地方銀行で法人口座を開設する方法は? メリットや他の銀行との違いを解説
掲載日:2025年3月21日法人口座

地方銀行とは、本店を置く各都道府県を中心に営業を行う銀行のことです。地方銀行には都市銀行(メガバンク)や信用金庫とは違う特徴があり、法人口座を開設することによって受けられるメリットも異なります。
本記事では、地方銀行で法人口座を開設するメリットやデメリットの他、開設手順や地方銀行での法人口座開設に向いている法人の特徴も解説します。
目次
地方銀行とは
地方銀行とは、一般社団法人全国地方銀行協会に所属し、本店がある都道府県内を主な営業エリアとする普通銀行のことです。
地方銀行とは別に、第二地方銀行という銀行もあります。第二地方銀行は、かつて中小企業専門で業務を行っていた相互銀行が普通銀行に転換したもので、一般社団法人第二地方銀行協会に所属しています。
第二地方銀行と区別するために、地方銀行を第一地方銀行と呼ぶこともあります。
地方銀行で法人口座を開設するメリット

地方銀行での法人口座開設には、以下のメリットがあります。
- 個別の事情に沿った相談に乗ってもらいやすい
- 地域の人脈形成につなげやすい
それぞれ詳しく解説します。
個別の事情に沿った相談に乗ってもらいやすい
地方銀行は顧客ニーズに合わせたサービスを拡充しています。地域特性や地域の課題を把握しているので、問題点の洗い出しや解決策の相談がしやすいでしょう。
例えば、地域に根ざした事業運営にはその地域の人口や経済状況が大きく影響します。人口流出や経済発展に課題を抱える自治体も少なくないため、販路拡大や顧客獲得を考えた際、そういった地域の課題を前提として相談が可能です。
また、地方銀行では、事業成長性や事業内容を考慮して融資審査を行っています。一般的に融資審査は決算書に基づく実績が重視される傾向にありますが、地方銀行なら売上が小さい創業期の企業でも、将来性を加味して融資を受けられる可能性があります。
ただし、個別相談やビジネス面でのサポートについては、地方銀行以外でも実施されています。例えば、メガバンクでも創業期の事業者への支援に力を入れていたり、手厚いサポートを用意していたりするケースがあります。銀行を選ぶ際には、受けられるサポートを比較して慎重に判断しましょう。
地域の人脈形成につなげやすい
地方銀行は、創業支援として大学や商工会議所と事業者とのマッチングイベントを開催したり、地域イベントに協賛したりしています。
地方銀行で法人口座を開設することをきっかけに、地域イベントに企業として参加してみると、地域のコミュニティと交流できる機会が多く得られて、人脈形成につながりやすくなります。
また、地方銀行は地域での高い知名度があるため、法人口座を持っていることで取引先に地元密着の企業であることをアピールできます。
地方銀行で法人口座を開設するデメリット
地方銀行で法人口座を開設するデメリットには以下の内容が考えられます。
- ATMや支店の対応エリアが限られている
- 融資条件が設定されている場合がある
それぞれ詳しく解説します。
ATMや支店の対応エリアが限られている
地方銀行は、本店を置く都道府県内に支店が集中しています。そのため、対応エリア外に事業所や取引先がある場合は、ATM利用の際に利便性が下がる可能性があります。
また、指定の範囲外に事業所を構えている場合は、口座開設自体が申し込めない可能性もあります。事業規模を拡大し他エリアへの進出を予定している場合は、最初から全国展開している銀行を選んだり、併用したりすることを検討しましょう。
融資条件が限定されている場合がある
地方銀行の融資商品の中には、営業エリア内に事業所を置いていることや、地元独自の産業に関する認定を受けていることを条件としているものもあります。また地域やローンの種類にもよりますが、平均するとメガバンクよりも金利が高めに設定されています。
融資審査を通過するには、その銀行の法人口座を持っており、かつ入出金の履歴からある程度の事業実績が確認できることが重要です。融資を申し込む段階になって初めて法人口座を開設してもすぐには融資を受けられない可能性が高いでしょう。
将来的にまとまった額の融資を検討しているなら、法人口座を開設する段階で融資を受けることも視野に入れて銀行を選ぶことをおすすめします。
信用金庫やネット銀行との比較
地方銀行とネット銀行を比較すると、口座開設審査は地方銀行の方がネット銀行より厳しい傾向があります。しかし、地域での信用や知名度は地方銀行の方が高い傾向があり、地方銀行の法人口座を持っていることで商談がスムーズに進む可能性もあります。
また、ネット銀行は店舗を持たずに営業している場合も多いため、個別の窓口相談は地方銀行の方がしやすいでしょう。
地方銀行と信用金庫はともに地域での事業に強い金融機関ですが、営業範囲は地方銀行の方が広域であることが一般的です。また、地方銀行の方が高額の融資を受けやすく、金利も低い傾向があります。
ただし、信用金庫は非営利機関のため、会員の利益を優先して事業を行っています。そのため、個人事業主や小規模企業には信用金庫の方が向いているといえるでしょう。
地方銀行の法人口座はこんな法人におすすめ

