法人口座の開設が断られることはある?実態や手続きのポイントを解説
掲載日:2025年2月10日法人口座

事業の法人化に際して、用意したいものの一つが金融機関の法人口座です。金融機関に法人口座があると、社会的ステータスが得られる、事業に便利なサービスを利用できる等、様々なメリットがあります。
しかし、法人口座の開設は審査が厳しいと聞き、開設ができるか不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、事業者の方々が法人口座をスムーズに開設するために、知っておくと便利な手続きのポイントを紹介します。
法人口座の開設を断られることはある?
法人口座の開設は、法人としての事業必須ではありません。しかし、今後融資を受ける可能性や資産管理等の観点から、安定した事業運営を実現するために用意しておく方が望ましいでしょう。
しかし、「法人を新設したばかりだと断られやすい」等の話を耳にし、開設できるかどうか懸念している方もいるかもしれません。
以下では、法人口座の開設の実態について解説します。
不正利用防止を目的に審査が厳格化している
金融機関の法人口座の開設で、以前よりも審査が厳しくなり、手続きが煩雑化しているのは事実です。審査が厳格化された理由は、法人口座の不正利用を防ぐためです。
法人口座に限った話ではありませんが、近年、振り込め詐欺や還付金詐欺等の犯罪で、犯罪資金のやりとりに金融機関の口座が利用されるケースが増えています。
個人口座より信頼性の高い法人口座はターゲットになりやすく、口座の売買やマネー・ローンダリング等に利用される懸念がぬぐえません。
世界的な犯罪資金の規制強化の流れから、2018年、金融庁は「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」を公表しました。
このガイドラインによりテロ資金供与を防止するための規制が強化され、金融機関での法人口座開設の審査が厳しくなり、提出書類の増加や手続きの煩雑化が進んだ背景があります。
法人口座の開設は新設法人でも可能
法人口座の開設を検討するタイミングは、多くの場合、法人を新規に設立するときでしょう。しかし、起ち上げ間もない法人だと事業実績が乏しいことから、審査に不利に働くと懸念を持つ方もいるでしょう。
しかし、審査は法人の設立年や資本金、実績のみで判断されることはありません。金融機関によっては、新設法人や小規模な法人に対し、積極的に支援を行っているケースもあります。
法人口座を開設できるかどうかの判断は、金融機関ごとの基準に沿って総合的に判断されます。金融機関のウェブサイトには法人口座の開設条件や方法が記載されているため、あらかじめ確認しておきましょう。
法人口座の開設を断られる理由
法人口座開設の審査に通らなかったとしても、金融機関からは理由を開示されないのが一般的です。
先述の通り、口座開設の可否は、金融機関ごとに定められた複数の基準を基に総合的に判断されます。そのため、口座開設できない理由は一概に推測できませんが、申込書の申告内容に不備や虚偽がある場合、開設条件を満たしていない場合は開設がむずかしいと考えられます。
また、インターネットからの申込が普及してきた昨今は、店舗とインターネットで申込対象の条件が異なる金融機関もあります。
例えば、みずほ銀行は法人口座の開設をインターネットからも申し込めますが、以下に該当すると店舗で申し込むことになります。
- 1.個人事業主または(任意)団体の方
- 2.普通預金口座以外の口座開設を希望する方
- 3.既にみずほ銀行に法人口座を持っている方
- 4.店舗での申込手続、面談を希望する方
- 5.登記上の本店所在地(設立国)が日本以外の方
法人口座の開設申込にあたっては、申込に関わる条件や準備すべき書類を事前に把握しておくことが大切です。
法人口座を開設できないときのデメリット

