決算書とは?作成の目的や種類、財務三表の見方を分かりやすく解説
掲載日:2026年4月15日起業準備
決算書とは、企業の経営成績や財務状態をまとめた書類の総称です。主に、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の3つがあります。
法人は、事業年度ごとに決算書を作成し、法人税等の確定申告の際に提出しなければなりません。また、決算書は、自社の経営や財務状況を把握・分析するためにも重要な役割を果たします。
本記事では、決算書の概要や作成の目的、特に重要度が高いとされる「財務三表」を中心に、決算書の見方を解説します。
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目次
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決算書とは
決算書とは、企業の経営成績や財務状態をまとめた書類の総称です。一般的には「決算書」と呼ばれますが、会社法では「計算書類」、金融商品取引法では「財務諸表」が正式な名称です。
法人は、会社法等の法律に基づいて事業年度ごとに決算を行い、その結果をまとめた決算書を作成しなければなりません。また、作成した決算書を基に、税務申告や決算公告を行う義務があります。
決算書を作成する目的
決算書の作成には主に以下の目的があります。
- 税金を正しく計算・申告する
- 自社の経営状況を把握する
- 外部に事業の状況を報告する
法人は、決算に基づいて法人税の申告書を作成し、決算書とともに、原則として事業年度終了日の翌日から2ヵ月以内に税務署へ提出しなければなりません。適正な申告・納税を行うためには、決算書の作成が不可欠です。
また、決算書を作成することで、客観的な数値に基づき、自社の経営状況を把握・分析できます。利益の状況や財務状態、資金繰り等を確認できるため、今後の事業計画の策定や経営判断に役立てることが可能です。
さらに、決算書は株主や取引先に収支や資産状況を報告する役割を担うほか、金融機関から融資を受ける際の判断材料としても用いられます。
決算書の種類
決算書には主に以下の種類があります。
- 貸借対照表
- 損益計算書
- キャッシュ・フロー計算書
- 株主資本等変動計算書
- 個別注記表
上記の中でも、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書の3つは、「財務三表」と呼ばれる重要度の高い書類です。
なお、実際に作成・提出が必要となる具体的な書類は、法人の規模や提出先等によって異なります。例えば、非上場の中小企業の場合、キャッシュ・フロー計算書の作成は任意ですが、銀行融資の審査では提出を求められるケースが多く見られます。
貸借対照表の概要と見方
貸借対照表は、B/S(バランスシート)とも呼ばれ、ある時点の財務状態(資産・負債・純資産)を示す書類です。
「資産」「負債」「純資産」の3つで構成され、「資産」の額と「負債」「純資産」を合わせた額は必ず一致します(資産 = 負債 + 純資産)。
| 項目 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
|
資産 |
流動資産(現金・預金、受取手形、売掛金等)、固定資産(有形固定資産、無形固定資産等)、繰延資産 |
保有する資産の種類を示す |
|
負債 |
流動負債(支払手形、買掛金、短期借入金等)、固定負債(社債、長期借入金等) |
他人資本によって調達した資金を示す |
|
純資産 |
資本金、利益剰余金等 |
自己資本によって調達した資金を示す |
貸借対照表を見ることで、資金繰りの安定性や借り入れの状況、財務体質を把握できます。その際の目安となるのが、流動比率や自己資本比率等の財務指標です。
流動比率
流動比率とは、短期的な債務に対する企業の支払能力を測る指標です。流動比率は、流動負債(1年以内に支払いが必要な負債)に対する、流動資産(1年以内に現金化される予定の資産)の割合を指します。
流動比率(%) = 流動資産 / 流動負債 × 100
流動比率が高いほど、短期の債務に対して比較的早期に現金化できる資産が多く、資金に余裕があるとみなされます。反対に、流動比率が100%を下回る場合は、短期的な支払能力に不安がある状態とされます。
自己資本比率
自己資本比率は、企業の財務体質の強さが分かる指標です。総資本(自己資本と他人資本)のうち、自己資本(純資産から新株予約権と非支配株主持分を控除したもの)が占める割合を示します。
自己資本比率(%) = 自己資本/ 総資本 × 100
自己資本は、返済が必要な負債(他人資本)とは異なり、返済義務のない資金です。そのため、自己資本比率が高いほど、財務の安定性が高いことを示します。
損益計算書の概要と見方
損益計算書は、別名「P/L(Profit and Loss Statement)」と呼ばれ、一定期間の経営成績を示す決算書です。収益から費用を差し引くことで、企業の利益額を把握できます。
また、利益や損失がどのような要因によって生じたのかも把握できるため、経営改善や今後の事業計画の策定にも役立ちます。
損益計算書では、収益と費用を性質に応じて分類し、以下の5つの段階で利益を求めます。
- 売上総利益
- 営業利益
- 経常利益
- 税引前当期純利益
- 当期純利益
売上総利益
売上総利益は、企業の営業活動で得られた売上高から売上原価を差し引いた金額で、「粗利益」とも呼ばれます。
売上高 - 売上原価 = 売上総利益
また、売上総利益を売上高で割ったものが「売上総利益率(粗利益率)」です。売上総利益率は、企業の収益性を判断する基本的な指標の一つであり、この割合が大きいほど収益性が高いことを示します。
営業利益
営業利益は、売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いた金額で、本業の営業活動による利益を指します。
売上総利益 - 販売費および一般管理費 = 営業利益
販売費および一般管理費とは、企業の営業活動にかかる費用から売上原価を除いたもので、以下のような費用が該当します。
- 人件費
- 旅費交通費
- 広告宣伝費
- 消耗品費
- 減価償却費
- 租税公課
- 交際費など
経常利益
経常利益は、営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いた金額で、本業以外も含む企業全体の利益を指します。
経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用
