新規事業開発を成功させるために必要なことは?プロセスや役立つフレームワークを紹介
掲載日:2025年9月29日事業課題

新規事業開発は、既存企業の持続的成長やスタートアップ企業の事業展開に欠かせない重要な取り組みです。
新規事業を成功させるには、入念な準備と試行錯誤の繰り返しが不可欠です。自社の強みや市場を詳細に分析し、収益性の見込みを慎重に検討する必要があります。
本記事では、新規事業開発を成功に導くためのアプローチや、アイデア創出に役立つフレームワーク等を解説します。
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目次
新規事業開発とは
新規事業開発とは、市場の変化や顧客ニーズの多様化に対応しながら、新たな収益源を創出して持続的な成長をめざす取り組みです。
具体的には、既存事業とは異なる市場や顧客層に対して新しい製品やサービスを提供することが挙げられます。また、既存のビジネスモデルにとらわれず、新たな収益構造や価値提供の方法を創出する取り組みも含まれます。
既存企業では収益源を多角化するための手段を構築すること、スタートアップ企業では「事業の核」となる領域を確立することが目的となります。
また、スタートアップ企業が新しい技術やアイデアを活用して、既存の市場や顧客に対して新たな価値を提供することも、新規事業開発の一環です。
既存企業にとってもスタートアップ企業にとっても、新規事業の成功は容易ではなく、失敗を想定した複数の試行と、適切なフィードバックの蓄積が欠かせません。
新規事業開発のステップ【準備から販売まで】
新規事業開発は、アイデアの創出から始まり、実際に市場でリリースするまでに様々なステップを踏む必要があります。成功確率を高めるために重要な、各段階で適切なアプローチ方法を解説します。
アイデアの具体化
アイデアの具体化では「誰の、どんな課題を、どのように解決するか」の3要素を明確にすることが重要です。自社商品やサービスのターゲットとなるペルソナを、明確に定めましょう。
ペルソナ設定は、実在の人物をモデルにして詳細に行います。年齢・職業・収入・行動パターン・悩みまで具体的に設定することで、より精度の高い顧客理解が可能になります。
「なぜ」を5回繰り返すファイブワイズ分析を用いて真の課題を発見し、表面的な不満ではなく根本的な問題を特定するのも効果的です。価値提案の差別化においては、競合との違いを明確にし、「なぜ自社でなければならないのか」を説明できるレベルまで具体化しましょう。
市場調査とビジネスプラン作成
市場調査では、顧客がどのような商品やサービスを求めているのかを把握することが重要です。顧客へのインタビューや、クラウドソーシングサービスを活用したアンケート調査等が代表的な方法です。
市場規模を調査する際には、「TAM(Total Addressable Market:全体市場規模)」「SAM(Serviceable Addressable Market:獲得可能市場規模)」「SOM(Serviceable Obtainable Market:当面獲得可能市場規模)分析」等のフレームワークによる分析が効果的です。
競合調査では、直接競合のみならず、間接競合(自社とサービスや商品は異なるが、似た価値やメリットを提供する競合)や、代替手段も含めた包括的な分析を行います。競合の強み・弱みや価格戦略、顧客獲得方法を詳細に調査し、自社への応用可能性を検討しましょう。
また、単発売上、継続課金、手数料、広告等、複数の収益源を検討したうえで、スタートアップの継続課金モデルを優先的に検討すると良いでしょう。
仮説構築
仮説構築は、検討中の内容が事業として成立するか、そもそも市場が存在するか、事業化した際に顧客が実際に購入するかといった仮説を構築することであり、その仮説をもとに分析することが重要です。「○○な顧客は、○○な状況で、○○の理由により、○○の行動を取る」のような形で仮説を具体化します。
事業の成功に最も大きな影響を与える仮説は「リスキーアサンプション(危険な仮定)」として特定し、優先的に検証しましょう。
仮説構築では、定量的なデータと定性的な洞察の両方を活用し、客観的で検証可能な形で設定することが大切です。