法人口座を開設できず個人口座で事業を行うときには、口座の違いがデメリットとなる可能性があります。
社会的な信用度が下がる
法人口座を開設するには、事業の内容や実績等に関する金融機関の審査を通過する必要があります。つまり、法人口座を持つことは、金融機関による厳格な審査を通過した証となり、社会的なステータスともなるのです。
反対に、法人口座を持たない事業者は、法人口座を持つ事業者に比べて社会的な信用度が低いと判断される一因となることも考えられます。大企業や官公庁とのビジネスチャンスを狭める場合もあるでしょう。
融資や補助金制度を受けにくくなる
金融機関に融資を申し込もうと思っても、その金融機関の法人口座がないと融資を受けられません。
また、公的機関や自治体による補助金制度は、法人口座の所有が申込条件となっている場合もあり、資金繰りの選択肢が減る可能性もあります。特に起業したばかりの事業は運転資金の確保が重要となるケースも多いため、法人口座の開設ができることが望ましいでしょう。
会社の資産管理が複雑化する
個人事業主からスタートした小規模な事業だと、法人口座の開設は必要なく、個人口座でも事足りると考える方もいるかもしれません。しかし、個人口座で法人のお金を管理すると、事業の資金と個人の資金の仕分けが煩雑になり、事業のお金の流れや経営状態を把握しづらくなります。
事業と個人のお金を仕訳すると会計処理が複雑化し、決算時に税務上の負担や手間が増すなどのデメリットにつながる場合もあります。
法人名義のカードを作れない
法人口座を開設すると、法人名義でクレジットカードやデビットカードを作れるようになります。法人名義のカードがあれば、仕入れや事務用品の購入など、事業にかかる経費を必要なタイミングでカード決済できます。
金融機関の法人用カード発行には一般的に法人口座が必要です。個人名義のカードだと、事業用資金として会計処理する際の手間が増す懸念があります。
法人口座の手続きのポイント
金融機関で法人口座を開設するときに、手続きをスムーズにすすめるポイントを紹介します。
必要書類を早くから準備して不備がないよう確認する
事業内容の確認のほか、不正利用を防ぐ観点から、法人口座を開設するためには複数の書類を準備しなければなりません。
申込の必要書類は金融機関によって異なりますが、例として以下のような書類が挙げられます。
- 1.本人確認書類
- 2.履歴事項全部証明書
- 3.法人の印鑑証明書
- 4.法人設立届出書
書類によっては法務局での発行が必要等、すぐに用意しづらい場合もあるため、早めに準備を始めておきましょう。
提出書類がそろっていない、記載内容に誤りがある等、必要書類の不備は、審査に通る可能性を低くする原因になります。
事業内容や口座の必要性を明確にする
法人口座を開設する審査では、金融機関の担当者に、事業内容や事業の目的を説明する機会(面談)を設けられるのが一般的です。
誰にでも明確に説明できるように、事前に話す内容や伝え方を入念に準備しておくことが大切です。
法人口座の開設ならみずほ銀行がおすすめ
法人口座の開設をご検討中なら、手間や負担が少ないインターネットで開設申込を受け付けているみずほ銀行がおすすめです。
みずほ銀行の「法人口座開設ネット受付(来店不要・ウェブ面談)」なら、夜間や休日のお申込にも対応し、面談日時の調整も電子メールで手軽に行えます。また、様々なビジネスに精通した口座開設専門部署がウェブ面談を担当するため、安心して審査を受けられるでしょう。
必要書類は、インターネットからのお申し込み時点で登記事項証明書(履歴事項全部証明書など)と代表者の名前・住所・生年月日等が確認できる書類、ウェブ面談までに本人確認書類と実質的支配者が確認できる書類(株主名簿、有価証券報告書など)です。
まずは法人口座開設の申込条件をご確認のうえ、みずほ銀行の「法人口座開設ネット受付(来店不要・ウェブ面談)」をぜひご利用ください。
まとめ
金融機関での法人口座の開設は、口座の不正利用防止の観点から、以前よりも厳格化されています。
ただし、法人口座だから、新規に設立した事業だからといった理由で、口座開設の審査がむずかしくなるわけではありません。申込条件を満たす、求められる書類を不備なく提出する、金融機関の担当者に事業内容を分かりやすく伝える等、事前に確認や準備を基に行動すれば口座開設はスムーズに進むでしょう。
法人口座の開設なら、「法人口座開設ネット受付(来店不要・ウェブ面談)」で手間や負担をかけずにお申し込みできるみずほ銀行がおすすめです。
みずほ銀行の法人口座利用者には、無料で使える便利なサービスが多数あります。会計処理の負担を減らせるほか、事業拡大のサポートとしてご活用いただけます。
- *本稿に含まれる情報の正確性、確実性あるいは完結性をみずほ銀行が表明するものではありません。
また、個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。
最新の情報をご確認のうえ、ご自身でご判断いただくようお願いいたします。
監修者

内山 貴博
- 1級FP技能士
- CFP
大学卒業後、証券会社の本社で社長室、証券業務部、企画グループで5年半勤務。その後FPとして独立。金融リテラシーが低く、資産運用に保守的と言われる日本人のお金に対する知識向上に寄与すべく、相談業務やセミナー、執筆等を行っている。
日本証券業協会主催「投資の日」イベントや金融庁主催シンポジウムで講師等を担当。
2018年に日本人の金融リテラシー向上のためのFPの役割について探求した論文を執筆。