信用金庫(信金)とは?信用組合・銀行との違い、利用するメリット・デメリットを解説
掲載日:2025年8月25日法人口座

信用金庫・信用組合は、地域に根差した事業を行う企業にとって、経営の相談相手や融資先として知られる存在です。しかし、同じ金融機関である銀行と具体的に何が違うのか、詳しく知らない方もいるでしょう。
本記事では、信用金庫と信用組合の特徴や銀行との違い、利用のメリットやデメリット等を紹介します。法人口座開設や融資等、金融機関との取引を検討するときの参考としてください。
目次
信用金庫(信金)とは
信用金庫は信用金庫法を根拠法とした組織で、農協や生協のように、会員の出資に基づいて組織された協同組織の非営利法人です。
非営利法人として地域の発展や地域の人々の相互扶助を目的として活動しているため、法人としての利益追求よりも、地域の活性化や会員の利益が優先されます。
法人・個人に関わらず誰でも利用できますが、金融サービスを提供する地域が各組合の営業区域内に限定されており、その地域内で活動する事業者と住民が対象です。また、地域で活動する中小企業への融資に力を入れる傾向があります。
信用金庫(信金)と信用組合の違い
信用金庫と表記のよく似た金融機関に信用組合があります。信用組合は中小企業等協同組合法に基づいて設立された金融機関であり、信用金庫と同様に協同組織の非営利法人です。両者は、一定の地域内で活動する人々の利益を追求する点が共通しています。
ただし、信用組合は出資者となる会員資格や金融サービスの提供範囲等で信用金庫と違いがあります。例えば、預金の預け入れの範囲に関して、信用金庫は制限を設けていませんが、信用組合は原則として組合員のみが対象で、信用金庫よりもサービス対象がさらに限定された、より小規模の金融機関です。
信用金庫(信金)・信用組合と銀行の違い
信用金庫・信用組合と銀行はいずれも、金融庁の監督のもと、預金の受け入れや融資を実施する金融機関としての役割を果たしています。そのため、それぞれの具体的な違いが利用者からは見えにくい一面があります。
そこで、信用金庫・信用組合と銀行にはどのような違いがあるのか、分かりやすく紹介します。
組織形態と目的
信用金庫は信用金庫法に基づいた非営利法人で、会員の出資を資本として地域経済の円滑化を図る目的があります。信用組合は中小企業等協同組合法に基づいた非営利法人で、組合員の出資を資本とし、組合員の経済的な支援を目的としています。
先述の通り、根拠法の違いはあるものの、両者には共通点も多くあり、信用金庫・信用組合とも一定の地域で活動する事業者らを支援しています。しかし、信用金庫は地域全体の発展に寄与する傾向、信用組合は組織内での相互扶助を重視する傾向があります。
一方、銀行は銀行法に基づいて設立された株式会社であり、株主の利益の追求を目的としています。預金や融資、決済手段の提供等を通じて、国民経済全体の発展に貢献をその使命としています。
会員資格の有無
信用金庫・信用組合と銀行で見られる大きな違いの一つが、会員資格の有無です。会員の相互扶助が組織の目的となっている信用金庫・信用組合には、明確に会員(信用組合は組合員)資格が設けられています。しかし、国民の経済活動に広く寄与する目的のある銀行には会員の概念はなく、特に制限はありません。
信用金庫・信用組合の会員(組合員)資格は、以下のようになっています。
- 信用金庫の会員資格
- 一定の地域内で、住所または居所を有する方・事業所を有する方・勤労に従事する方
- 事業者の場合、従業員300人以下または資本金9億円以下の事業者
- 信用組合の会員(組合員)資格
- 一定の地域内で、住所または居所を有する方・小規模な事業所を有する方・勤労に従事する方
- 事業者の場合、従業員300人以下または資本金3億円以下の事業者(卸売業は100人以下または1億円以下、小売業は50人以下または5千万円以下、サービス業は100人以下または5千万円以下)
基本業務の範囲
信用金庫・信用組合と銀行は、金融機関として、預金・融資・為替の基本業務を扱っています。しかし、銀行の業務範囲に原則として制限がないのに対し、信用金庫と信用組合では、会員資格の有無によって、業務の一部に利用制限が設けられています。
- 信用金庫の基本業務の制限
- 融資は原則として会員が対象(会員外への融資は貸出総額の20%以内であれば可能)
