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代表取締役と社長の違いは? 取締役・CEOなど似ている言葉もまとめて解説

掲載日:2025年3月21日起業準備

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代表取締役と社長は兼任されることが多く、混同されやすい役職です。しかし、法律上では明確な違いがあり、権限や役割を区別できていないと契約や登記で戸惑うことがあったり、思わぬトラブルの原因につながったりします。

本記事では、代表取締役と社長の違いの他、CEOなどの混同されがちな言葉との違いを分かりやすく解説します。また、社長以外の役職者を代表取締役とする際の注意点も紹介します。

代表取締役と社長の違い

代表取締役と社長は混同されがちな言葉ですが、定義は全く異なります。また、会社によっては代表取締役会長などの役職も存在します。それぞれの法的定義と代表権の有無、選定される人数の面から違いを整理しておきましょう。

代表取締役とは

代表取締役とは、会社の代表権を有する人です。会社の代表者として契約締結などが可能です。

会社法で定義されている役職で、代表取締役を含め、取締役は任期や報酬も法律で定められています。代表権を有しますが一人である必要はなく、一つの会社に複数人の代表取締役が選定されることもあります。

なお、指名委員会等設置会社では代表取締役が存在しないため、選任は必要ありません。

社長とは

社長とは、社内で決められている役職であり、会社法やその他の法律での定めはありません。また、社長という役職自体には、代表権はありません。

例えば、社長の他に「代表取締役会長」という立場の人がいる場合は、当該代表取締役会長が代表者として契約の締結を行うことになります。社長が代表権を有する場合は、代表取締役社長という肩書になります。

法的に人数の定めはありませんが、会社のトップとして1人であることが一般的です。

その他の役職との違い

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他にもCEOなど混同されやすい役職について、主に法の定めの有無、代表権の有無、従業員に該当するかどうかの観点から解説します。

法の定め 代表権 従業員に該当するかどうか
代表取締役

会社法

あり

該当しない

社長

なし

なし

該当しない

CEO

なし

なし

該当しない

取締役

会社法

なし

該当しない

役員

会社法

なし

該当しない

執行役員

なし

なし

該当する

執行役

会社法

なし

該当する

なお、根拠法と代表権の有無は、日本国内の法律での定めとします。また、従業員に該当するかどうかは原則であり、該当しない役職であっても業務内容や権限等の実態によって従業員とみなされるケースもあります。

CEO

CEO(Chief Executive Officer/最高経営責任者)は、経営方針の策定など経営面のトップです。アメリカの会社法で定められた役職であり、日本の会社法には定義されていません。

代表取締役には執行の権限がありますが、CEOには執行の権限はありません。CEOはあくまで経営の責任者であり、業務執行はCOO(Chief Operating Officer/最高執行責任者)が統括しています。

日本国内では1990年代から使われ始めた役職ですが、CEOをはじめとするCXO(Chief X Officer/最高〇〇責任者)の各役職について法的な定めがないため、会社ごとに権限や役割範囲が異なります。

例えば、代表取締役社長をCEOとしている会社もあれば、社長とは別にCEOを設けている会社や、事業部門ごとの事業責任者をCEOとしている会社もあります。なお、CEOは従業員には該当しません。

取締役

取締役とは会社の経営責任者であり、経営方針などの決定権を持つ役職です。会社法に定義されており、以下の規定があります。

  • 公開会社*1では3名以上、非公開会社*2では1名以上を置かなければならない
  • 選任は株主総会の決議によって行う

取締役は従業員には含まれませんが、従業員としての業務を兼任する場合は使用人兼務役員として従業員とみなされる場合もあります。また、取締役のうち代表権を有する取締役が、代表取締役となります。

  • *1)公開会社…発行する全部または一部の株式について、譲渡制限のない株式を発行できる旨を定款で定めている株式会社。譲渡制限のない株式は、株主が自由に譲渡・取得できる。
  • *2)非公開会社…発行するすべての株式について、譲渡制限を設けている株式会社。株主は株式会社の承認がなければ、株式の譲渡・取得を行えない。

役員

役員とは、以下の3役を総称して指す言葉です。

  • 取締役
  • 会計参与
  • 監査役

会計参与とは、取締役と共同して貸借対照表などの計算関係書類を作成する役職です。会社の株主や債権者等の請求に応じて、計算関係書類を開示する職務も担っています。会計参与は一定の条件に該当する企業で選任義務があり、株主総会で選任されます。

監査役とは、取締役や会計参与の業務を監視する役割を持つ役職です。株主総会で選任され、会社や役員、取締役等に違法行為があった場合に、違法行為の差し止め請求や訴訟を行うことができます。

