会社設立のメリット5選|税務・採用・資金調達・法的責任・信用の観点から解説
掲載日:2025年11月12日法人設立
事業を持続的に成長させるうえで、会社設立(法人化)は重要な経営判断の一つです。会社を設立し法人格を取得することで、取引先や金融機関からの信用力が高まり、税務上の優遇措置や資金調達の選択肢が広がります。また、補助金・助成金の対象拡大や人材採用力の強化等、事業基盤の安定にも直結します。
一方で、会社設立には社会保険料の負担や設立・運営に伴う登記・法務手続き等、一定のコストや義務も発生します。本記事では、会社設立の主なメリットを「節税・資金調達」等5つの観点から整理し、経営判断に役立つ正確な情報を提供します。
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会社設立の主なメリット5選
会社を設立することで得られるメリットは、事業基盤の強化から成長促進まで多岐にわたります。会社設立は、取引先や金融機関からの信用向上、税務上の優遇、資金調達の幅の拡大等、個人事業主では得られない利点をもたらします。
とはいえ、こうした制度上のメリットは漠然と把握しているだけでは経営判断にいかせません。どのような場面でどのメリットが効いてくるのかを理解することで、設立のタイミングや経営戦略の最適化にいかしましょう。
会社設立とは?個人事業との違い
まず、「会社設立」がそもそも何を意味するのかを確認しておきましょう。会社設立とは、法務局への登記によって法人格を取得することを意味します。株式会社や合同会社等の形態を問わず、登記が完了した時点で、会社は個人とは別の独立した存在となります。
個人事業主と法人の主な違いは、次の通りです。
- 税制の仕組み:所得や経費の計上方法、消費税や法人税の制度等、税制面で大きな違いがあります。
- 社会保険の加入義務:従業員の有無にかかわらず、社会保険への加入が義務付けられます。
- 責任の範囲:法人は有限責任であり、原則として出資額を超える責任を負いません。
- 社会的信用性:法人は登記簿謄本によって第三者に存在を証明でき、取引先や金融機関からの信用が高まります。
このように、会社設立は単なる形式の違いではなく、事業運営の仕組みや責任範囲を大きく変える重要な選択です。次章では、会社設立のメリットを税務・財務/労務・採用/資金調達・公的支援/法的責任・継続性/信用・信頼性の5つの観点から分かりやすく整理します。
1. 税負担の軽減【税務・財務】
会社設立によって、個人事業主にはない税務上の選択肢が生まれます。法人は税制上、個人とは別の独立した納税主体として扱われるため、条件を満たすことで税負担の最適化につながる制度を活用できます。
以下は、代表的な制度とその概要です。
-
役員報酬による所得分散
法人は代表者や役員に報酬を支払うことにより、その額を損金(経費)として計上できます。支給額や方法は税務上の規定に沿う必要があります。 -
経費計上の範囲拡大
社宅費用、生命保険料、福利厚生費等、業務との関連性があり社会通念上相当と認められる支出は、法人では損金にできる場合があります。 -
消費税の免税制度(最大2年間)
資本金1,000万円未満で新たに設立された法人は、一定の条件下で設立から最大2年間の消費税免除を受けられます。 -
欠損金の繰越控除
法人が赤字を計上した場合、青色申告等の手続きをすればその欠損金は最大10年間繰り越すことができます。これにより、将来の黒字と相殺することが可能です。
これらの制度の適用可否や運用方法は法令に基づくため、詳細は税務署や税理士等の専門家に確認する必要がありますが、利用することで税務上の負担軽減や資金繰りの改善につながる場合があります。
2. 整備された社会保険【労務・採用】
会社設立により、事業主のみの状態であっても、原則として健康保険と厚生年金保険への加入が義務付けられます(適用除外の例外規定あり)。
社会保険に加入する事業所の範囲(引用:厚生労働省)
これは個人事業主との大きな違いであり、労務管理や採用活動において次のような効果が見込まれます。
- 求人応募時に「社会保険完備」の条件を提示できる
- 採用後も福利厚生面で安心感を与えられる
- 企業型確定拠出年金(企業型DC)や団体保険制度等、福利厚生制度を導入しやすい
