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役員報酬の決め方は?給与との違いや相場、変更のルールも解説

掲載日:2025年3月21日起業準備

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役員報酬とは、役員に対し、職務執行の対価として支給する報酬です。不当に税負担を抑える行為を防ぐため、役員報酬の決め方には様々な規定が設けられています。

役員報酬の決定や変更に関するルールを把握していないと、役員に支払う報酬のための支出であっても損金に算入できない場合があります。

本記事では、役員報酬と給与の違いや決定方法、損金に算入するための支給方法を解説します。役員報酬の金額を決める際のポイントも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

役員報酬とは

役員報酬とは、役員の職務執行の対価として支払われる報酬のことです。法人税法上、主に以下の方が役員に該当します。

  • 法人の取締役
  • 執行役
  • 会計参与
  • 監査役
  • 理事
  • 監事・清算人

役員報酬は、会社法にて定款または株主総会の決議で決めるものと定められています。年度始めに決定し、毎月同じ金額を支給します。

役員報酬と給与の違い

役員報酬は、役員に対して支払われる給与のようなものですが、決め方や税務上の取り扱い等、多くの点で従業員の給与とは異なります。役員報酬と給与の主な違いは、以下の通りです。

項目 役員報酬 給与

概要

職務執行の対価

労働の対価

契約形態

委任契約

雇用契約

割増賃金(残業代)の有無

なし

あり

最低賃金の適用

なし

あり

損金算入

一定の条件あり

全額損金算入

役員に対して支払う「役員報酬」に対し、「給与」は雇用契約を結ぶ従業員に支払うものです。労働の対価として支払うため、給与・賞与ともに全額を損金に算入できます。

一方、役員は自らの報酬を自由に決定できる立場であるため、損金に算入するためには一定の条件を満たさなければなりません。また、給与とは違って役員報酬には残業代や諸手当等がなく、毎月同じ金額が支給されます。

役員報酬の決め方

役員報酬は、会社法や法人税法等の規定に基づいて決定しなければなりません。これは、法人税の負担を減らす目的で役員報酬を増やし、利益を低く見せることを防ぐための仕組みです。

この章では、役員報酬の決め方に関する基本的なルールを解説します。

定款または株主総会の決議で定める

役員報酬は、会社法第361条にて、定款または株主総会の決議で定めるものと規定されています。

定款で役員報酬の総額を定めておけば、取締役会で役員ごとの報酬を決定できます。ただし、役員報酬を変更するたびに定款を変更するのは実務的ではないため、株主総会の決議によって定めることが一般的です。

  1. 株主総会で役員報酬の総額を決定する
  2. 取締役会にて、総額の範囲内で役員ごとの報酬金額を決定する

税務調査等で役員報酬の決定・変更の経緯について説明を求められる場合があるため、株主総会や取締役会の際は議事録を残します。

会社設立後3ヵ月以内に決定する

役員報酬は、会社設立後3ヵ月以内に決定する必要があります。3ヵ月以内に決定しない場合、損金に算入することができません。

一度決定した後は原則として毎月同じ金額を支給するため、慎重な検討が求められます。

事業年度開始後3ヵ月が経過すると役員報酬の金額を変更できない

役員報酬の金額は事業年度ごとに変更できますが、損金算入ができるのは原則として事業年度開始後3ヵ月以内に変更した場合に限られます。

事業年度中の変更は、経営状況が著しく悪化した、あるいは役員の地位が変わった等の事情がない限り認められません。

損金算入が認められる役員報酬の支給方法

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税法上、損金算入が認められている役員報酬は、以下の3つです。

  • 定期同額給与
  • 事前確定届出給与
  • 業績連動給与

また、定款または株主総会の決議で定められた額を超えている場合や不当に高額な部分の金額は、損金に算入することができません。

定期同額給与

定期同額給与とは、一定期間ごと(1ヵ月以下)に支給される給与で、その事業年度の各支給時期における支給額(または支給額から源泉徴収税等の額を控除した金額)が同額である給与を指します。

つまり、事業年度を通じて毎月同じ金額が支払われる給与のことです。

例えば、4月~翌年3月の事業年度において毎月25日に50万円を役員報酬として支給した場合、定期同額給与として損金算入が認められます。

定期同額給与の金額は、以下のいずれかに該当する場合のみ変更が可能です。

  • 事業年度開始から3ヵ月以内の改定
  • 臨時改定事由(役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更等のやむを得ない事情)
  • 業績悪化改定事由(その事業年度において経営状況が著しく悪化した、またはそれに類する事情)

事前確定届出給与

役員に支給される賞与は、原則として損金算入が認められません。しかし、所定の期限までに税務署に届け出ていれば、損金算入が可能です。

  1. 税務署に「事前確定届出給与に関する届出書」を提出する
  2. 届出に基づいて賞与を支給する

届出書の届出期限は、以下のうちいずれか早い方です。

  • 株主総会等の決議をした日から1ヵ月以内
  • 事業年度開始日から4ヵ月以内

ただし、新設法人の場合は設立日から2ヵ月以内に届け出る必要があります。

なお、届出書は税務署に持参・送付するほか、e–Taxソフトを利用して作成・提出することも可能です。

業績連動給与

業績連動給与とは、業績に応じて支給額が決定する給与です。原則として同族会社以外の法人にのみ認められています。

また、業績連動給与を損金に算入するためには、「利益の状況を示す指標等を基礎とした算定方法である」「算定方法が有価証券報告書等により開示されている」「損金経理をしている」等の要件を満たさなければなりません。