仮説検証
立てた仮説を検証するために、必要最小限の機能を持つプロトタイプ(試作品)を作成します。MVP(最小実行可能製品)の概念を活用し、効率的な検証を行います。
主な検証方法は、以下の通りです。
- ランディングページテスト:製品やサービスの告知ページを作り、ユーザーの反応を確認する
- プロトタイプテスト:試作品を実際に使用してもらい、フィードバックをもらう
- コンシェルジュテスト(人力でサービスを提供):手作業でサービスを提供し、ユーザーの反応を直接観察する
- ウィザード・オブ・オズテスト(自動化を装った手動サービス):自動化をしているように見せながら、裏で人が作業を行い、ユーザーの反応を確認する
併せて、定量データ(利用率、継続率、課金率)と定性データ(顧客の声、行動観察)の両方を収集する仕組みを構築します。
何度検証しても仮説が成り立たない場合もあるため、ピボット(事業の方向性を変える)基準を、事前に設定することも大切です。
マーケティングと販売
SEO(検索エンジン最適化)やSNS、コンテンツマーケティング、リスティング広告など予算に応じたマーケティング戦略を立案します。その際、顧客獲得コスト(CAC)を正確に算出し、顧客生涯価値(LTV)と比較して、マーケティング投資が妥当かどうか判断しましょう。
商品やサービスの販売チャネルは、以下のように多様です。
- 直販
- 代理店
- オンライン
- オフライン
必要に応じて、デジタルマーケティングだけでなく、オフラインマーケティングも組み合わせましょう。また、営業資料、トークスクリプト、フォローアップの仕組みを整えておくと良いでしょう。
市場のニーズにより適合した商品やサービスを開発するためには、フィードバックの収集と製品改善の仕組みを構築することが不可欠です。
市場浸透
以下のアンゾフの成長マトリックス*を参考に、市場浸透の方法を検討します。
既存市場 | 新規市場 | |
---|---|---|
既存商品 |
市場浸透戦略(現在の市場で現在の商品をより多く売る) |
市場開拓戦略(既存の商品を新しい市場、顧客層に展開する) |
新商品 |
新商品開発戦略(既存の市場向けに新商品を開発して売上拡大を図る) |
多角化戦略(新しい市場に新しい商品を投入し、新事業として展開する) |
既存商品 | |
---|---|
既存市場 |
市場浸透戦略(現在の市場で現在の商品をより多く売る) |
新規市場 |
市場開拓戦略(既存の商品を新しい市場、顧客層に展開する) |
新商品 | |
既存市場 |
新商品開発戦略(既存の市場向けに新商品を開発して売上拡大を図る) |
新規市場 |
多角化戦略(新しい市場に新しい商品を投入し、新事業として展開する) |
競合対策としては、市場参入による競合の増加を見越し、差別化戦略をあらかじめ検討する必要があります。現在の事業が安定した段階で、次なる成長機会の模索を開始することも欠かせません。
- *企業が成長戦略を策定する際に用いるフレームワーク。製品と市場を「既存」と「新規」に分類し、「市場浸透」「新市場開拓」「新製品開発」「多角化」の4つの戦略に整理する。
新規事業開発のパターン
企業の成長段階や状況に応じて、新規事業開発にはいくつかのパターンがあります。自社の置かれた環境や保有するリソースに応じて、最適なパターンを選択しましょう。
新規市場の開拓
新規市場の開拓方法には、BtoB企業によるBtoC展開や、個人向けサービスの法人展開等があります。異なる顧客セグメントの購買行動や意思決定プロセスを理解し、自社商品やサービスの理解を深めていきましょう。
地理的拡大の戦略として、国内他地域や海外展開を検討する際は、文化や法制度の違いへの対応が重要です。現地パートナーとの連携や、段階的な展開も有効な手段となります。
業界を問わず、他社の成功事例を収集し、自社への応用可能性を検討することも重要です。なお、市場特性の理解不足、文化的障壁、規制対応などの想定されるリスクについては、事前に対策を講じておく必要があります。
新製品・新サービスの開発
顧客の声を活用し、既存顧客からの要望を新製品開発に反映させる仕組みを構築します。定期的な顧客インタビューやアンケート調査を通じて、潜在ニーズを発掘しましょう。
