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会社設立の流れを徹底解説!法人化のメリット・注意点も確認

掲載日:2022年10月14日 法人口座開設準備

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2006年に会社関連の法律がまとめられ新しく会社法が施行されました。以前は株式会社の設立に最低でも1,000万円の資本金が必要でしたが、会社法施行後は必要な資本金が1円からとなるなど、会社設立のハードルが低くなっています。しかし、定款の作成・認証、法人登記の申請、税や社会保険など、必要な手続きは数多く、会社設立にあたって手順を整理しておきたいという方も多いのではないでしょうか。

本稿では会社設立の準備から会社設立後に発生する手続きと必要書類、会社を設立するメリットや注意点について解説します。

会社設立までの流れ

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会社設立時は、定款作成、定款認証、登記申請といった様々な手順を完了して初めて、税・社会保険関連の手続きや法人用銀行口座の開設を行うことができます。ここでは、まず会社設立の最初のステップである法人登記までの流れについて詳しく解説します。

会社の種類を決める

会社の種類は、定款などの申請書類の準備や商号(社名)を決定するうえで先に決めておきたい要素です。会社の種類には、株式会社と持分会社である合同会社、合資会社、合名会社の4つがあります。最も多く選ばれているのが株式会社で、次が合同会社です。会社の種類は、会社を設立する目的や今後の事業計画と照らし合わせて決めることが大切です。それぞれの特徴については以下を参考にしてください。

株式会社の特徴

株式会社は株式の増資による資金調達を行うことができ、多額の資金が必要な場合や上場をめざす場合に選択する会社形態です。ただし、持分会社と比べて設立費用が高く、設立手続きの手間も多くかかります。また、株主総会の開催や決算公告が必要なため、経営の自由度は持分会社より低めです。

合同会社の特徴

合同会社は設立費用が低く、公証人による定款の認証が必要ないため、株式会社より設立しやすい点が特徴です。株主総会の開催や決算公告を行う必要がなく、意思決定がしやすいことから自由度が高いといえます。ただし、資金調達は自己資本や借入が中心となっており、株式を発行できないため多額の増資が難しい会社形態です。

合資会社・合名会社の特徴

合資会社・合名会社は、合同会社と同じく設立コストの低さや定款の認証が不要なため設立しやすいといえます。ただし、倒産したときの負債に上限がなくリスクが高いためあまり選ばれない会社形態です。

基礎項目の検討・決定

次に法人登記において基礎となる事項を決定しましょう。定款など申請書類に記載する事項であるため、事前に決定しておくと手続きがスムーズになります。主に以下の項目です。

  • 商号(社名)
  • 役員構成
  • 資本金
  • 本店所在地
  • 事業年度
  • 事業目的
  • 公告の方法
  • 設立日(登記申請日)

【株式会社の場合】

  • 発行可能株式総数
  • 株主構成
  • 株式譲渡の有無

商号(社名)が決定したら、法人印鑑を作っておきましょう。法人登記の提出書類の一つである印鑑届出書の作成で使用します。また、法人登記前に、事業戦略や事業計画も練っておくと事業をスムーズに開始しやすくなります。

定款の作成・認証

定款とは、会社の組織運営に関わる基本的なルールを指します。「事業目的」「商号」「資本金」といった絶対に必要な項目の他、必要に応じて株主総会や株券発行に関する項目などを定めた文書です。

定款の作り方についてはこちらの記事を参照ください。

定款とは?作り方・記載内容から認証の方法まで分かりやすく解説

株式会社を設立する場合は、定款を作成するだけでなく、公証役場で認証を受ける必要があります。定款認証では以下の書類も準備しておく必要があります。なお、持分会社では定款認証の手続きは不要です。

【定款認証で必要となる書類】

  • 定款(役場保管用・法人保管用・設立登記申請用)
  • 発起人の印鑑証明書
  • 発起人の実印
  • 収入印紙(紙の定款の場合)
  • 身分証明書
  • 委任状(代理人が出向く場合)

資本金の払い込み

法人登記では、現物出資の場合を除き、資本金の払込を証明する払込証明書が必要になります。ただし原則として法人登記が完了しないと法人口座は開設できないため、発起人の個人口座に資本金を入金します。発起人が一人であれば、入金方法は預入でも振り込みでも問題ありません。ただし、発起人が複数人いる場合は誰がいくら出資したのかを証明するため、振込で代表者の口座に入金する必要があります。

入金が完了したら、資本金が入金された明細と通帳表紙のコピーを作成します。なお、インターネットバンキングで通帳がない場合は、支店名、口座番号、口座名義人などの基本情報と、振込日、振込名義、振込金額が確認できるページのスクリーンショットを撮影するか、印刷することで代用できます。

法人登記

設立登記申請書などの必要書類をそろえたら、本店所在地を管轄する法務局で申請を行います。直接法務局へ足を運ぶか、必要書類の郵送または法務局の登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと 供託ねっと)から申請可能です。登記申請は、原則として資本金の入金日から2週間以内に行わなければなりません。申請後、書類に不備がなければ、およそ7〜10日ほどで登記が完了します。