役員報酬の金額を決める際のポイント

役員報酬の金額には一律の適正金額があるわけではなく、様々な要素を考慮して決定する必要があります。以下のポイントに着目し、税理士等の専門家に相談しながら慎重に決定しましょう。

  • 事業の見通しに応じた金額を設定する
  • 役員報酬の相場を目安の一つにする
  • 従業員の給与とのバランスを考慮する

事業の見通しに応じた金額を設定する

役員報酬の金額は、会社の財務状況や予想される売上・利益に応じて設定しましょう。会社の利益に見合わない金額を設定すると、資金繰りが悪化する可能性があります。

役員報酬は、事業年度開始後3ヵ月以内に決定しなければならず、事業年度中は自由に変更できません。業績が悪化することも考慮し、無理のない金額を設定することが大切です。

役員報酬の相場を目安の一つにする

同業他社等と比較して役員報酬額が不相当に高額すぎると、損金算入が認められないケースがあります。役員報酬額を決める際の目安の一つとして、役員報酬の平均額を把握しておきましょう。

一般的に、資本金が大きい企業ほど役員報酬の金額も高額な傾向があります。

資本金 役員報酬額(平均額)

2,000万円未満

634.4万円

2,000万円以上

940.4万円

5,000万円以上

1,147.7万円

1億円以上

1,380.9万円

10億円以上

1,946.3万円

ただし、適正な役員報酬額は事業計画等によって異なるため、平均額が必ずしも適正とは言えません。

従業員の給与とのバランスを考慮する

従業員の給与とのバランスも、役員報酬額を決めるうえで考慮すべきポイントの一つです。給与と比較して役員報酬が高すぎると、従業員から不満を持たれ、モチベーションの低下を招く可能性があります。

業績悪化にもつながりかねないため、従業員への影響も踏まえて金額を決定しましょう。

会社を設立したら法人口座の開設を

会社を設立した際は、経営状況を正確に把握するために法人口座を開設するのがおすすめです。

会社と個人のお金を分けずに管理すると、会社のお金の流れが分かりにくくなり、適切な経営判断が困難になります。また、税務署から不正を疑われないためにも、会社のお金を明確に分けて管理することが大切です。

法人口座を開設すると、主に以下のメリットが得られます。

  • 経営状況を把握しやすくなる
  • 取引先や金融機関からの信用度が高まる
  • 税務リスクを軽減できる

役員報酬の決定・変更には、様々なルールが設けられています。会社の資金管理の透明性を保つためにも、法人口座を活用しましょう。

法人口座の開設はみずほ銀行がおすすめ

みずほ銀行の法人口座は、休日・夜間でも申込が可能で、ウェブ面談によって来店不要で手続きできます。

インターネット経由での受付なら、通帳・キャッシュカードの初回発行手数料が無料になるほか、原則として登記事項証明書・印鑑証明書の提出が不要なため、スムーズな手続きが可能です。

さらに、会社設立3年以内かつインターネット経由でお申し込みいただいたお客さまには、インターネットバンキング「みずほビジネスWEB」の月額利用料が最大5年間無料になる特典なども用意されています。

会社の資金管理には、ビジネスで役立つ特典を多数付帯しているみずほ銀行の法人口座をご活用ください。

みずほ銀行の法人口座開設(法人のお客さま)

まとめ

役員報酬とは、役員に職務執行の対価として支払う報酬です。給与とは違い、一定の条件を満たす場合のみ損金に算入できます。

損金に算入できず、会社の税負担が重くなることを防ぐためにも、役員報酬に関する正しい知識を身に付けましょう。

役員報酬を含む会社の資金管理には、法人口座の活用がおすすめです。会社と個人のお金を分けずに管理すると、会社のお金の流れを正確に把握できず、適切な経営判断が困難になります。

また、法人口座による適切なお金の管理は、税務署から不正を疑われるリスクを避ける意味でも有効です。

法人口座の開設には、休日・夜間でも申込可能なみずほ銀行をご検討ください。

みずほ銀行の法人口座開設(法人のお客さま)

  • *本稿に含まれる情報の正確性、確実性あるいは完結性をみずほ銀行が表明するものではありません。
    また、個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
    最新の情報をご確認のうえ、ご自身でご判断いただくようお願いいたします。

監修者

内山 貴博

内山 貴博

  • 1級FP技能士
  • CFP

大学卒業後、証券会社の本社で社長室、証券業務部、企画グループで5年半勤務。その後FPとして独立。金融リテラシーが低く、資産運用に保守的と言われる日本人のお金に対する知識向上に寄与すべく、相談業務やセミナー、執筆等を行っている。
日本証券業協会主催「投資の日」イベントや金融庁主催シンポジウムで講師等を担当。
2018年に日本人の金融リテラシー向上のためのFPの役割について探求した論文を執筆。

HP:https://uchiyama-fp.com/

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