技術力があっても市場ニーズがなければ成功しないため、「技術プッシュ」と「マーケットプル」のバランスを考える必要があります。
また、製品開発プロセスの効率化とマーケットへの迅速な投入を図るために、アジャイル開発*1やリーンスタートアップ*2の導入を検討しましょう。これらの手法を組み合わせることで、顧客ニーズへの適合度を高めつつ、開発期間を短縮し、よりスピーディな事業展開が可能になります。
- *1計画・設計・実装・テストといった工程を短いサイクルで繰り返し、段階的にソフトウェアを完成させる開発手法。変化する顧客要望や市場環境に柔軟・迅速に対応できることが特徴。
- *2最低限の機能を備えた製品(MVP)を低コスト・短期間で作り、市場に投入して顧客の反応やフィードバックをもとに改良を繰り返す新規事業開発のマネジメント手法。市場投入後に仮説が間違っていた場合に素早く方針転換することが特徴。
事業の多角化
多角化とは、既存事業のノウハウや顧客基盤、技術を活用して新たな事業を展開し、シナジー効果の最大化を図る戦略です。
ただし、新規分野での成功には、その分野特有の知識と経験が不可欠です。全く異なる分野への進出はリスクが高いため、十分な市場調査と専門人材の確保を意識する必要があります。
複数事業の収益構造バランス、リスク分散効果を測定し、成熟事業と成長事業のポートフォリオ管理も行いましょう。限られたリソースをどの事業に配分するかを見極め、成果が出ない事業からの撤退を判断することも重要です。
事業転換
事業転換のタイミングとしては、既存事業が衰退する前に着手することが望ましいとされています。市場の変化を早期に察知し、競合他社に先駆けて転換を図ることで、競争優位性を維持できます。
事業転換には組織文化や人材、業務プロセスの変革が伴うため、組織全体の変革も並行して行う必要があります。そのため、従業員の理解と協力を得ることも欠かせません。
「段階的転換」は既存事業を維持しつつ新事業を育成する方法であり、「一気転換」は短期間で事業構造を抜本的に変革する方法です。企業の財務状況や市場環境に応じて、適切な転換方法を選択することが重要です。
新規事業のアイデアを考える方法

ゼロから新規事業開発を進める際には、革新的かつ実現可能なアイデアを創出する必要があります。体系的なアプローチを活用することで、成功確率の高いアイデアを効率的に生み出すことができます。
キーワード選定とキーワードクロス
「業界トレンド」「技術動向」「社会課題」「顧客の悩み」など多角的な視点から、キーワードを100個以上抽出しましょう。幅広い分野からキーワードを収集することで、従来の枠にとらわれない発想が出てきます。
「AI×農業」「ブロックチェーン×教育」等、一見関係のない分野の組み合わせから、革新的なアイデアが生まれることもあります。
アイデアの発散技法としては、ブレインストーミングやマインドマップ、SCAMPER法等があります。
発想法 | 主な特徴 | メリット |
---|---|---|
ブレインストーミング |
複数人で自由に意見を出し合う集団発想法 |
参加者同士で刺激し合い新しい発想が生まれやすい |
マインドマップ |
キーワードから連想を枝状に広げて可視化 |
思考内容や関連性を図解で整理でき、複雑な思考を整理しやすい |
SCAMPER法 |
既存のアイデアや製品に7つの視点(S:置き換え、C:組み合わせ、A:応用、M:修正、P:転用、E:排除、R:再配置)で新しいアイデアを引き出す |
一人でもグループでも実施可能 |
複数の発想技法を組み合わせても問題ありません。創出したアイデアを実現可能性・市場性・収益性で評価し、有望なアイデアを選別しましょう。
同業他社事例の調査
直接的な競合に加え、異業界や海外事例も含めて包括的に収集・分析し、成功要因と失敗要因を明らかにします。特に海外の先進事例は、日本市場への応用可能性を検討するうえで貴重な情報源です。
ベンチマーキング手法を活用し、業界トップ企業の戦略やプロセス、成果指標を詳細に分析して自社への応用可能性を検討します。単純な模倣ではなく、自社の強みをいかした差別化を図ることが重要です。
