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その経費、「修繕費」で大丈夫? 勘定科目「修繕費」を徹底解説

掲載日:2019年6月25日財務資本戦略

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建物やOA機器などを修繕したときに発生する経費の勘定科目である「修繕費」。ただし、修繕したものなら何でも経費にできるのかというと、決してそうではないので注意が必要です。本稿では「修繕費」について解説します。

修繕費は資産の「原状回復」や「維持管理」のための費用であることがポイント

事業を続けている人にとって、利用している建物や備品のトラブルというのは、日常的によくあることかもしれません。「事務所の水道の調子が悪い」「パソコンが壊れて修理に出した」など、建物や備品の修理のために支払ったお金は、勘定科目「修繕費」として計上することができます。ただ、「修理」したものがすべて「修繕費」になるのかというとそうではなく、経費にするための注意点があります。

資産の原状回復・維持のための修理であること

修繕費」として計上できるのは、建物や機械などの資産を同じ状態に戻す、あるいは買ったときの状態を維持するためにかかった経費です。例えば、古くなった事務所の壁や窓をリフォームしたり、仕事用のパソコンが壊れたのを修理したりといった場合が、「修繕費」に該当します。

価値を増加させた場合は「資本的支出」に

名目上は「修理」であっても、原状回復にとどまらず、改良して新たな価値を加えた、より長く使えるようにしたなど、修理した対象物の価値を高めた際には、その部分は「修繕費」ではなく、「資本的支出」となります。この「資本的支出」の場合、支払った年に全額を費用とすることはできません。固定資産と同じく、耐用年数の期間にわたって減価償却資産として減価償却する必要があります。例えば、事務所の建物を改修する際に新たに避難階段をつけたり、家電機器を修理した際に新たにより性能の高い機能を付けたりした場合が、これに該当します。

「修繕費」か「資本的支出」か、分からない場合は

「修理」と「改良」が一緒に行われた場合は、修理の部分は「修繕費」、改良を加えた部分に対応する金額は「資本的支出」となりますが、実際問題として、これは明確な区分ができない場合も多いものです。そのようなときのために、修理、改良の料金をすべて「修繕費」として計上できるように、以下の基準が設けられています。

  • 修理費用が20万円未満である、または、おおむね3年以内の期間を周期として修理・改良をするべきものであること

上記によっても資本的支出か修繕費か判断できない場合に、下記により修繕費であるかどうかの判断を行うことが認められています。

  • 修理費用が60万円未満である、または、修理費用が資産の前年末の取得価額(基本的には購入時の価格)のおおむね10%相当額以下であること

このように、かかった費用次第で、修繕費として計上するのか、資産として減価償却をするのか、処理方法が異なっていきますので、事務所の備品でなんらかの修繕をする際は、このことを頭に入れておいたほうがよいでしょう。

「修繕費」と「消耗品費」仕訳の考え方とは

「修繕費」と混同しやすい勘定科目のひとつに「消耗品費」があります。例えば、「機械の消耗している部品を新しいものに買い替えた」「蛍光灯が切れたので、電球を新しいものに買い替えた」といったケースは「修理」を伴うといえるため、修繕費なのか、消耗品費なのか迷うところですが、仕訳としては、以下のようなところを目安にするとよいでしょう。

「10万円未満の短期間で消耗する品」の交換だけで改善されたかどうか

「10万円未満の短期間で消耗する物品」ならば、「消耗品費」に該当します。例えば、「機械の調子が悪くなったが、消耗している部品を買ってきて付け替えたら直った」「蛍光灯がつかなくなったが、電球を買ってきて付け替えたら直った」などの場合は、「消耗品費」として計上することができます。

「原状回復」のための業者のサービスなどを伴うかどうか

消耗品費が少額の物品購入のみを処理する勘定科目であるのに対して、修繕費は、修理に必要な物品の購入費だけでなく、メーカーに修理してもらったり、メンテナンスのために業者に来てもらったりといったことも含め「原状回復のための修繕にかかった費用」を計上する勘定科目です。ですから、「機械の調子が悪くなり、メーカーに修理を依頼した」「蛍光灯がつかなくなったが、電球を付け替えるだけでなく、業者による工事やメンテナンスが必要だった」などの場合は、かかった費用が少額であっても、買ったときの状態に戻すために業者のサービスを利用しているので、「修繕費」とするのが適切といえるでしょう。

とはいえ、実際に「消耗品費」と「修繕費」とを仕訳する場合、どちらの勘定項目に計上しても問題はなく、最終的には事業主の判断次第だと言えます。ただ「今回は消耗品費」「今回は修繕費」などのように勘定科目をころころと変えてしまうと、経費の管理がしにくくなってしまうので、どう仕訳するか事業主が一定の基準を設けて同じ勘定科目で継続して処理していくことが大切です。

ここまでご説明したように、「修理」を伴う場合であっても、必ずしもすべてが「修繕費」になるわけではなく、「消耗品費」として処理できるもの、資産として減価償却を必要とするものなどがあります。
事業の際に何か修理が必要なものがあった場合には、修理内容が「10万円未満の短期間で消耗する物品の購入(=消耗品に該当)」であるのか、「原状維持」に該当するのか、改良を伴うが金額が20万円未満または60万円未満であるかどうかなど、かかる費用や修理の内容をきちんと把握しながら、仕訳をしていくことが大切です。

  • *本コンテンツは弥生株式会社が運営するサイト「スモビバ!」( https://www.sumoviva.jp )内の記事『その経費、「修繕費」で大丈夫?勘定科目「修繕費」を徹底解説( https://www.sumoviva.jp/trend-tips/20170127_1243.html )を一部加筆・変更したものです。
    上記の個別の表現については、必ずしもみずほ銀行の見解を示すものではありません。

最終更新日:2018年4月10日

当初作成日:2017年1月27日

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