- 会員資格を失った後も例外的に融資を受けられる場合がある(卒業生金融)
- 信用組合の基本業務の制限
- 預金は原則として組合員が対象(組合員外への預金は預金総額の20%までなら可能)
- 融資は原則として組合員が対象(組合員外への融資は貸出総額の20%以内であれば可能)
- 会員資格を失った後は融資を受けることができない(卒業生金融)
卒業生金融とは、信用金庫と取引のあった事業者が、会員資格を失った後も例外的に受ける融資です。金融庁に認められた融資期間は、会員期間に応じて5~7年となっています。
融資で設定される金利の傾向
起業したばかりや事業拡大を検討するとき等、いざというときに頼れる融資先として、金融機関を選ぶ事業者も多いでしょう。
しかし、融資を受けると、元金や借入期間に応じて一定の利息を支払う必要があります。信用金庫・信用組合・銀行からの融資で設定される金利には一定の傾向があり、信用金庫と信用組合の方が銀行よりも金利は高めだとされるのが一般的です。
これは、信用力の見極めが困難等の不安要素があっても、地域に根ざした事業者や会員には積極的に融資するため、将来的に返済が滞るリスクを加味したうえで金利を決定していると考えられます。
信用金庫(信金)・信用組合と銀行、どちらを活用すべき?

融資に限らず、事業者として金融機関との取引は欠かせません。どの金融機関でも金融の基本業務は実施されていますが、信用金庫・信用組合と銀行のどちらを選択するかで、事業目的と合わずに苦労するおそれもあります。
そこで、金融機関を選択するときにメリット・デメリットとなりうる要素を解説します。
信用金庫(信金)・信用組合を選ぶメリット・デメリット
信用金庫・信用組合を選ぶメリット・デメリットには、次のようなものが挙げられます。
メリット
- 中小企業や個人事業主でも利用しやすい
- 融資の審査に通りやすい傾向がある
デメリット
- 利用できる地域が限定される
- 会員(組合員)資格を満たす必要がある
信用金庫・信用組合は営業活動を行う地域を限定し、地域に根差した事業者を支援しています。そのため、地域内で事業を営む中小企業や個人事業主等の小規模な事業者でも比較的利用しやすいでしょう。また、相談時には、その地域ならではの情報を提供してもらえる可能性もあります。
金融機関から融資を受けるには、通常、事業の実績や将来性等から、返済能力があると金融機関から信頼を得なければなりません。この点は融資先が信用金庫でも銀行でも同じです。
しかし、信用金庫と信用組合は会員の相互扶助を目的としているため、実績がない等、一般的には信頼を得るのがむずかしい状況の事業者でも、融資を受けやすい傾向があります。どちらも非営利組織であり、事業への融資が地域の発展や繁栄につながると判断されれば、審査に通る可能性が高まると考えられます。
ただし、利用できる地域が限られるほか、利用するには原則として会員資格を満たす必要がある等、銀行に比べると業務の範囲が限定される点がデメリットになる場合もあるでしょう。また、先述の通り、銀行よりも金利が高めの傾向にあるため、多額の資金調達によって返済が負担になる恐れもあります。
銀行を選ぶメリット・デメリット
銀行を選ぶメリット・デメリットには、次のようなものが挙げられます。
メリット
- 事業の社会的な信用度が高まる
- ウェブサイト上で手続きが完結する等便利な法人向けサービスが多い
デメリット
- 法人口座の開設や融資の申し込みの審査に通らない場合もある
- 融資額によっては一定の事業規模や将来性を求められる
選ぶ銀行の種類によりますが、取引先として銀行を選ぶと事業の社会的な信用度が高まると期待できます。特に、全国に支店を持つメガバンクで法人口座を開設すると、事業の実態や規模、業績等が確かな企業という印象を与えやすく、取引先からの信頼度も向上するでしょう。
また、多くの銀行で、口座開設がウェブサイト上で完結する、高額な融資に対応する、海外への送金に対応する等、様々な独自サービスを提供しています。無駄なくスピーディな事業運営やグローバルな経営を検討する事業者にとってプラスになると考えられます。
ただし、銀行での法人口座の開設や融資の申し込みでは、事業の状況や信頼度をシビアに審査されます。例えば、登記先と実際の事業所の住所が一致していない、事業内容が明確に説明できない等の理由から、審査に落ちることもあるでしょう。こうした銀行の姿勢が、社会的な信用度を高める要因にもなっています。
