社形態によらず、1円以上の資本金があれば会社設立が可能となっています。

資本金の役割

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資本金はどのような目的のために必要なのでしょうか。ここでは、資本金の使い道や役割について解説します。

自己資本として自由に使える

個人的に返済が必要な場合を除き、出資として受け取った資本金は銀行からの借入金と違って返済義務がありません。金銭消費貸借契約を結んだ借入金(返済義務がある他人資金)は貸借対照表の「負債の部」に記載されますが、返済義務がない資本金は「純資産の部」に分類されます。

基本的に使い道は限定されていないため、資本金は会社のお金として運転資金や設備投資等、自由に活用できます。ただし、資本金はあくまでも会社のお金であり、代表者1名の会社であっても、個人が自由に使えるわけではありません。

個人事業主と同じような感覚で個人的な支払いに資本金を使ってしまうと、代表者への貸付金扱いになるため、法人化したばかりの一人法人では特に注意が必要です。

会社の安定性・信用度の指標になる

借入金・利子の返済能力、人材の雇用、仕入・設備投資に使える資金力、倒産リスクに対する備えがある、といった状態は「資本金に余裕がある」といえます。そのような観点から、十分な資本金を用意している会社は「安定性がある」とみなされ社会的な信用度が高くなり、顧客や取引先からの印象が良くなる可能性があります。

ただし資本金は収益性を示す指標ではないため、資本金だけで経営状況を示すことはできない点には注意が必要です。

資本金の決め方

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資本金額の決め方として、「運転資金・初期投資額」「税金・手数料」「許認可」「補助金・助成金」という4つの基準を考慮することが重要です。ここでは、それぞれの基準について解説します。

必要な運転資金と初期投資額を基準にする

資本金は、初期投資額に加えて3ヵ月から6ヵ月分の運転資金を見込んで設定するのが目安とされています。

法律上は1円でも会社を設立できますが、資本金が少ない場合、仮に資金繰りが悪化してしまうと借入に頼らざるを得ず負債増加リスクが高くなります。例えば、資本金が足りないことにより、経営者個人が自分の資金を会社に融通すれば、役員借入金として貸借対照表の負債の部に計上されます。その結果、会社の自己資本比率が下がり、信頼性に響く可能性があるので注意が必要です。

また、特に事業を始めたばかりのときであれば「売上が立たず利益が出にくい期間」もあるでしょう。そのような時期を乗り越えるには、売上が確保できなくても運転資金を賄える程度の資本金が必要になるでしょう。

ただし、次に紹介するように資本金が多いゆえの負担もあります。

税金・手数料の負担金額の差を基準にする

資本金が大きい場合、以下の税金や手数料の負担が重くなる可能性があります。

  • 定款の認証手数料
  • 登録免許税
  • 消費税
  • 法人税
  • 法人住民税・法人事業税

税金や手数料は資本金の額によっても負担が変動するため注意しましょう。

許認可の条件を基準にする

許認可の基準に資本金額が含まれることがあります。例えば一般建設業許可では、自己資本500万円以上、もしくは500万円以上の資金調達能力を有することという条件があります。

さらに4,000万円以上の工事を下請けに発注する場合に必要な特定建設業に関しては、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
  • 流動比率が75%以上
  • 資本金額が2,000万円以上かつ自己資本の額が4,000万円以上

まずは自社の事業に許認可が必要かどうかを確認し、必要な場合はその要件を満たす資本金額を用意しましょう。

補助金・助成金の条件を基準にする

行政が取り扱っている補助金・助成金の条件の一つに資本金額があり、それを目安として資本金額を決めるのも手です。

例えば厚生労働省が扱っている助成金は、雇用関係と労働条件関係に大別されますが、基本的に中小企業でなければ制度を活用できません。中小企業かどうかは、資本金額と従業員数によって、業種分類ごとに定められています。

