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介護市場のM&Aとは|業界の最新事情

掲載日:2019年11月14日業界動向

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高齢化が進む日本において、近年介護市場は成長マーケットとして注目されており、M&Aも盛んに行われています。市場の成長性を有望視した異業種企業の参入によるM&Aのほか、2000年に施行された介護保険法が2020年で20年経過することに伴い、事業承継案件も目立ちます。そこで本稿では、介護市場におけるM&Aの最新事情について紹介します。

介護市場のマーケットサイズは?

高齢化に伴い、介護サービスの利用者は年々増加傾向にあります。厚生労働省がまとめている「介護保険事業状況報告」によれば、2000年4月に149万人だった介護サービスの利用者は2016年4月に496万人と約3.3倍に増えており、要介護認定者数も2000年4月の218万人から2016年4月末には622万人に達しています。

介護保険サービスには、居宅サービス、施設サービス、訪問系サービス、通所系サービス、福祉用具貸与、介護老人福祉施設、介護老人保健施設などがあります。
近年、それらサービスの介護費用額は右肩上がりの状況が続いており、2015年度の内訳では介護福祉施設サービスが1兆6,670億円でトップ。次いで、通所介護が1兆4,887億円、介護保健施設サービスが1兆2,463億円の順となっており、施設型のサービスがトップを占めていることが分かります。

厚生労働省の同資料によれば65歳以上の高齢者は2025年に3,657万人、2042年が3,878万人とピークを迎えると見込まれており、介護市場は今後もさらに拡大することが見込まれています。

介護市場におけるM&Aの傾向は?

介護市場が拡大し、特に施設型のサービスが多く利用されている中、介護施設を運営する事業者によるM&Aが近年盛んに行われるようになりつつあります。具体的なM&Aのパターンを大きく分けると以下の3つに分類されます。

  • ① 異業種からの企業参入に伴うM&A
  • ② 事業承継が絡むM&A
  • ③ 事業の絞り込みによって一部事業の売却をめざすことに伴うM&A

①異業種からの企業参入に伴うM&A:経営資源を効率的に取得

異業種企業から介護市場に参入しようとする場合、M&Aを行うと経営資源を迅速かつ効率的に取得することができます。特に介護市場の場合はサービスを展開するために、専門的な知識やノウハウも必要になるため、既に事業が確立されている企業を買収することは、買い手企業にとっては大きなメリットとなるでしょう。

②事業承継が絡むM&A:介護保険法施行から2020年で20年!「事業承継」案件が増加

介護制度について定めた「介護保険法」が2000年に施行されてから2020年で20年が経ちます。介護保険法は介護サービスの運営基準や要介護の基準などについて定めたもので、施行直後に多くの企業が介護市場に参入しました。この時期に創業した場合、企業によってはそろそろ事業承継の時期を迎えることになります。

現経営者が後継者を親族内や従業員の中から見つけることができない場合は、ほかの企業への事業売却も選択肢の一つとなります。大和総研が2019年6月に発表したレポート(「M&A動向に見る介護ビジネスの将来性」)によると、介護市場のM&A件数は2013年以降増加傾向にあり、その要因の一つとして「人手不足や後継者不足の問題を解消したいという売り手側のニーズ」があげられています。

③事業の絞り込みによって一部事業の売却をめざすことに伴うM&A:収益性拡大を狙う

様々な介護サービスをすでに展開している企業が、収益性をさらに高めるために、展開するサービスの絞り込み(選択と集中)を行うケースもあり、その場合は、一部事業の売却を行うことも一つの選択肢となります。

国の方針による大きな影響も

介護市場の拡大傾向は今後も続くものの、人手不足などの課題も抱えており、参入が必ず成功に結びつくと考えるのは早計です。しかし外国人人材や介護ロボットなどを上手く活用し、事業展開ができれば、大きな成功を収めることも期待できるでしょう。

介護分野は、介護保険制度などの政府の施策によって動向が左右されやすい市場でもあります。そのため今後の市場および、M&Aの動向については、国の方針に大きな影響を受けることも念頭においたうえで状況を整理していくことが必要であると考えられます。

上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
(記事提供元:株式会社ZUU)

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