株式会社設立を自分で行うには?必要な手続きと費用、注意点を分かりやすく解説
掲載日:2026年6月26日起業準備
株式会社の設立は、専門家に依頼するだけでなく、自分で手続きを進めることも可能です。費用を抑えつつ、自社の立ち上げに主体的に関わりたい方にとって、設立作業を自ら行うことには一定のメリットがあります。一方で、設立には法律に基づいた手続きや書類作成が必要となるため、全体の流れを把握したうえで、どこまでを自分で対応するかを判断することが重要です。
本記事では、株式会社設立を自分で進める際に必要となる基本的な準備・手続きの流れと、設立後に必要な実務対応について、分かりやすく整理しています。
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株式会社設立を自分で行う場合の全体像
株式会社とは、出資者(株主)と経営者(役員)が分かれている法人形態であり、出資者の責任は出資額の範囲に限定されます。信用力や資金調達の面で一定の評価があり、広く利用されている設立形態の一つです。
株式会社の設立手続は、代理人を立てずに申請人自身が進めることも可能です。ただし、手続きは工程が複数あるため、必要書類・順序・提出先を事前に整理して進めることが重要です。
株式会社設立の主な流れは、以下の通りです。
- 1.基本事項の決定(会社名・所在地・事業内容・役員構成等)
- 2.定款の作成と認証(会社のルールを文書化し、公証人の認証を受ける)
- 3.出資の払い込み(発起人名義の口座に資本金を入金)
- 4.設立登記の申請(法務局に必要書類を提出)
これらの手続きは、要件や書式の確認を含め、丁寧に進める必要があります。専門家を介さずに進める場合は、各工程における注意点を押さえながら、誤りのないように進行することが大切です。また、作業にかかる時間や難易度は個々の状況によって異なります。すべてを自身で対応するか、一部を専門家に委ねるかは、事業の立ち上げスケジュールやリソースに応じて判断するのが現実的といえるでしょう。
株式会社設立にかかる主な費用
株式会社を設立する際には、いくつかの法定費用が発生します。登録免許税や定款認証手数料等は、手続きを自社で行う場合でも発生します。
代表的な費用項目は以下の通りです。
-
登録免許税
法務局での設立登記に際して納める税金です。株式会社の場合、資本金の0.7%または15万円のいずれか高い方が適用されます。多くのケースでは15万円が最低額として発生します。 -
定款認証にかかる費用
株式会社では、作成した定款について公証人の認証を受ける必要があります。認証手数料は資本金の額等により3万円/4万円/5万円に区分されます。 -
収入印紙代(紙定款の場合)
定款を紙で作成した場合、収入印紙代として4万円が必要になります。一方で、電子定款を利用すればこの費用は不要となるため、設立費用の削減につながります。
会社形態により登録免許税の最低額等が異なります。税率・最低額といった基本ルールは法令に基づくため共通ですが、個別の状況(資本金、軽減措置の適用有無等)で金額は変動します。また、自分で手続きを行う場合には、司法書士等への報酬は発生しないため、その分の費用を抑えることが可能です。
ただし、手続きを進めるうえでは、登記申請書や添付書類の作成、法務局とのやり取り等に一定の時間と労力がかかるため、全体像を踏まえたうえで準備を進めることが求められます。
参考:登録免許税:国税庁、定款の認証に要する費用:日本公証人連合会、印紙税額の一覧表:国税庁
株式会社設立に必要な手続きの流れ
株式会社を設立するには、いくつかの手続きを決められた順序で進める必要があります。ここでは、各工程の概要と、それぞれのポイントを簡潔に整理します。
1. 基本事項の決定
会社名(商号)・本店所在地・事業目的・資本金の額・役員構成等、会社の設立に必要な基本情報を決定します。これらの情報は、定款の作成や登記に反映されるため、早い段階で明確にしておくことが重要です。
2. 定款の作成と認証
決定した内容を基に、会社の基本ルールを定めた定款を作成します。株式会社の場合は、この定款を公証人役場で認証を受ける必要があります。
定款は紙で作成することもできますが、電子定款を選択することで収入印紙代(4万円)を節約することが可能です。電子定款で手続きする場合は、電子署名等の準備が必要となるため、事前に必要要件を確認します。
3. 資本金の払い込み
定款認証後、出資の払い込みを行い、払い込みの事実を証する資料を整備します。払い込みの事実を証する書面を、登記申請の添付書面として準備します。払い込みの事実が客観的に確認できる方法(記録が残る方法)で行い、証憑を整備するのが実務上良いでしょう。
4. 設立登記の申請
必要書類一式をそろえたうえで、会社の本店所在地を管轄する法務局に対して設立登記を申請します。会社の設立年月日は、登記所が設立登記申請を受け付けた日として登記されます。
登記後は、登記事項証明書や会社印鑑証明書を取得することで、銀行口座開設や各種届出等に進むことができます。
このように、株式会社の設立には複数の工程がありますが、それぞれの手続きを順番に進めていくことで、手続き全体の見通しが立てやすくなります。
自分で株式会社を設立する際の注意点