また、信用金庫・信用組合より高額な融資に対応する銀行は多いですが、一定レベル以上の事業の規模や将来性を求められる可能性が高いでしょう。
信用金庫(信金)・信用組合が適しているケース
金融機関ごとの特徴が分かったところで、信用金庫・信用組合の利用が適しているケースをいくつか挙げてみました。活用すべき金融機関を検討する際の参考としてください。
地域密着型の事業を検討しているケース
地域に根差した事業展開を考えているなら、信用金庫や信用組合は頼もしい存在です。特に信用金庫には地域経済の発展を目的としており、地域事業者の支援に力を入れています。
信用金庫も信用組合も地域とのつながりが深く、地域の特性や事情に精通しているため、事業運営の良き相談相手となるはずです。起業したばかりで他の事業者との接点のないスタートアップでも、信用金庫や信用組合を介して、地元の事業者と関係を築きやすいでしょう。
早めの融資を希望しているケース
起業間もない事業者は、売上が安定する前に運営資金が不足する等、資金繰りに苦労することがよくあります。一方、まだ実績が乏しいため、金融機関からの融資を受けにくい事態も想定されます。
そのため、起業間もない事業者が融資を希望する場合、銀行よりも信用金庫・信用組合の方が実現の可能性が高いでしょう。信用金庫・信用組合は会員(組合員)の相互扶助による協同組織であるため、経営状態だけではなく幅広い観点から、融資を判断してもらえる場合があります。
また、信用金庫・信用組合では、保証会社を公的な保証人とした「保証付融資」も選択できます。保証付融資なら、返済への不安を軽減しながら資金を準備できるでしょう。
ただし、信用金庫・信用組合からの融資は借入限度額を1,000万円以下に抑えたものが多く、銀行のように高額の融資を見込めない点に注意が必要です。
事業計画に不安があるケース
ビジョンはあるものの事業計画に不安がある等、事業内容を明確にできず、もどかしい時期もあるでしょう。しかし、法人として銀行と取引するには、事業計画や将来性を銀行に理解してもらい、信頼ある事業者として認められる必要があります。
一方、信用金庫・信用組合は会員(組合員)との関係性を重んじる傾向が強く、地域の発展に寄与する存在だと認識されると、サポートを受けられます。会員資格があれば、規模や収益の大小を問わず、ビジネスアイデアの具体化、事業計画の立案、起業直後の運営等、様々な局面で相談に乗ってもらえます。
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全国展開を視野に入れたビジネスの拡大を考えるなら、銀行との取引を検討しましょう。近年は、事業の規模等に関わらず、サポートする銀行が増えています。
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口座開設はウェブサイト上で申し込みが可能。次審査にかかるのは最長1週間ほどと、事務手続きの手間や負担が少ない点もメリットの一つです。また、みずほ銀行は全国47都道府県に支店があるメガバンクでもあり、多くの企業が利用しているため、人口座開設は事業にプラスになる可能性も期待できるでしょう。
まとめ

信用金庫・信用組合は、会員(組合員)の出資によって運営される非営利組織の金融機関です。いずれも地域に密着したサービスが特徴で、地域経済の発展や会員の相互扶助を目的としています。会員資格を満たしていれば、口座開設や融資のハードルが銀行より低いとされ、小規模の事業者でも利用しやすい傾向があります。
一方、銀行との取引には事業内容や将来性を明らかにすることを求められますが、その分、社会的な信用度を得られるほか、高額な融資が可能になる等の恩恵を受けられます。
金融機関の選択に悩んでいるなら、地域密着型のビジネスを予定している、全国展開を検討している等、事業計画に応じて判断すると良いでしょう。
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監修者

安田 亮(やすだ りょう)
- 公認会計士
- 税理士
- 1級FP技能士
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。
連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。