【必要書類】

  • 設立登記申請書
  • 定款
  • 取締役の就任承諾書
  • 登録免許税納付用台紙
  • 払込証明書
  • 印鑑届出書
  • 発起人の同意書(発起人の決定書)
  • 代表取締役の就任承諾書
  • 取締役の印鑑証明書(全員分)
  • 「登記すべき事項」を記録した書面またはCD-R

会社設立後の流れ

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法務局にて法人登記が完了した後も、税務署や地方自治体、年金事務所などへの各種届出や許認可の申請、法人用銀行口座の開設申込など、必要な手続きがあります。ここでは、会社設立後の手続きについて解説します。

税務署への届出

会社設立から2ヵ月以内に、法人設立届出書を税務署へ提出します。初年度から青色申告を行いたい場合は、青色申告の承認申請書も提出しましょう。なお、従業員がゼロでも、代表者に役員報酬を支払う場合は、給与支払事務所等の開設届出書の提出が必要となります。

地方自治体への届出

地方自治体には、法人住民税・法人事業税に関する届出を行います。所轄の都道府県税事務所または市町村役場に、法人設立届出書と定款の写しを提出します。提出期限は市町村によって異なりますが、東京都のように会社設立日から15日以内と早めの期限が設定されている地方自治体もあるため、なるべく早く準備しておきましょう。

年金事務所への届出

年金事務所では、健康保険・厚生年金保険の加入手続きを行います。従業員を1人も雇用しない事業所でも、代表者は健康保険・厚生年金に加入しなければならないので、健康保険・厚生年金保険新規適用届は必ず提出しなければなりません。従業員を雇用する場合は、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届も提出する必要があります。

健康保険・厚生年金保険新規適用届は、「常時従業員(代表者を含む)を使用する法人事業所となる」等、社会保険に加入すべき要件を満たした日から5日以内、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届は「新たに従業員を雇用する」といった事実発生日から5日以内の提出が義務付けられています。

労働基準監督署への届出

従業員を雇用する場合は、労働保険の加入手続きが必要となります。適用事業報告書を提出した後、保険関係が成立した日の翌日から10日以内に労働保険関係成立届を、50日以内に労働保険概算保険料申告書を提出します。なお、添付書類として登記簿謄本、賃金台帳、賃貸借契約書などが求められるため、準備しておきましょう。

ハローワークへの届出

従業員を雇用する場合は、雇用保険の加入手続きが必要になります。雇用した翌日から10日以内に、雇用保険適用事業所設置届と雇用保険被保険者資格取得届を提出しなければなりません。こちらも労働基準監督署のときと同様に、添付書類として登記簿謄本、賃金台帳、賃貸借契約書などが必要となります。

税務署 給与支払事務所等の開設届出書 給与支払事務所等の開設日から1ヵ月以内
法人設立届出書 会社設立日(設立登記の日)から2ヵ月以内
青色申告の承認申請書 設立の日以後3ヵ月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日まで
地方自治体 法人設立届出書 会社設立日から15日〜2ヵ月以内(地方自治体によって異なる)
年金事務所 健康保険・厚生年金保険新規適用届 事実発生日から5日以内
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 事実発生日から5日以内
労働基準監督署 適用事業報告書 事実発生後、遅滞なく提出
労働保険関係成立届 事実発生の翌日から10日以内
労働保険概算保険料申告書 事実発生の翌日から50日以内
公共職業安定所
(ハローワーク)
雇用保険適用事業所設置届 事実発生の翌日から10日以内

許認可の申請

許認可が必要な業種では、あらかじめ申請が必要となります。万が一、許認可を得ずに事業を行ってしまうと、罰則が科されるため注意しましょう。なお、許認可には、取得難易度順に「届出」「登録」「認可」「許可」「免許」の5つがあります。以下はその例です。

探偵業 届出
理容所および美容所 届出
ペットショップ 登録
ガソリンスタンド 登録
保育所 認可
警備業 認可
リサイクルショップ 許可
古物商 許可
不動産業 免許
乳製品製造業 免許

法人用銀行口座の開設

法的な義務はありませんが、法人用の銀行口座がないと実務上は不便なため、会社を設立したら速やかに開設を申し込みましょう。審査や手続きを含めると、開設までにはおよそ1週間から1ヵ月程度かかるのが一般的です。年末年始やお盆、ゴールデンウィークなどの長期休みを挟む場合は、さらに時間がかかることもあります。

法人口座開設(法人のお客さま)

会社設立のメリット

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個人事業主として開業する場合と比べて、会社設立にはどのようなメリットがあるのでしょうか。以下に詳しく解説します。

社会的な信用度を高められる

会社設立には登記が必要で、設立後は本店所在地や資本金等の基礎情報が公開されることから、個人事業主より社会的信用度が高いといえます。規模の大きい会社との取引や、行政や学校法人などの案件獲得のチャンスも増える他、投資家からの出資や銀行からの融資といった資金調達の面でも有利になります。また、優秀な人材の採用もしやすくなるでしょう。

