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法人の登記簿謄本とは?必要なタイミングや取得方法などを解説

掲載日:2025年4月10日起業準備

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登記簿謄本とは、法人の現況やこれまでの履歴を確認するための公的な証明書類です。行政や金融機関での手続きを進める際に、必要書類の一つとして登記簿謄本の提出を求められることがあります。

登記簿謄本の発行は、法務局に対して行います。法務局の窓口や郵送で申請するか、オンライン申請で取得できるため、書類が必要になるシーンに備えて取得方法を知っておきましょう。

今回は、登記簿謄本の種類や登記簿謄本が必要になるシチュエーション、具体的な取得方法を解説します。

法人の登記簿謄本とは何か

登記簿謄本とは、「登記事項証明書」を指します。それぞれ実質的に同じ内容を指しますが、以下のような違いがあります。

登記簿謄本

紙の登記簿を複写して作成された証明書

登記事項証明書

データで管理された登記情報を印刷した証明書

登記簿謄本

紙の登記簿を複写して作成された証明書

登記事項証明書

データで管理された登記情報を印刷した証明書

現在はデータ化が進んでいるため、登記簿謄本ではなく登記事項証明書を取得するのが一般的です。ただし、登記簿謄本という名称が慣習的に使用されることもあります。

法人の登記簿謄本とは、法人に関する情報を証明する書類です。代表者や所在地だけでなく、発行可能株式総数や株式の譲渡制限などの情報も記載されています。

なお、法人の登記簿謄本には4つの種類があります。それぞれ記載されている内容や使用するシーンが異なるため、どのような違いがあるか確認しましょう。

現在事項証明書

現在事項証明書は、登記簿に記載された現行の登記事項を証明する書類です。法人に関する「今現在の状況」を知るとき、現在事項証明書を使用します。

具体的には、現在効力のある法人の商号・会社法人等番号・本店所在地・役員情報・資本金の額等が記載されます。なお、過去の履歴や抹消された情報は、現在事項証明書には含まれません。

履歴事項全部証明書

履歴事項全部証明書は、法人の基本情報や過去の変更履歴が記載された書類です。現在の情報に加え、請求日の3年前の日が属する年の1月1日以降に抹消または変更された情報が記載されています。

行政機関に対して許認可の申請をするときや金融機関へ融資を申し込むとき等、様々な手続きで必要となります。登記簿謄本とは、履歴事項全部証明書を指すのが一般的です。

閉鎖事項証明書

閉鎖事項証明書は、法人が解散した場合や本店移転により管轄法務局が変更された場合等に、登記記録が閉鎖されたことを示す書類です。

法人の清算結了や合併によって抹消された際の情報が含まれており、過去の重要な登記情報を確認するときに利用されます。

また、過去の会社情報を調査したいときや清算手続中の状況を証明するとき等、過去に遡って確認したい情報を得たいときにも閉鎖事項証明書を利用します。

代表者事項証明書

代表者事項証明書は、会社の代表者の代表権に関する登記事項を証明するための書類です。法人の代表権を持つ者に関する基本的な情報が記載されており、代表者の氏名・住所・認証文(登記官による確認文)等が記載されています。

会社が取引や法的手続きを行う際に、「法人の代表者は誰なのか」を証明するときに用いられます。

登記簿謄本と履歴事項全部証明書の違い

履歴事項全部証明書とは、登記簿謄本(登記事項証明書)の種類の一つで、以下の情報が記載されています。

  • 会社法人番号
  • 商号
  • 原因年月日
  • 登記年月日
  • 本店所在地
  • 原因年月日
  • 登記年月日
  • 公告をする方法
  • 会社設立年月日
  • 目的(事業内容)
  • 発行可能株式総数
  • 発行済株式の総数ならびに種類および数
  • 株券を発行する旨の定め
  • 資本金の額
  • 株式の譲渡制限に関する規定
  • 役員に関する事項
  • 取締役会設置会社に関する事項
  • 監査役設置会社に関する事項
  • 登記記録に関する事項

登記簿謄本と履歴事項全部証明書で、特に意味合いに違いはありません。行政や金融機関の関する手続きで登記簿謄本の提出を求められたら、「履歴事項全部証明書」を提出しましょう。

なお、登記簿謄本には「不動産登記簿謄本」と「法人情報に関する登記簿謄本」があります。例えば、金融機関で不動産担保ローンの契約を締結する際に「不動産登記簿謄本」の提出を求められるケースがあるため、注意しましょう。

提出書類に「登記簿謄本」とだけ記載されており、判断に迷う場面があれば、「どの登記簿謄本なのか」を確認しておくと安心です。

法人の登記簿謄本が必要になるタイミング

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法人を設立した後、登記簿謄本は様々な場面で提出を求められます。登記簿謄本の提出を求められる、代表的なシチュエーションをまとめました。

  • 法人口座を開設するとき
  • 法人名義で保険契約をするとき
  • 行政機関で許認可の手続きをするとき
  • 社会保険関係の手続きをするとき
  • 新規の取引先や競合他社の調査をするとき
  • 法人の登記内容を変更するとき
  • オフィス・テナントの賃貸契約を締結するとき
  • 助成金・補助金を申請するとき
  • 新しい取引先と取引を開始するとき
  • 税理士に決算の申告を依頼するとき