地方銀行の法人口座は、以下のような法人におすすめです。
- 将来にわたってその地域で事業を行いたい
- 経営について細かい相談に乗って欲しい
将来にわたってその地域で事業を行いたい
地方銀行は地域のネットワークに強く、地域で事業をしている事業者への信用もあります。そのため地方銀行の法人口座を作ることでコミュニティに参加するきっかけを得やすくなり、取引のチャンスにもつながります。
また、地方銀行の行員の転勤範囲は、支店のある地域内に限られるため、担当者との長期的な信頼関係を築きやすいです。信頼関係を構築することで、個々の事情に応じた助言を受けたり、新規顧客の紹介につながったりすることが期待できます。
経営について細かい相談に乗って欲しい
地方銀行では、個々の事情を汲んだ細かい経営相談を受け付けています。経営支援の動きは個々の銀行の営業活動によるだけでなく、金融庁や全国地⽅銀⾏協会が主体となって推進しているものです。
創業や新事業立ち上げ、事業改善など、様々な課題に寄り添った対応を期待できるでしょう。
地方銀行で法人口座を開設する手順
地方銀行で法人口座を開設する手順を解説します。銀行によって手続きの詳細は異なるので、各銀行のウェブサイトなどで確認してください。
必要な書類と情報
法人口座開設の際には、主に以下の書類や情報の提出を求められます。
- ①法人の印鑑登録証明書と法人の印鑑(代表印)
- ②登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
- ③手続きする方の本人確認書類
- ④株主名簿など実質的支配者の確認ができる書類
- ⑤主たる事業の許認可証、ウェブサイトURLなど事業内容や事業実態の分かる書類
なお、提出方法は銀行によって異なります。
必要書類については、次のみずほ銀行のウェブサイト内「法人口座の開設のお手続き」のページで詳しく解説しています。
口座開設の流れ
地方銀行で法人口座を開設する際の、一般的な手順は以下の通りです。
- 1.来店予約
- 2.来店・書類提出・面談(事業内容や口座開設目的など)
- 3.審査
ネットで口座開設が可能な地方銀行もあるので、法人口座開設を考えている銀行のウェブサイトなどで確認しましょう。
地方銀行で法人口座を開設する際の注意点
地方銀行で法人口座を開設する際は、以下の点に注意しましょう。
- 事業拡大予定エリアでも営業しているかを確認する
- 本社事務所が審査条件に合致しているか確認する
地方銀行で法人口座を開設する場合、銀行の営業エリア外に法人本社があると審査対象外となることがあります。事業所近くの銀行であればほぼ心配はありませんが、もし遠方の銀行に口座開設を申し込む場合は、あらかじめ銀行のウェブサイトで申込条件を確認しておきましょう。
また、必要に応じて、他の銀行との併用も検討すると良いでしょう。事業所の近くに支店がない場合でも、来店不要で口座開設ができる銀行であれば支店へ足を運ぶ必要がありません。
将来的に融資を受けることを想定している場合は、地域担当のフォロー体制があるメガバンクも候補に加えることをおすすめします。
まとめ
地方銀行の法人口座開設は、地域に根差した事業をするうえでのメリットが多くあります。しかし、事業拡大をめざすなら全国展開しており融資額も大きいメガバンクとの取引も重要です。
将来的な企業の成長も考えて銀行を選ぶなら、みずほ銀行がおすすめです。
みずほ銀行なら、オンラインでも法人口座の開設が可能で、来店の必要がありません*。また、創業間もない企業が利用しやすい優遇措置や、豊富なビジネスサポートサービスも充実しています。創業期はもちろん、事業成長に伴うあらゆるフェーズで支援を受けることが可能です。
- *一部来店が必要となるケースもございます。
- *本稿に含まれる情報の正確性、確実性あるいは完結性をみずほ銀行が表明するものではありません。
また、個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
最新の情報をご確認のうえ、ご自身でご判断いただくようお願いいたします。
監修者

内山 貴博
- 1級FP技能士
- CFP
大学卒業後、証券会社の本社で社長室、証券業務部、企画グループで5年半勤務。その後FPとして独立。金融リテラシーが低く、資産運用に保守的と言われる日本人のお金に対する知識向上に寄与すべく、相談業務やセミナー、執筆等を行っている。
日本証券業協会主催「投資の日」イベントや金融庁主催シンポジウムで講師等を担当。
2018年に日本人の金融リテラシー向上のためのFPの役割について探求した論文を執筆。