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年末調整をスムーズに進めるには

掲載日:2019年12月18日財務資本戦略

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頻繁に改正があり、毎年大変な「年末調整」。そこで、本稿では今年の年末調整をスムーズに進めていただけるよう、事前に確認しておきたい「実務基礎」や「苦労ポイントと対処法」をまとめました。また、今年こそは年末調整をもっとラクにしたい方へ、「業務時間の削減方法」についてもご紹介いたします。

【実務基礎】年末調整とは?

【年末調整の対象となる人、ならない人】

年末調整は、毎月の給与から天引きしてきた所得税1年分と本来支払うべき年間の所得税を照合し、その差額をまとめて精算する業務のことをいいます。通常12月に行う年末調整は、年末まで勤務している全ての従業員が対象となりますので、正社員や派遣社員(2ヵ月以上の長期雇用の場合のみ)、アルバイト、パートタイム就業者も含みます。派遣社員の場合は、派遣元の企業が実施します。ただし、以下の条件に該当する従業員は、年末調整の対象になりません。

  • 年収が2,000万円以上ある場合
  • 災害被害による災害減免で所得税の支払い猶予や還付をすでに受けている場合
  • 副業等で2ヵ所以上からの収入があり、他の給与支払者が扶養控除等(異動)申告書を提出している場合
  • 非居住者の場合
  • 日雇い労働者など、継続して雇用していない場合

なお、以下の条件に該当した場合は、年の途中で行う年末調整の対象となります。

  • 海外勤務による非居住者となった場合
  • 企業在籍期間中に死亡し、退職となった場合
  • 心身障害などを理由に退職し、再就職が見込めない場合
  • 12月の給与を受け取った後に退職した場合
  • パートとして働いている従業員が退職し、その年に受け取る給与総額が103万円以下の場合
    (※ただし、他勤務先の給与と合計して103万円以上が見込める場合は除く)

苦労ポイントと対処法

多くの方が苦労するポイントとして年末調整計算後、従業員および配偶者の合計所得金額が見積った時点から変動し、配偶者控除および配偶者特別控除額が変わる場合には、配偶者控除等申告書を再提出してもらい、年末調整を再計算する必要があります。
一般的に、初回の年末調整計算から再計算までの猶予はあまり期間がなく、正確性と効率性が求められます。
合計所得金額の大半を占める給与所得は企業側で把握していますので、総務担当者は年末調整の計算が終わったら、すぐに従業員の給与所得に差が生じていないかチェックを始めましょう。
注意したい点としては、合計所得金額には、給与所得のほかに事業所得・雑所得・配当所得・不動産所得・退職所得が含まれますが、給与所得以外の所得は企業側では把握できないため、本人からの再申告を促す必要があります。具体的には、申告書の提出依頼をする時点や申告書の提出期限が経過した時点で、「申告内容に変更がある者は総務担当者に連絡をする」旨を案内しておくと良いでしょう。

業務負担を大幅に削減する方法「年末調整申告書の電子化」

年末調整業務は手間のかかる作業やチェックが多く、とくに時間がかかりやすいものです。
意外と知られていないのですが、実は年末調整の申告書は事前に税務署へ簡単な申請を済ませておけば「電子化」して保存することが国税庁で認められています。対応するシステムを利用すれば、紙の申告書の配付・回収作業も、申告書に記載された内容を給与計算システムに手入力する作業などもなくなり、業務負荷を大幅に軽減できるようです。

ここでは、年末調整申告書を電子化するメリットについてご紹介します。

年末調整申告書の配布・回収が不要となる

紙の申告書の場合、申告書の配付と回収はとても手間がかかる作業です。
そこで従業員からWebで提出を受けることができれば、申告用紙を印刷して仕分け・配付する手間が省けます。もちろん、郵送などの必要もありません。「誰が提出できていないか」という提出状況もリアルタイムで把握できるので、未提出者を都度チェックする必要がなくなります。

提出された内容の確認、差し戻しに時間を要さない

紙の申告書の扱いで次に負担がかかる作業は、「申告書の内容確認」でしょう。一人ひとりの記載内容を細かくチェックし、金額の記入ミスや印鑑漏れなど間違いがあれば、本人へ差し戻し・再提出を通知しなければなりません。また、控除証明書が遅れて確認作業ができない・・・というケースも予想されます。
Webで申告書が提出されれば、担当者はすぐに記載内容を確認することができるので、作業時間も大幅に削減できます。もし入力ミスが発覚しても、すぐに修正依頼をかけられ、差し戻しのために電話連絡や説明を行う手間も省けます。
控除証明書などの書類は、画像を添付してもらえば原本の到着を待たずに照合できます。

年末調整計算の業務時間を大幅削減できる

紙で申告書の提出を受けている場合、回収・内容確認後、申告書に書かれた情報を給与システムへ入力しなければなりません。しかしWebで申告書を受けていれば、提出された時点で数字や必要な情報はデータ化されているため、給与システムとの連携が可能になり、総務担当者が改めて入力する必要もなくなり、「データ入力」という大きな負荷が軽減されます。

年末調整の申告書を電子化するメリットは、総務担当者の負担軽減だけにとどまりません。申告書を作成・提出しなければならない従業員本人にとっても大きなメリットがあります。

Webを利用して、どこからも申告できる

Webを利用できるシステムであれば、パソコンやスマートフォン、タブレットなど、従業員が作業しやすいデバイス、場所で申告書に入力、提出ができるので、提出の遅れを防ぎやすくなります。

必要最低限の項目のみ、ガイド機能と手順に従って入力すればミスなく提出できる

申請書に前年度データが複写され人事・給与システムの社員情報や家族情報が連携されていると、従業員本人が入力する箇所は最小限で済みます。「保険料控除申告で支払い金額を入力すれば控除額が自動計算される」など数値を入力すれば計算項目が自動計算されるようになっていれば、電卓を片手に自分で計算する必要も無くなります。
各項目に何を記入するか説明された「ガイド機能」が付いていれば、複雑な申告書の書き方を理解していない従業員であってもミスなく情報入力し提出できるようになるでしょう。

事前にしっかりと手順を確認し、余裕をもって準備を進めることでスムーズに乗り切ることができます。特に、年末調整申告書の配布・回収など、従業員とのやり取りには、時間や手間がかかるものです。従業員にしっかりと告知し、早めに業務をスタートすることも重要でしょう。

本コンテンツは株式会社オービックビジネスコンサルタントが運営するサイト「OBC360°(https://www.obc.co.jp/360)」内の記事「年末調整まとめー苦労する年末調整の流れを分かりやすく解説(https://www.obc.co.jp/360/list/post75)」を一部加筆・変更したものです。
上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

当初作成:2019年6月24日

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