金融機関へ融資を申し込むとき等に、法人の登記簿謄本が必要になります。また、新しい取引先と取引を開始するとき、会社の実態を証明するために登記簿謄本を提出することもあります。

法人の登記簿謄本の取得方法と必要なもの

法人の登記事項証明書は、どの登記所に対しても申請できます。ただし、登記簿謄本(紙台帳の写し)を取得する場合は、法人が登記されている登記所へ申請しなければなりません。

具体的な取得方法や、手続きをするために必要なものを確認しておきましょう。

なお、コンビニエンスストアでは法人の登記簿謄本は取得できません。

法務局の窓口で申請する

法務局の窓口へ足を運び、「登記事項証明書交付申請書」を記入し、手数料に相当する収入印紙を用意して窓口で申請用紙を提出する方法があります。手数料は、登記簿謄本1通につき600円です。

法務局へ足を運ぶ場合は、その日のうちに処理が行われ、登記簿謄本を受け取れます。その日の内に受け取れる一方で、開庁している時間に足を運ぶ必要があり、手間がかかる点は否めません。

手数料以外、特に必要なものはありませんが、請求書に法人の商号(法人名)・本店を記載する必要があるため、確認書類を持っていくと正確な記入ができて安心です。

郵送で申請する

郵送で申請する際には、法務局のウェブサイトより「登記事項証明書交付申請書」をダウンロードし、手数料分の収入印紙を添付して法務局へ送りましょう。

併せて、返信用の切手を貼った封筒も同封する必要があります。なお、返信用切手は110円が目安です。

郵送の場合は法務局へ足を運ぶ必要がない一方で、郵送でのやり取りとなるため、実際に受け取るまで1週間程度の時間がかかる点に注意しましょう。

オンラインで申請する

オンラインで申請し、法務局へ足を運ぶか、または郵送で受け取る方法もあります。郵送での受取を選択すれば、法務局へ足を運ばずに発行を依頼できるため便利です。

なお、申請の流れは以下の通りです(電子証明書は不要)。

  1. 1.登記・供託オンライン申請システムにアクセスして申請者登録を行う(初回は登録が必要)
  2. 2.請求書様式へ必要事項を入力し請求データを送信する
  3. 3.手数料を電子納付する
  4. 4.受取方法(郵送または窓口)を選択する

オンラインで交付請求をすると、手数料が安くなります。通常の手数料は1通あたり600円ですが、郵送で受け取る場合は500円、最寄りの登記所や法務局証明サービスセンターで受け取る場合は480円です。

なお、オンラインは平日の午前8時30分から午後9時まで申請できます(法務局の開庁時間は平日の午前8時30分から午後5時15分まで)。法務局の開庁時間よりも対応時間が長いため、時間内に足を運べない方にとって便利なサービスです。

手数料はインターネットバンキングで電子納付でき、収入印紙を用意する必要がありません。また、インターネットバンキングの他にも、「Pay–easy」に対応したATMでも納付が可能です。

特段の事情がない限り、手数料負担を抑えられ、さらに利便性が高いオンライン申請を利用すると良いでしょう。

登記簿謄本の有効期限

登記簿謄本そのものに、有効期限はありません。ただし、行政機関や金融機関へ提出する際には「発行後3ヵ月以内」のように、一定期間内に発行された謄本を求められるケースが一般的です。

発行後から一定期限を過ぎてしまうと、登記簿謄本は有効なものとして利用できない可能性があります。ただし、提出先によって期限は異なるため、事前に確認しておきましょう。

特に法人を設立して間もない頃は、登記簿謄本の提出を求められる場面が多くあります。必要になる都度取得するのは手間がかかるため、まとめて申請しておくと良いでしょう。

まとめ

登記簿謄本とは、法人の現在における情報や、これまでの履歴を確認するための公的な証明書類です。なお、登記簿謄本は通称で、データ化が進んでいる昨今は一般的に「登記事項証明書」と呼びます。

登記簿謄本は行政機関や金融機関での手続き、取引先へ会社の実態を証明するときに必要となることがあります。

登記簿謄本には4つの種類がありますが、一般的に登記簿謄本とは「履歴事項全部証明書」を指します。取得する際には、管轄の法務局へ申請しましょう(データの登記事項証明書は、どの登記所へも申請可能)。

なお、法人口座を開設するときには登記簿謄本の提出を求められることがあります。事前に必要書類や手続き方法を確認し、スムーズに口座開設の手続きを進めましょう。

みずほ銀行では、「法人口座開設ネット受付」でお手続きいただくと、原則ウェブ面談を経て来店不要で口座開設手続きが完結します。休日・夜間でも申し込みでき、登記簿謄本・印鑑証明書の提出が原則不要です。

法人口座を開設するときの負担を軽減したい方は、ぜひみずほ銀行の利用をご検討ください。

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監修者

内山 貴博

内山 貴博

  • 1級FP技能士
  • CFP

大学卒業後、証券会社の本社で社長室、証券業務部、企画グループで5年半勤務。その後FPとして独立。金融リテラシーが低く、資産運用に保守的と言われる日本人のお金に対する知識向上に寄与すべく、相談業務やセミナー、執筆等を行っている。
日本証券業協会主催「投資の日」イベントや金融庁主催シンポジウムで講師等を担当。
2018年に日本人の金融リテラシー向上のためのFPの役割について探求した論文を執筆。

HP:https://uchiyama-fp.com/

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