トレンド分析では、業界全体の動向や新興企業の動き等から、新規事業の機会を発見します。業界のレポートや業界紙や企業決算資料、専門家インタビューなど多様な情報源を活用しましょう。
自社の戦略・過去の検討実績の棚卸し
自社の競争優位性を再評価し、それをいかせる新規事業領域を特定します。コアコンピタンス(中核的な能力)の分析を通じて、他社には真似できない独自の強みを明確化しましょう。
併せて、事業の失敗リスクを軽減するために過去の新規事業の失敗要因を分析し、同じ間違いを繰り返さないための教訓を抽出します。失敗から学ぶ組織文化の醸成も、長期的な成功には欠かせません。
3C+Mを用いたアイデアの具体化
3C+M(Customer・Competitor・Company・Market)分析は、アイデアを具体的なビジネスプランに発展させるうえで有効なフレームワークです。各要素を深掘りすることで、実現可能性の高いアイデアを創出することが可能になります。
分析項目 | 内容 |
---|---|
Customer(顧客) |
顧客の明示的・潜在的ニーズ、未解決の課題、将来の変化予測 |
Competitor(競合) |
現在・将来の競合、代替ソリューション、間接競合の分析 |
Company(自社) |
自社の強み・弱み、新規事業での競争優位性の客観的評価 |
Market(市場) |
市場の現状・成長性・変化の方向性・規制動向の動的把握 |
3C分析では、立場が異なる3つの視点から、外部・内部環境を客観的に分析できます。マインドマップと併用することで、情報全体やその関係性を視覚的に整理でき、アイデアの発散や構造化がより効果的になります。
AIとの壁打ち
AIへの質問を繰り返すことで、自分一人では思いつかないアイデアにつながる可能性があります。
AIは、感情に左右されることなく、客観的な分析を行うことが可能です。人間同士の会話では、遠慮や社会的配慮が入りやすく、自由な発想が妨げられることがあります。しかし、AIとの対話では率直な思考を展開しやすく、より純粋な発想プロセスを実現することが可能です。その結果、従来の常識にとらわれない斬新なアイデアが生まれやすくなります。
また、人間が見落としやすい観点を指摘し、市場性、技術的実現可能性、競合分析、リスク要因などについて体系的に検証することが可能です。人間の思考には確証バイアスや現状維持バイアスが存在しますが、AIは感情に左右されることなく、客観的な分析を提供できる点が強みです。
新規事業開発で役立つフレームワーク
フレームワークを用いることで、新規事業開発におけるアイデア創出や展開方法の検討を、体系的かつ効率的に進めることが可能になります。複数のフレームワークを組み合わせて活用し、より包括的な分析を行いましょう。
SWOT分析
SWOT分析は、内部環境(Strengths:強み、Weaknesses:弱み)と外部環境(Opportunities:機会、Threats:脅威)を整理し、戦略策定に活用するフレームワークです。新規事業の方向性を決める際の基本的な分析手法として、広く使われています。
内部環境分析 |
自社の強み・弱みを「競合と比較して」評価する。主観的な評価ではなく、客観的データに基づく分析を行う |
---|---|
外部環境分析 |
機会・脅威を短期・中期・長期の時間軸で整理し、技術革新、規制変更、社会変化等を包括的に分析する |
内部環境分析 |
---|
自社の強み・弱みを「競合と比較して」評価する。主観的な評価ではなく、客観的データに基づく分析を行う |
外部環境分析 |
機会・脅威を短期・中期・長期の時間軸で整理し、技術革新、規制変更、社会変化等を包括的に分析する |
分析結果を具体的な行動計画に変換し、責任者・期限・成果指標を明確化することで、実行力のある戦略を策定できます。
PEST分析
PEST分析は、「Political(政治)」「Economic(経済)」「Social(社会)」「Technological(技術)」の4つの外部環境要因から、事業に影響を与える要素を分析するフレームワークです。マクロ環境の変化を体系的に把握できます。
要素 | 分析する内容 |
---|---|
Political(政治)要因 |
規制変更・政策動向・政治的安定性が事業に与える影響 |
Economic(経済)要因 |
