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財務諸表の分析結果を経営改善活動に活用するには

掲載日:2020年12月9日財務資本戦略

キービジュアル

財務諸表とは、企業の財政状態や経営成績をまとめた資料で、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などがあります。
中小企業においては、決算用に作成した財務諸表をもとに分析を行い、各種の指標を算出していても、経営改善活動に活用できていないケースが多いようです。
しかし、財務諸表の分析結果を経営改善につなげるには、経営指標を悪化させている具体的な問題点や課題を抽出し、その解決策を検討したうえで、計画的に改善活動を実行することが必要です。
本稿では、財務諸表の分析結果を経営活動に結び付けるためのポイントを、財務諸表を作成する目的より考えてみましょう。
財務諸表の作成目的は、対外的な目的と社内目的の2つに分けることができます。

対外的目的

利害関係者(債権者・株主・取引先)へ企業の財政状態や経営成績に関する正確な情報を開示することによって、社会的な信用を確保するとともに、事業の拡大(融資・出資・取引拡大)などにつなげることを目的とします。上場企業の場合は、証券取引法などによって適時の情報開示が義務付けられています。
また、税務申告をする際にも、財務諸表(損益計算書)の税引前当期利益をもとに、会計上の収益、費用と税務上の益金・損金の異なる部分を調整して、課税所得を算出するのが、適正な方法です。

社内目的

財務諸表を作成することによって、自社の財政状態、経営成績を定量的に把握し、分析を加えたうえで、経営改善に役立てます。
経営改善活動への活用とは、この社内目的に合致するもので、具体的には、以下のような手順で行います。

  1. 1.適正な財務諸表を作成することによって、企業活動の結果を正確に把握する
  2. 2.財務諸表を分析し、分析結果から自社の経営上の具体的な問題点・課題を抽出する
  3. 3.課題を解決するための改善策を検討のうえ、実行計画を作成する
  4. 4.計画を実行し、進捗状況をフォローする
  5. 5.改善策の効果を確認するとともに、計画(目標)との比較分析・評価を行う

上記の2.の段階で、分析によって得られた経営指標の数値の意味や評価基準が分からなければ、問題点や課題の抽出もうまくいかず、3.の改善策の検討につなげられません。
各経営指標が、企業の収益性、効率性、生産性、安全性、成長性などのどれに関連するもので、自社の数値がどのようなレベルにあるかを正しく認識することが必要です。

また、単に指標が良い悪いということを認識しただけでは、改善につながりません。自社の経営状況にあてはめ、指標を悪化させている具体的な原因を探っていかなければなりません。
例えば、有形固定資産回転率が悪いという場合は、有形固定資産が効率的に活用されていないことが推定されますが、その具体的な原因が何かは、企業によって異なりますので、

  1. 1.生産に寄与していない遊休の設備がある
  2. 2.製品の注文が減ったため、稼働率が落ちている設備がある

といった具体的な原因を明確にすることが必要です。

原因が特定されれば、次にその改善策を検討します。
上記の1.のケースであれば資産の転用や売却の検討、2.であれば新規の販路開拓、生産可能な代替製品の受注による稼働率のアップなどが考えられます。また、状況に改善が見込めなければ、資産の廃却や人員などの縮小も考慮しなければなりません。

おわりに

改善活動全体の効果を高めるには、経営状況についての共通認識をもったうえで、経営者を先頭に、関係者が一丸となって、原因の抽出や改善策の検討に取り組むことが重要です。
また、活動の成果を正確に把握し評価するためには、計画(目標)は数値化し、結果が出た段階で、できる限り定量的に測定し、計画と比較できるようにする必要があります。
本稿を参考に、財務諸表の分析結果を経営改善活動に活用してみてはいかがでしょうか。

本コンテンツは独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営するサイト「J–net21(https://j-net21.smrj.go.jp/index.html)」内の記事「財務諸表の分析結果を経営改善活動に活用するにはどうすればよいでしょうか?(https://j-net21.smrj.go.jp/qa/financial/Q0239.html)」を一部加筆・変更したものです。

上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

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