これらにより、優秀な人材の確保や離職率の低下につながることが期待されます。ただし、社会保険料は会社と従業員が折半して負担するため、創業初期にはコスト増となる点にも留意が必要です。
3. 対象となる補助金・融資制度の拡大【資金調達・公的支援】
会社設立によって、申請可能な補助金や融資制度の幅が広がります。多くの公的支援制度では、「法人であること」を申請条件としている場合があり、個人事業主では対象外となるケースもあります。
代表的な制度例は以下の通りです。
- IT導入補助金(中小企業の業務効率化支援)
- 小規模事業者持続化補助金(販路開拓費用の一部補助)
- ものづくり補助金(設備投資・製品開発支援)
- 日本政策金融公庫の創業融資(新規事業立ち上げ融資)
- 中小企業経営力強化資金(経営改善・成長支援向け融資)
また、各地方自治体では制度融資や保証付き融資制度を設けている場合があります。法人化によって利用可能な資金調達手段は増えますが、補助金や融資は事業の実態や計画の妥当性が審査されるため、自動的に承認されることはありません。制度の趣旨や要件を十分に理解し、必要に応じて専門家に相談することが重要です。
4. リスクの限定と承継手段の確保【法的責任・継続性】
会社設立の重要な利点の一つが、法的責任の限定(有限責任)と、事業継続の制度的な確保です。
法人は会社と出資者が法的に別人格とされるため、会社が債務を負った場合でも、出資者が負う責任は原則として出資額までに限られます。これが「有限責任」の制度です。一方、個人事業主は「無限責任」であり、事業の借り入れや損失が発生した場合には、私有財産が差し押さえの対象となる可能性があります。
また、法人は代表者が退任しても会社自体は存続し、株式や持分の譲渡、親族への承継、M&Aによる売却等が制度上可能です。
事業承継の構成要素(引用:中小企業庁、事業継承ガイドライン)
これは、上記の画像で示す「資産の承継」(株式、事業用資産、資金等)や「人(経営)の承継」(経営権や後継者の選定)に該当し、事業の継続や資産価値の維持が図りやすくなります。このように、法人化は経営リスクの限定と承継手段の拡大につながり、将来的な事業継続計画や出口戦略(Exit)の選択肢を広げる一手段となるでしょう。
5. 法人登記による公的な証明【信用・信頼性】
会社を設立すると、法人として登記が行われ、法務局により会社の存在が公的に証明されます。これにより、「登記簿謄本(商業・法人登記)」という正式な書類を第三者に提示できます。
この仕組みは個人事業主にはない法人特有の強みで、以下のような場面で信用力の裏付けとして機能します。
- 銀行口座の開設や融資申請
- クレジットカードやリース契約の申請
- オフィスや店舗等不動産賃貸契約の締結
- 企業間の業務委託契約や長期取引契約の締結
また、法人形態は「実態のある組織」として認識されやすく、与信審査や新規取引の判断において信頼性を示しやすくなります。会社設立後は、銀行で法人口座を開設することも取引や資金管理の基盤となり、金融機関の審査を経て開設された口座は、取引先に対して事業の実在性や取引の安全性を示す要素にもなるでしょう。
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会社設立時には、事業用の資金管理体制や税務処理の仕組みを早期に整備しておくことが重要です。特に創業直後は、会計処理や経費精算、取引履歴の整理等、多くの業務が発生します。みずほ銀行では、こうした会社設立時にも最適な資金管理・税務対応・業務効率化を総合的に支援する多彩なサービスを提供しています。
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まとめ
本記事では、会社設立によって得られる主なメリットを信用・信頼性/税務・財務/労務・採用/資金調達・公的支援/法的責任・継続性の5つの観点から解説しました。
会社設立は、社会的信用の向上、税務上の選択肢拡大、採用力強化、資金調達手段の増加、経営リスクの限定と事業継続性の確保等、事業基盤を強化する効果をもたらします。一方で、社会保険料や設立手続きといったコストや義務も伴います。
単なる形式変更ではなく、将来の事業戦略や資金計画に直結する経営上の重要な判断といえるでしょう。