経済成長率・金利・為替・インフレ等、マクロ経済環境の変化が事業に与える影響 |
Social(社会)要因 |
人口動態・ライフスタイル変化・価値観の変化・社会問題への関心度等の社会トレンド |
Technological(技術)要因 |
技術革新・デジタル化・AI・IoT等の新技術が業界に与える破壊的影響 |
PEST分析を活用することで、新規事業を検討する際に、市場や社会の大きな流れに沿った現実的な戦略の立案が容易になります。
ビジネスモデルキャンバス
ビジネスモデルキャンバスは、事業モデルを以下の9つの構成要素に基づいて可視化するフレームワークです。
- 価値提案
- 顧客セグメント
- チャネル
- 顧客との関係
- 収益の流れ
- キーリソース
- キーアクティビティ
- キーパートナーシップ
- コスト構造
各要素は単独で考えるのではなく、相互に関連していることを理解し、その関係性を考慮して設計することが重要です。顧客にとって最も重要な価値を明確にし、それを中心に据えたビジネスモデルを構築することが望まれます。
4P分析
4P分析は「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販促)」の4つの要素から、マーケティング戦略を体系的に検討するフレームワークです。各要素の最適化により、効果的な市場展開が可能になります。
要素 | 内容 | ポイント |
---|---|---|
Product(製品) |
機能、デザイン、ブランド、サービスを含めた総合的な製品価値 |
顧客ニーズとの適合性、差別化要因 |
Price(価格) |
コスト積み上げ型ではなく、顧客価値に基づく価格設定 |
フリーミアム、サブスクリプション等、多様な価格モデル |
Place(流通) |
オンライン・オフライン、直販・間接販売など顧客接点の最適化 |
顧客の購買行動に合わせたチャネル選択 |
Promotion(販促) |
ターゲット顧客に最も効果的にリーチする宣伝・広告手法 |
デジタルとアナログの最適な組み合わせ |
4P分析では、4つの観点で整理することで、自社の強みや課題を明確にできます。商品の特性と価格、販売場所や宣伝手法の整合性を保ちやすくなり、問題が発生した際の対策も検討しやすいでしょう。
KPI分析・BSC分析
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とは、目標達成に向けて、進捗を定量的に評価・管理するための手法です。最終的なゴールに対する進捗状況や途中経過を継続的に把握するために用いられます。
BSC(Balanced Scorecard:バランススコアカード)は「財務」「顧客」「内部プロセス」「学習・成長」の4つの視点から事業を多面的に評価するフレームワークです。短期的な財務指標に加え、長期的な成長につながる非財務指標も重視し、経営のビジョンを現場レベルの行動まで明確に落とし込みます。
各指標間の因果関係を明確にし、どの指標を改善すれば最終的な成果に結びつくかを理解すれば、新規事業展開の成功可能性を高められるでしょう。
新規事業開発を進めるときに確認すべきポイント

企業のリソースは限られているため、新規事業開発にあたって確認すべき要素は多岐にわたります。事前に重要なポイントを整理し、リスクを最小化しながら、成功確率を高めることが大切です。
現状のリソースと調達方法
まずは、新規事業に必要な人材リソースがあるかを調査します。必要なスキルセットや経験、専門知識を持つ人材を確保できるかを検討しましょう。
人材が不足している場合は、採用・育成・外部調達計画を策定する必要があります。社内育成には時間を要するため、即戦力となる外部人材の活用も選択肢として検討すべきです。
人材に加えて、資金の確保も不可欠です。資金調達手段としては、企業の場合、内部資金や銀行融資の活用が挙げられます。スタートアップ企業の場合は、自己資金に加え、エンジェル投資家やVC(ベンチャーキャピタル)からの出資の可能性も検討する必要があります。
現在と将来の需要の予測
需要予測の手法としては、過去データ分析や市場調査、類似事例分析等があります。商品やサービスの需要の有無、将来の展望を把握するためにも、複数の手法を組み合わせて分析しましょう。