営業外収益とは、本来の営業活動以外から発生した収益です。主に預貯金の利子や株式の配当金等が該当します。一方、営業外費用は、借入金や社債の利息、為替差損等、営業活動以外にかかった費用を指します。
税引前当期純利益
税引前当期純利益は、法人税等を差し引く前の最終的な利益額です。経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引いて求めます。
税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 - 特別損失
特別利益・特別損失とは、本業とは関係なく、臨時的・例外的に発生した利益や損失です。固定資産売却損益や投資有価証券売却損益等が該当します。
当期純利益
当期純利益は、税引前当期純利益から法人税等(法人税・住民税・事業税)を差し引いた最終的な利益額です。また、税効果会計を適用している会社は、法人税等調整額も差し引きます。
当期純利益 = 税引前当期純利益 - (法人税等 + 法人税等調整額)
計算の結果、損失となった場合は「当期純損失」と表示されます。
キャッシュ・フロー計算書の概要と見方
キャッシュ・フロー計算書とは、企業のキャッシュ(現金・預金等)の流れを把握するための書類で、C/F(Cash Flow Statement)とも呼ばれます。
損益計算書では、売掛金や買掛金等、実際にはまだ現金が動いていないものも計上されるため、実際のキャッシュの動きとは必ずしも一致しません。
一方で、キャッシュ・フロー計算書は実際のキャッシュの増減を計上するため、どれだけキャッシュを生み出したか、なぜ増減したかを把握できます。
キャッシュ・フロー計算書では、企業の活動を「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つに区分して、キャッシュの増減額を把握します。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
本業の営業活動から生じた現金の入出金 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
設備投資、有価証券投資、企業買収等による現金の入出金 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
借り入れや返済、社債の発行や償還、増資等による現金の入出金 |
なお、法律でキャッシュ・フロー計算書の作成が義務付けられているのは、上場企業に限られます。
キャッシュ・フロー計算書の記載項目や作り方について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:「キャッシュ・フロー計算書とは?記載する項目と作り方の基本手順」
株主資本等変動計算書
株主資本等変動計算書とは、貸借対照表の「純資産の部」の変動事由を記載したものです。純資産を株主資本とその他の項目に分けて増減の原因や金額を示すことで、企業の資本構成を把握できます。
会社法により、すべての株式会社および合同会社に株主資本等変動計算書(合同会社は社員資本等変動計算書)の作成が義務付けられています。
個別注記表
個別注記表とは、各計算書類(貸借対照表や損益計算書等)の注記を一覧で表示する書類です。記載する項目は、会計監査人を設置しているかどうかや、公開会社か非公開会社かによって異なります。
個別注記表は、会社法によって作成が義務付けられていますが、独立した書類として作成するほか、各計算書類の末尾に注記として付記する形式も認められています。
決算書の作成手順
決算書は、おおむね以下の流れで作成します。
- ①会計期間中のすべての取引を記帳する
決算書を作成するには、売上入金や仕入代金・経費の支払い等、日々のすべての取引を正確に記帳することが重要です。 - ②決算整理前残高試算表を作成する
総勘定元帳(すべての取引を勘定科目ごとに記録した帳簿)を締め切り、決算整理前残高試算表を作成します。なお、決算整理前残高試算表とは、決算整理の前段階で総勘定元帳におけるすべての勘定を集計したものです。 - ③決算整理を行う
現金過不足の整理や減価償却費の計上等、決算時に必要な調整を行い、帳簿の残高を確定させます。 - ④決算整理後残高試算表を作成する
決算整理後、総勘定元帳におけるすべての勘定を集計した決算整理後残高試算表を作成します。 - ⑤決算書を作成する
貸借対照表や損益計算書等の書類を作成し、原則として株主総会や取締役会で承認を得ます。 - ⑥税金の申告・納税を行う
法人税等の税金を計算し、申告・納税を行います。
法人設立後の適切な資金管理に法人口座の活用を
決算書に基づいて正確な申告・納税を行うためには、適切な資金管理が欠かせません。正確な決算書は、将来的な融資相談の際に重要な判断材料となります。そのため、設立初期から法人口座を活用し、法人と個人の資金を明確に分けて管理しましょう。
法人口座を開設すると、日々の帳簿付けや決算書の記録が正確になり、税務リスクを抑えられます。さらに、経営成績や財務状況の正確な把握につながるため、今後の経営判断や資金繰り計画にも役立ちます。
許認可や補助金の申請、取引先への請求等、実務面でも必要な場面が多いため、設立準備と並行して開設準備を進めるのが望ましいでしょう。
みずほ銀行では、会社設立後3年以内の法人のお客さま限定で、インターネットバンキング「みずほビジネスWEB」の月額利用料が最長5年間無料になる等、創業期向けの特典をご用意しています。
さらに、イノベーティブな事業に取り組むスタートアップ企業(イノベーション企業)向けの会員制サービス「M’s Salon」を運営し、必要不可欠な経営知識、事業遂行ノウハウ、ビジネス拡大機会、資金調達サポート等の提供を行っています。
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まとめ
決算書とは、企業の経営成績や財務状態をまとめた書類の総称で、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書等が該当します。
確定申告の際に提出が必要となるほか、株主や金融機関等の利害関係者に報告する役割を担います。また、決算書を見ることで、収益性や安定性、資金繰りの状況等を客観的に把握することが可能です。決算書の種類や基本的な読み方を把握して、日々の経営に役立てましょう。
来店不要で24時間受付(メンテナンス時間:日曜日 0時00分~9時30分を除く)
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監修者
安田 亮
- 公認会計士
- 税理士
- 1級FP技能士
1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。