いずれの役職も会社法で定められていますが、会社の形態や事業規模によっては選任義務がありません。また、これらの3役は、いずれも従業員には含まれません。

なお、会社法では役員の3役に執行役(後述)と監査人を含む5役を「役員等」と定めています。

執行役員

執行役員は取締役会で決定された方針にしたがって施策を実行する役割を持つ役職です。会社法に定めはなく、社内の役職として置かれます。また、役員という言葉が入っていますが会社法上の役員には該当せず、原則として従業員として扱われます。

執行役員は一般的には事業部門の事業責任者として置かれますが、業務や職責は会社によって異なります。執行役員を置くことで取締役を執行業務から切り離し、経営の意思決定など管理業務に集中させることが可能です。

コーポレートガバナンスの観点から執行役員を設置する企業は増加傾向にあります。経済産業省が2020年に実施した調査では、上場企業の8割以上が執行役員を設置していると回答しました。

執行役

執行役は、取締役会で決定された方針にしたがって施策を実行する役職です。会社法に定められた役職で、指名委員会等設置会社※1においてのみ設置されます。

執行役を選任するのは取締役会です。また、執行役が複数名存在する場合は、その中から代表執行役も選任されます。代表執行役は代表取締役と同じく企業の代表権を有し、代表者として契約締結等を行うことができます。

  • *1)指名委員会等設置会社…指名委員会、監査委員会および報酬委員会を置く株式会社。代表取締役は設置されない。

代表取締役、社長の選定方法

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代表取締役と社長は選定方法にも違いがあります。代表取締役は選定方法も法律に定めがありますが、社長の選定については定めがありません。ここでは、法律で規定された代表取締役の選定方法と、社長選定の一般的な方法について解説します。

代表取締役の選定方法

代表取締役の選定方法は、取締役会を設置しているかどうかで異なります。取締役会を設置している会社の場合は、原則として取締役会で選定します。ただし、定款に定めをした場合は、株主総会の決議によって選定することも可能です。

一方、取締役会を設置していない会社の場合は、取締役が代表取締役となります。取締役が複数いる場合は全員が代表取締役となりますが、定款、取締役の互選、株主総会の決議のいずれかによって特定の取締役を代表取締役として選定することも可能です。

社長の選定方法

社長の選定方法については、法律的な定めがありません。そのため会社によって選定方法は異なり、家族経営などごく小規模な会社では、特段の手続きを経ず、口頭での伝達や合意によって選定されることもあります。

ある程度の規模がある企業でも、現職社長の指名によって次期社長が内定するケースがあります。ただし、その場合は、株主総会や取締役会での推薦や承認の手続きを経て社長に就任することが一般的です。

社長が代表権を有する場合は、選定と合わせて登記変更等の手続きが必要です。また代表権を有しない場合でも、社内外への連絡を行いましょう。

代表取締役を社長以外にするときは注意

社長は会社のトップであるため、一般的に代表取締役と混同されやすい役職です。そのため、社長以外の人を代表取締役として選定する場合は、社外の人に混同されないように注意を払わなければなりません。

例えば、代表取締役でない社長が契約を締結した場合、「社長が代表権を有していない(=代表取締役ではない)」ことを相手方が知らなければ、代表取締役が契約したものとみなされます。この場合は契約が有効となり、会社には契約を履行する義務が発生します。

まとめ

代表取締役と社長は、法律に定めがあるかどうかが大きな違いです。兼任されることも多いですが、契約締結などの際は代表権を持つ人が誰なのかを確認するようにしましょう。

代表取締役をはじめとする取締役の情報は、法人口座を開設するときにも必要となるため、違いを理解して正しく対応することが重要です。

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  • *本稿に含まれる情報の正確性、確実性あるいは完結性をみずほ銀行が表明するものではありません。
    また、個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
    最新の情報をご確認のうえ、ご自身でご判断いただくようお願いいたします。

監修者

内山 貴博

内山 貴博

  • 1級FP技能士
  • CFP

大学卒業後、証券会社の本社で社長室、証券業務部、企画グループで5年半勤務。その後FPとして独立。金融リテラシーが低く、資産運用に保守的と言われる日本人のお金に対する知識向上に寄与すべく、相談業務やセミナー、執筆等を行っている。
日本証券業協会主催「投資の日」イベントや金融庁主催シンポジウムで講師等を担当。
2018年に日本人の金融リテラシー向上のためのFPの役割について探求した論文を執筆。

HP:https://uchiyama-fp.com/

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