通年で安定した需要が見込めるとは限らないため、季節性や景気変動、トレンド変化に対応するための柔軟な対策を事前に整備しておく必要があります。詳細なシナリオをプランニングすれば、不確実性の高い環境で不測の事態が起こっても、柔軟に対応できます。
市場参入のタイミング
市場の成熟度を見極め、どの段階で参入するかを戦略的に判断しましょう。導入期では先行者利益を狙える一方で投資リスクが高く、成長期では競合が少ないものの市場の変化が激しい特徴があります。
市場段階 | 特徴 | 参入メリット | 参入リスク |
---|---|---|---|
導入期 |
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成長期 |
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成熟期 |
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衰退期 |
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さらに、規制緩和や技術標準の確立、インフラ整備など外部環境の変化が参入に影響するケースもあります。これらの要因を含め、様々な視点から業界動向を注視しましょう。
新規事業を撤退する基準
新規事業が失敗したときに備えて、撤退する基準を事前に決めておきましょう。売上目標や利益目標、市場シェアなど定量的な撤退基準を事業開始前に設定すれば、赤字の発生を最小限に留められます。
撤退基準を明確にしておかないと、漠然と赤字を膨らませる事態になりかねません。
完全に撤退するときは、失敗要因の分析や次回への教訓の整理を丁寧に行います。失敗から得た知見は、次の新規事業開発における貴重な資産となるため、組織全体で共有することが大切です。
なお、完全撤退ではなく規模の縮小や事業統合など、段階的な撤退オプションもあります。状況に応じて、最適な撤退戦略を決定しましょう。
「みずほココナラ」は専門人材のマッチングをサポート
新規事業開発を進める際には、以下のように多様な専門分野の人材が必要になります。
- ウェブサイト・LP作成のデザイナー
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- *株式会社みずほココナラは、(株)ココナラ社とみずほイノベーション・フロンティア(株) の合弁会社です。みずほ銀行が提供するサービスではありません。
まとめ
新規事業開発を成功させる確率を高めるためには、顧客理解の深化や仮説検証の徹底、柔軟な戦略修正等が欠かせません。フレームワークを用いながら、アイデア創出や具体的な事業展開の方法等を検討することも効果的です。
ある程度成熟している企業とスタートアップ企業では、それぞれ置かれている状況や強みが異なります。自社の特性に応じた、最適な新規事業開発アプローチを選択しましょう。
新規事業開発には時間がかかるため、短期的な成果にとらわれず、持続的な成長を実現する事業モデルを構築するとことも大切です。様々な方法で市場分析を行い、最適な戦略で新規事業開発を進めていきましょう。
来店不要でいつでも開設可能(メンテナンス時間:日曜日 0時00分~9時30分を除く)
監修者

五藤 大樹
- TOMAコンサルタンツグループ株式会社 コンサル部 副部長
- 経営コンサルタント・中小企業診断士
愛知県出身。大学卒業後、ホテル・飲食店を多店舗展開する企業の現場責任者として、現場の課題発見から改善策の実行まで一貫して経験し、現場主義の経営感覚を養う。その後、ベンチャー企業へ出資・支援する会社でIPO(株式上場)プロジェクトに参画し、上場準備の実務を幅広く担当。事業再生を専門とするコンサルティング会社を経て、2016年にTOMAコンサルタンツグループに入社。経営課題の本質を見極め、現場と経営双方の視点から実効性の高い経営計画を策定し、実践的なPDCAサイクルを回して成果につなげることを強みとする。幅広い業種の中堅・中小企業に対して、経営計画策定、財務改善、実行支援を行い、経営課題解決に取り組んでいる。