株式会社の設立手続きは、自分で進めることも可能ですが、進行にあたってはいくつか注意すべきポイントがあります。手続きそのものは制度として整備されていますが、細かな要件や書式を正確に満たす必要があるため、事前の確認と準備が重要です。
-
書類の不備や記載ミスへの注意
設立登記では、申請書と書面(定款、払い込みを証する書面、印鑑届出書等)が必要となり、様式・要件に沿って提出します。記載誤りや添付漏れがある場合、補正等が必要となり、手続きが予定どおり進まない可能性があります。 -
手続き全体のスケジュール管理
定款認証から登記申請までにはいくつかのステップがあり、それぞれに所要日数や受付時間があります。公証人役場や法務局の予約、処理時間等も考慮し、スムーズに進めるためには全体のスケジュールをあらかじめ立てておくことが望ましいです。 -
設立後の各種手続きへの対応
法人を設立した後も税務署・都道府県・市区町村への届け出や、社会保険の手続き、銀行口座の開設等、事業開始に向けた実務が続きます。設立をもってすべてが完了するわけではない点に留意が必要です。
設立手続は一つひとつは難解ではありませんが、抜け漏れがあると手戻りが発生しやすいため、事前準備と段取りを整えたうえで、計画的に進めることが重要です。
自分で行う範囲と、委託を検討する範囲を見極める
設立に必要な手続きをすべて自分で行うことも可能ですが、状況に応じて一部を専門家に任せるという選択肢もあります。例えば、定款認証の電子化や登記申請書類の作成サポート等、手間のかかる部分だけを外部に委託することで、設立時の負担を軽減することもできます。
手続きをすべて自分で行うことには、費用を抑えられるというメリットがありますが、その反面、書類作成や手続きにかかる時間や手間も無視できません。
例えば次のようなケースでは、部分的または全体的に専門家へ依頼することも現実的な選択肢となります。
- 設立スケジュールに余裕がなく、手続きを迅速に済ませたい場合
- 電子定款の対応や登記書類の準備に不安がある場合
- 設立後すぐに事業を立ち上げ、営業や資金調達に集中したい場合
「すべて自分でやる」か「すべて任せるか」の二択ではなく、状況に応じて必要な部分だけを委託するという考え方も有効です。
株式会社設立後に必要な手続き
登記が完了すると会社は成立しますが、税務・社会保険等の届け出が未了の場合、実務上の取引開始に支障が出ることがあります。実際の事業運営に向けては、いくつかの重要な手続きが残されています。これらを適切に進めることで、スムーズな事業スタートにつながります。
1. 税務署・自治体等への届け出
設立後には、税務署や都道府県税事務所、市区町村等への書類提出が必要になります。これらの届け出は、会社の経理処理や税務に大きく関わります。期限は書類や自治体によって異なるため、必ず確認を行い期限内に提出することが重要です。
主な届出書類:
| 提出先 | 主な書類 |
|---|---|
|
税務署 |
法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書等 |
|
都道府県税事務所・市区町村 |
法人設立届出書 |
|
年金事務所・労働基準監督署等 |
社会保険・労働保険の適用手続き |
参考:新設法人の届出書類:国税庁、法人事業税・法人都民税:東京都主税局、新規適用の手続き|日本年金機構
2. 社会保険・労働保険への加入
法人事業所は原則として社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入手続が必要です。
また、従業員を雇用する場合は労働保険の手続きも発生します。労災保険は原則加入対象となり、雇用保険は適用要件に該当する労働者がいる場合に手続きが必要です。
手続先は、労基署・労働局・ハローワーク等に分かれます。未手続のままの場合、是正や追納等の対応が必要となる場合があります。期限・提出先を確認のうえ、早期に対応してください。
3. 法人口座の開設
資金管理や取引実務の観点から、法人名義口座の開設は一般的です。口座開設時の要件・提出書類は金融機関により異なりますが、登記事項証明書、印鑑証明書、本人確認書類、実質的支配者の確認資料、事業実態資料等を求められる例があります。
オンライン完結の手続きを用意している金融機関もあり、提出方法や必要書類が異なる場合があります。自社の運用(支払い・入金・融資可能性等)を踏まえ、比較検討するとよいでしょう。
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まとめ
本記事では、株式会社設立に必要な手続きや費用の内訳、自分で設立する際の流れと注意点を整理しました。定款の作成や登記申請等、各工程には一定の手間がかかりますが、事前にポイントを押さえることで、計画的に進めることが可能です。
また、電子定款の活用により印紙税を抑えられるほか、会社形態の選択によって登録免許税の最低額等法定費用が異なるため、条件に応じて費用を最適化できます。
一方で、設立後も税務上の届け出や社会保険の手続き等、事業開始に向けた対応が継続します。初期費用だけでなく、手続き対応や運用面の負担も踏まえ、無理のない体制・スケジュールで準備することが重要です。
株式会社設立は、今後の事業展開を支える制度面の基盤となります。自社の状況に応じて、専門家へ委ねる範囲と自社で対応する範囲を整理しながら、確実に準備を進めていきましょう。