業種 中小企業の要件
飲食店含む小売業 資本金5,000万円以下または常時使用する従業員数50人以下
サービス業 資本金5,000万円以下または常時使用する従業員数100人以下
卸売業 資本金1億円以下または常時使用する従業員数100人以下
その他の業種 資本金3億円以下または常時使用する従業員数300人以下

資本金の額による税金・手数料の違い

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先述のように、資本金の額によって税金・手数料に違いが生じるケースがあります。ここではさらに詳しく、定款の認証手数料、登録免許税、消費税、法人税、法人住民税・法人事業税について見ていきましょう。

定款の認証手数料

定款の認証とは、正しい流れで定款が作成されたことを公証人が証明する手続きです。株式会社設立の登記申請において、認証を受けた定款が必要になります。

定款の認証手数料は資本金額によって以下のような違いがあります。

資本金 認証手数料 支払うタイミング
100万円未満 3万円 定款認証手続き時
100万円以上300万円未満 4万円
300万円以上 5万円

このように、資本金が大きければ大きいほど認証手数料も高くなります。ただし資本金300万円以上の場合、認証手数料は一律5万円です。

登録免許税

登録免許税とは、不動産登記と商業登記の際にかかる税金をいいます。商業登記の一つに会社設立の登記があり、会社の分類ごとの税率は以下の通りです。

会社の分類 税率
株式会社 資本金額の0.7%(15万円に満たないときは、申請件数1件につき15万円)
合名会社または合資会社 申請件数1件につき6万円
合同会社 資本金額の0.7%(6万円に満たないときは、申請件数1件につき6万円)

株式会社、合同会社ともに、登録免許税は資本金額の0.7%ですが、それぞれ15万円、6万円と最低額が異なっています。

消費税

消費税の税率は標準税率10.0%、軽減税率8.0%です。通常、課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の場合は納税義務が免除されます。課税売上高が1,000万円を超えたとしても、設立1期目と2期目は、原則として免除特例の対象です。

ただし資本金の額が1,000万円以上の場合は免除特例の対象外となり、設立1期目と2期目においても課税事業者となります。

法人税

法人税は23.2%の税率が課されますが、資本金1億円以下の法人の場合、年800万円以下の所得部分は15%に軽減されます。資本金1億円を超える法人は所得のすべてに23.2%の税率が適用されます。以下は同じ所得の法人であっても、資本金額によって法人税が異なるという一例です。

<資本金が1億円を超える法人>
例えば資本金が1億円を超える法人の所得が3,000万円だった場合の法人税額は以下です。

  • 3,000万円×23.2%=696万円

<資本金が1億円以下の法人>
一方、資本金1億円以下の法人の所得が3,000万円だった場合は次の通りです。

  • 法人税額(所得800万円以下の部分):800万円×15%=120万円
  • 法人税額(所得800万円超の部分):(3,000万円-800万円)× 23.2%=510万4,000円
  • 法人税額合計:120万円+510万4,000円=630万4,000円

上記の場合、696万円-630万4,000円と計算でき、資本金が1億円を超える法人のほうが65万6,000円高くなります。

法人住民税・法人事業税

法人住民税には法人税割と均等割があります。法人税割は法人税額に応じて課税され、均等割は資本金の額と従業員数に応じて課税されます。均等割の税額は、道府県民税が2万円から80万円、市町村民税が5万円から300万円です。

また法人住民税の法人税割の税率に関しても、資本金の額(あるいは資本金額+従業員数)に応じて異なる税率を適用している地方自治体があります。

次に法人事業税ですが、所得割、付加価値割、資本割が課される外形標準課税対象法人と、それ以外の法人に分かれます。資本金1億円以下の普通法人は外形標準課税が免除される「それ以外の法人」として、所得割のみ課税されます。

資本金の取扱方法

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資本金の取扱方法として、「会社設立時の資本金の払込」「資本金を使いたいときの出金」「資本金を増額する方法」という3つの方法を解説します。