法人税率が適用される

個人事業主では所得に累進課税が適用され、所得が高くなるほど所得税率が高くなります。例えば、195万円以上330万円未満の部分の所得税率は10%ですが、900万円以上1,800万円未満の部分になると33%、さらに4,000万円以上の部分には上限の45%という税率が適用されます。

それに対して、普通法人では、資本金1億円以下の場合に限り、800万円以下の所得部分は法人税率が15%、800万円以上の所得部分には23.2%の税率が適用されます。

事業承継しやすくなる

個人事業主の場合、代表が死亡すると不正利用防止の観点から銀行口座が一時的に凍結され、事業も廃業扱いになります。ただし、会社などの法人形態であれば、代表者が死亡しても法人口座は凍結されず、後継者を選任すれば事業活動を継続できます。

有限責任によってリスク負担を減らせる

有限責任とは、倒産したときに債権者に対して支払う責任範囲が限定されることを指します。一方、無限責任は負債のすべてを負わなければなりません。

個人事業主は無限責任に該当します。株式会社や合同会社では有限責任となり、無限責任を回避できる場合があります。ただし、融資などで代表者自身が保証人になっている場合は、その限りではありません。

会社設立の注意点

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会社設立には、「社会保険料の負担が大きい」「会社のお金を個人利用できない」など、個人事業主とは異なるいくつかの注意点があります。

社会保険料の負担が大きい

個人事業主の場合、加入する主な社会保険は健康保険と国民年金です。法人を設立して役員報酬を得るようになると、健康保険は全国健康保険協会(通称「協会けんぽ」)などに切り替えたうえで、年金については国民年金に加え厚生年金分の保険料も支払うことになります。これは、代表一人だけの会社であっても同様です。

2022年度の公的年金の保険料額を比較すると、個人事業主の国民年金保険料が月額16,590円なのに対して、法人役員は国民年金分と厚生年金分の合計として「標準月額報酬×18.3%」の保険料が適用されます。

会社のお金を個人利用できない

個人事業主は、帳簿に計上するだけで売り上げから生活費などを引き出すことが可能です。一方法人では、会社と個人は法律上において別人格となるため、法人口座のお金を自由に引き出したり、使ったりすることができません。もし、誤って法人口座で個人利用をしてしまった場合は、役員貸付金として仕訳を行い、会社に利息を支払わなければならない場合もあります。

会社設立についてのよくある疑問

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最後に、会社設立でよくある疑問についてまとめました。会社設立で悩んだときはぜひ参考にしてみてください。

一人でも会社設立できる?

2006年の会社法改正に伴って、株式会社、合同会社、合名会社の場合は、一人だけでも会社を設立できるようになりました。

ただし、合資会社は一人だけで会社を設立できません。合資会社とは、有限責任社員と無限責任社員で構成される法人のことで、会社設立時には、有限責任社員が1名以上、無限責任社員が1名以上、最低でも2名必要となります。

定款認証や法人登記は自分でできる?

専門家に依頼せずに、創業者が一人で会社設立の手続きをすることも可能です。2021年2月、デジタル庁が「法人設立ワンストップサービス」の本格的な提供を開始し、定款認証・設立登記をはじめ、税・社会保険関連の届出やGビズIDの発行など、会社設立時に必要な諸々の手続きをまさにワンストップで済ませられるようになりました。

ただし、それでも定款作成や税金・社会保険については制度への理解が求められる場面があるのも確かです。会社設立時に専門家に相談すれば、正しい知識を得ながら着実に手続きを進めることができます。

定款とは?作り方・記載内容から認証の方法まで分かりやすく解説

会社設立を代行してもらう場合は誰に頼む?

会社設立に関連する手続きは、司法書士や行政書士、社労士、税理士などに依頼できます。定款の作成・認証や法人登記に関することであれば司法書士、許認可のサポートなら行政書士、社会保険の手続きなら社会保険労務士、税金関連の手続きなら税理士と、目的に合わせて相談・代行を検討しましょう。司法書士や行政書士、社労士、税理士が連携しており、ワンストップで創業支援を行うというサービスもあります。

まとめ

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会社設立の手続きについて解説しました。会社設立には、定款作成・認証、法人登記といった設立に関係する手続きがあるだけでなく、設立後も、税務署や地方自治体などへの届出、許認可の申請、法人用銀行口座の開設など、行うべきことはいくつもあります。

みずほ銀行では、実店舗はもちろんオンラインでも法人口座の開設申込を受け付けています。「法人口座開設ネット受付」なら、申し込みから口座開設まですべての手続きがオンラインで完結します。会社設立にあたって銀行口座を選定中の方は、ご利用を検討してみてはいかがでしょうか。

法人口座開設(法人のお客さま)

(記事提供元:株式会社ADKマーケティング・ソリューションズ)

  1. * 本稿に含まれる情報の正確性、確実性あるいは完結性をみずほ銀行が表明するものではありません。
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