会社設立時の資本金の払込方法

会社設立時の資本金は、法人登記を行う時点で既に銀行口座に入金しておく必要があります。ただし、その時点では法人用の口座を開設できないため、発起人の個人口座に入金します。

法務局に登記申請を行う際は、資本金が入金された明細と通帳表紙のコピーといった払込証明書の添付が必要です。法人登記完了後に法人口座を開設することで、個人口座から法人口座への資金移動が可能になります。

資本金を使いたいときの出金方法

資本金を出金するときに特別な手続きは不要です。会社のお金として使うためなら、いつでも法人口座から引き出すことができます。ただし前述したように、個人の都合で勝手に使えるお金ではない点に注意しましょう。

資本金を増額する方法

事業拡大などにあたって資本金を増やすためには、「増資」と呼ばれる手続きが必要です。資本金は単に口座に入金しただけでは増えず、法務局で登記事項の変更を行わなければなりません。その際は増えた資本金額の0.7%(3万円に満たないときは、申請件数1件につき3万円)の登録免許税がかかります。

なお、増資のメリットには財政基盤の強化や信用性の向上が挙げられる一方、既存株主の持株比率低下に注意が必要です。持株比率の低下は議決権割合の低下と直結しており、増資によって持株比率が変われば、既存株主の経営への影響力も変動します。

また、資本金額によっては税制上の優遇措置が受けられなくなる可能性もあります。増資を検討する際には、増資後の影響も考慮しましょう。

資本金についてよくある疑問

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最後に、資本金についてよくある疑問と、その回答を紹介します。

最低いくらから設立できる?

会社関連の以前の法律では「株式会社は資本金1,000万円以上、有限会社は資本金300万円以上」と定められていましたが、新会社法では最低資本金が撤廃されています。そのため最低1円からでも会社設立が可能です。

ただし会社設立直後は決算書がなく、金融機関や取引先は資本金額で信用度を判断することもあります。そのため、自分がやりたいビジネスの内容や規模に応じて、適切な金額を設定することが重要です。

資本金を調達する方法は?

資本金を調達する主な方法は以下の3つです。

  • 出資を受ける(発起人の自己資金の出資含む)
  • 事業で得た利益を資本金にする
  • 現物出資を行う

上記の内、現物出資とは、現金ではなく不動産や有価証券、設備等の「物品」を資本金にすることをいいます。現物出資の価額は原則、裁判所が選任した検査役(弁護士、公認会計士、税理士、不動産鑑定士等)による調査で決定しますが、総額が500万円以下であれば調査は不要です。

なお、融資等の借入金は負債になるため、資本金にできない点に注意しましょう。

法人用の銀行口座は必須?

法人口座は法律上、必須ではありませんが、開設することで資本金や売上金等を管理しやすくなるというメリットがあります。スムーズな経費処理や、会社の信用度アップも期待できます。

個人口座でも法人のお金の管理は可能ですが、取引先によっては法人口座が必要だったり、金融機関との交渉で不利になったりするケースがあります。

まとめ

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資本金とは、会社の元手になる返済義務がない資金です。会社の安定性や信頼性の指標にもなります。資本金の額を決めるには、登録免許税・消費税等の税金や、定款の認証手数料を考慮することが大切です。

法人の銀行口座は必須ではないものの、会社のお金を管理しやすくなるので開設しておくと便利です。みずほ銀行は法人口座の開設申込をオンラインで受け付けており、原則来店不要で開設できます。これから法人口座を開設する方は、みずほ銀行での口座開設をご検討ください。

法人口座開設(法人のお客さま)

(記事提供元:株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ)

  1. * 本稿に含まれる情報の正確性、確実性あるいは完結性をみずほ銀行が表明するものではありません。
    また、個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
    最新の情報をご確認のうえ、ご自身でご判断いただくようお願いいたします。

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